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万乗大智さんの
「鉄騎」

こ世の中には2種類のバカがいるのだ。
役者にたとえていうなら、ひとつはバカ役者。
そして残るもう一つが役者バカ。

バカ役者はその名の通りただのバカな役者である。
才能なし。やる気なし。

しかし役者バカはちがう。
あのデニーロのような才能とやる気にあふれた
役者にたいして使う愛称なのである。

バカは単語の前につくと、しょうがないが、
単語の後ろについた瞬間正反対になることが多い。

映画バカは、例えば、SF映画を人よりちょっとはやく観たいためだけに
ロサンゼルスへ行くようなうらやましくて根畜生な人につかう。

「鉄騎」はこのバカをはかる踏み絵といえる。
バカゲーマーか?それともゲームバカか?

俺は残念ながらバカゲーマーである。
だがそろそろゲームバカと呼ばれたい。
それには何か象徴が必要だ。
そう、SF映画のためだけにロスへ行くような行動が必要なのだ!

そんな時目についたのが「鉄騎」なのだ!

ボタン、アクセル、ダイアル、などなど
総計50近くの無駄な機能のついたコントローラー
は見るものを呆れさせる。いや、圧倒させる。

その梱包された箱の大きさは、大型テレビを買うくらいの規模で、
見るものを萎縮させる。いや意気揚々とさせる。

これだ!これこそが象徴だ!!
わははははははははは!
買ってやる! 買ってやるぞ! 俺が買わねば誰が買う?
キャシャーンがやらねば誰がやる!?

そしてプレイ!

な…………なんて…………なんてバカ!!!
スゲエよこれは!
これこそ無駄な贅沢ってものだ!
男ってやつはこういうことだったのか!!

男その1
死んだらゲームオーバーは当然だが、
ホントに死ぬので、ついでにセーブデータも
死ぬ。コピーをとることもできないシステムになっている。
男だ。

男その2
二足歩行の意味まったくなし。
タイヤのついた敵のほうが遥かに機動性が上。
でも、あくまで二足歩行のロボットで戦う。
支給される兵器もすべて二足歩行。
だって、カッコイイから。
やっぱり男だ。

男その3
方向転換しようとするとすぐ倒れる。
倒れるとすぐ画面に泥がとんで見えなくなる。
でも物凄いスピードで起き上がるのだ!
さすが男だ。

男その4
意味もなく制限時間がある。
それまでにクリアしないと、受けたダメージ分、
ポイントを引かれて、再チャレンジさせられる。
男はつらいのだ。

男その5
死にそうになったら脱出ボタンで命(セーブデータ)だけは助かる。
しかし、ロボットは失われてしまうのだ。
男の意地の見せ所だ。

男その6
だったら、死にそうになったとき、
ゲームの電源切ればなかったことになるじゃん。
RPGと同じで、以前のセーブポイントからやり直しできるぜ!
……………………と思って切ってみた。
結果…………「死亡」扱いでデータは消されていた。
ゲームの外でも男が要求されるのだ。

やり始めて2日目。
アシスタントが仕事場にやってきた。

机にはあのデカイコントローラーとアクセル。
膨大な量の説明が書かれた操縦マニュアル。
そしてポテトチップス。
そんなものが散乱して、異様な空間が広がっている。

そして……………………
ああ…………そして彼らは私についにこういったのだ!

「バカでしょ?先生」

ヤッホー!!!
その言葉を待ってたんだ!!
そう!俺はバカだ!
でも、人からこういうパターンでいわれるバカは
愛称のバカの可能性が高い。

え?違うって?

ただのバカっていう意味だって?

そうかな?

…………ま…………でもいいや。

少なくとも象徴を手にしたんだ。

そして、一人でも多くの人が一度手にとってあきれ返ってほしいのだ。
そして愛情を込めてこう言ってほしい。

「バカだけだよ!こんなの買うやつって」

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