【読書】「最後の努力 ローマ人の物語XIII」
黄昏の坂を転げ落ちていくローマの運命を描いた13巻目。最終15巻まで残り2巻、1000年国家の寿命も残り100年ほどとなった。
ディオクレティアヌス帝とコンスタンティヌス帝という帝政末期でもっとも著名なふたりの皇帝と、コンスタンティヌスのキリスト教公認に焦点をあわせて描いている。
かつてハンニバルやカエサル、アウグストゥス、といった人物を描いたときの瑞々しさは失せ、愚痴めいた記述と、繰言のような描写の反復が目立つのが残念ではある。
ディオクレティアヌスにせよ、コンスタンティヌスにせよ、作者が息吹をあたえることなく、なにか、抽象的なアイコンのごとき存在となっている。
強権による四分治制を樹立し、帝国の安全をかちとったディオクレティアヌスだが、引退後、みずから作り上げたすべてのものが崩壊していくのを、目の当たりにする。このあたりは、本編のクライマックスともいえる。しかし、ディオクレティアヌスという人物に対する考察が少ないだけに、その悲劇が際だたない。
官僚制の肥大化と直接税の新設、増税による、社会構造の変化が、帝国の衰亡を早めていく視点や、なにより、コンスタンティヌスがキリスト教を公認した理由に対する推察など、興味深い部分は多々あるのだが……。
作者が「ひと」に対する興味を失っているのかもしれない。
全体に伏線が足りないまま、強引な結末を強弁しているドラマを見ているようで、ちょっと残念な新作となった。
| 最後の努力 | |
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