【映画2005】スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐
VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木7番THXスクリーンにてSDR鑑賞。アメリカでの3回につづいて、これで4回目の「エピソード3」鑑賞だ。
何度見ても、せつなく、いとおしく、そして、つらい映画だ。あまりにも多くの不信感、疎外感、閉塞感に満ち、あまりにも多くの死と終焉と絶望があふれている。
そして、これだけつらい思いをしながら、もう一度見たいと思うのだ。
戸田奈津子の字幕そのものに致命的な過誤はなかった。気づいたのは三ヶ所くらいかな。(以下は文字を伏字にしています。)
グリーバスを倒したあと、手にしたブラスター(光線銃)を放り投げながら、オビワンが言ったひとこと。
OBI-WAN: So uncivilized . . .
これが「掃除が必要だな」になっている。もともと、このセリフはエピソード4で、オビワンがルークにライトセーバーを渡しながら、説明したセリフと対応しているのだ。
BEN: An elegant weapon for a more civilized time.
「文明があった時代のエレガントな武器だ」
だから、uncivilizedを「非文明的だな」とかに訳すのならともかく、「掃除が必要だな」になっちゃうのはちょっと……。
また、ドゥークーとアナキンが対決するときのスクリプト。
ANAKIN: My powers have doubled since the last time we met, Count.
COUNT DOOKU: Good. Twice the pride, double the fall.
戸田訳のアナキンが「ぼくは2倍、強くなった」はいいんだけど、ドゥークーの「その高慢の鼻をへし折ってやる」は、大雑把な訳だよな。
「ほう、うぬぼれも2倍、堕落も2倍か」とか、単に「うぬぼれも2倍のようだ」とか。
ほかにも「ありえない」とか、「ベイビー」の連発とか、「jedi order」と「jedi code」の混同とか、まぁ、いろいろあるのだが、最後のオビワンとヨーダのセリフも、かなりいんちきくさい字幕になっていた。(これはすごいネタバレだから、見ていないひとは読まないほうがいいよ)
YODA: (continuing) Master Kenobi, wait a moment. In your solitude on Tatooine, training I have for you.
OBI-WAN: Training??
YODA: An old friend has learned the path to immortality.
OBI-WAN: Who?
YODA: One who has returned from the netherworld of the Force to train me . . . your old Master, Qui-Gon Jinn.
OBI-WAN: Qui-Gon? But, how could he accomplish this?
YODA: The secret of the Ancient Order of the Whills, he studied. How to commune with him. I will teach you.
「the path to immortality」を「不老不死へといたる道」のように訳していたが、そう訳してしまったら、アナキンのそれまでの苦悩が、消失してしまう。ダークサイドじゃなくて、ジェダイから教わればいいじゃんってことになるからね。
厳密に言うと、誤訳とは言い切れないが、このあたりはほんとにデリケートに訳してほしかった。
さて、会場のVIRGIN TOHO CINEMASには、ぼくらのグループ12+2名のほかに、ハリウッドでいっしょにEpisodeIIIをみた、程亮弼さんグループ13名と、george/80002さんたち、15名が……。7番スクリーンの1割は、知人関係というすごさ。
その後、こちらのグループ14名は六本木「芋侍」に移動。移動中は映画の内容に衝撃を受けている門倉聡さんと曲の話とか、あれこれと……。店では初対面の方もいるので、自己紹介をしてもらったのだが、スター・ウォーズの世界で自分は何になりたいかを入れてもらうようにした。みんな、おもしろいことをいってくれるなぁ。
0時くらいまで飲んで、そのあとは7人で、近くのバーへ移動。さらに「エピソード3」を軸に話しまくる。映画の会を何度もやっているが、やはり、エピソード3は別格で、話が尽きない。
午前3時過ぎに残ったのは漫画家の万乗大智さんと、井上ジェットさん、駒場方面に移動。月に1回、george/80002さんがやっている「bar ARMSTRONG'S」へ。カウンターにおいてあるパワーブックで、アニメ「クローン大戦」を流している中、朝6時過ぎまで、あれこれと語る。万乗さんとは新宿駅でお別れ。お疲れさまでした。
※こちらのエントリーもどうぞ。


コメント
TBまた入れさせて頂きました。
私英語全然わかんないですけど、、、、不老不死は自然の流れを是とするヨーダの思想に合わないので、変だと私も感じましたので勝手にフォースと一体になると意味だろうと解釈しました。でも子供は言葉通りとっちゃうと思います。あれじゃあ、ジェダイもシスも同じ穴の狢みたいですよね(笑)。
桃鉄子供達には人気ありますよ~。性格悪い奴が強いような気がするのが気のせいでしょうか。USAバージョンに挑戦したいです(^^)。
投稿者: ふざけおに | 2005年06月27日 21:05
桃鉄を遊んでいただいてありがとうございます。
そう。たしかにimmortalの英語の意味を考えると、死すべき運命を超越するというニュアンスこそあれ、決して「不老」ではないんですよね。
せめて不滅とか、いっそ永遠とか、そういった肉体にこだわらないことばにしてほしかったですよね。
投稿者: 柴尾英令 | 2005年06月27日 22:11
>不滅とか、いっそ永遠とか、そういった肉体にこだわらないことばにしてほしかったですよね
そうですよね。
だいたい劇中でヨーダは死の運命をどうやったら回避できるか聞いてるアナキンに、「フォースに帰ろうとする者を止めようとしてはいけない」みたいに諭してたから、一瞬その字幕見てヨーダを腹黒いと思いました。え?裏でこっそり「不老不死」の研究したのに、アナキンには、死は避けられないって教えたわけ?って感じでした(笑)
戸田さんは話の中で矛盾を感じなかったんでしょうか(笑)
投稿者: ふざけおに | 2005年06月29日 09:29
きちんと立ち止まって、全体を読み返す読解力があれば、こんな乱暴な字幕にはならなかったと思うんですよ。
それにしてもネットを軽く見渡したかぎり、ここの部分の字幕に反応している人が少ないのは、みんな、脳内翻訳しているせいかもしれませんね。
投稿者: 柴尾英令 | 2005年06月29日 09:58
この話題しつこくひっぱてすみません。
うちの娘は「不老不死」を言葉通りに取ったので、ジェダイは本当はシスより早く不死の方法を突き止めているのに、アナキンが威張っていて一人前でないから、ヨーダは教えてあげなかったと思ったようです。オビワンには晴れて免許皆伝という差をつけたのだと。
「ヨーダは何かを隠している」というアナキンの台詞があったので、戸田さんもそう解釈したのかな?とも思いました。
ジェダイの思想を知らない人はこう解釈して、ジェダイの思想を知ってる人は、脳内翻訳してるので、話題にならないのかもしれませんね(笑)
土曜日見た後は、すごい落ち込みましたが、もうまた見たくてたまらないですね。
投稿者: ふざけおに | 2005年06月29日 22:14
どんどん、ひっぱってください! かまいませんとも。
それにしても娘さんの解釈、理屈が通っていますね。なにより善悪をくっきり分けていることが背景にあるのかもしれませんね。威張ることは「悪」いことだとはっきり思っているのがいいですね。
そう……。見終わったあと、感想なんて書けないくらい落ち込むんですけど、そのあと、また、見たくてたまらなくなるのは、あの鮮烈な世界観の魅力でしょうね。
投稿者: 柴尾英令 | 2005年06月29日 23:57
またひっぱります(笑)
娘(中1)は割と性格がひねてるので、アナキンが被害者だと思ってます。アナキンが認めてもらえない悔しい気持ちがわかるから、アナキンがあまりにかわいそうだと言うんだと思います。一生懸命やってるのに、メイスやヨーダ達がアナキンを威張ってるとかいって認めてあげないから、皇帝に騙され爆発したと、まさしく「エデンの東」っぽい新弟子いじめ話にとってそう。戸田さんが「不老不死」と訳すから、ヨーダ達が余計意地悪と思っちゃったのかな。
息子(小5)はEP2の頃からアナキンがダメな奴で、オビワンが正義の味方だと思ってる単細胞なので、おそらくこの映画を見せたら、アナキンがあーんなことやこーんなことしてるから悪いんだ思うだけでしょうね。。。。所詮子供だ、どっちもどっちですね(^^;
だんだんにわかればいいんだと思ってます。
娘はアナキンかわいそうだとすごい落ち込んで、1回見た後具合悪くなって家で寝込んでました(笑)。その時は「今回のSWはもうママにつき合わない、もう見たくない」っていってましたが、昨日寮から電話あって、「また見たい気がして来たから今週も連れてって」と。やっぱり子供にとってもそういう映画なんだーってびっくりしました(笑)。悲劇の味わいってクセになりますよね。
今度は、吹き替え見てきます。
投稿者: ふざけおに | 2005年06月30日 14:54
「エデンの東」というのは、たしかにいえているかも……。
アナキンの場合は、とくに大きく認められているからこそ、あのような扱いになっていたのでしょうね。ノブレス・オブリジェというか、だれにも負けない資質をもっており、期待されているからこそ、あの扱いだったのに、そこをパルパティンにつけこまれたわけですよね。
ほんとにおもしろいのは、たしかに中学一年という多感な時期なればこその捕らえ方ですよね。それにしても、あの悲劇に対して感情移入をふんだんにきちんと受け止めているからこそ、もう一度、見たくなっちゃうんですよね。そのなかで、オビワンたち、ジェダイマスターの視点もとらえられると、いいですね。
息子さんの正義感もその年代の自分を思い出すと、ほんとによくわかるなぁ。
投稿者: 柴尾英令 | 2005年06月30日 22:42
勝手ながら、私のブログで、柴尾さんの不老不死の話題紹介させて頂きました。たいしてアクセス数ないところなんで、お許し下さいm(__)m。
明日吹き替え見て、確認して来ます、やっぱり不老不死だったら悲しいかも(^^;
アナキンの周囲に褒められたがる心理を、周囲は褒められるためにやってるわけでないと割り切ってる人達なんで理解できないんでしょう(笑)アナキンは自己愛が強いので、博愛精神になじまないんですよね。
確かに私も思い出せば、中1の頃の妙に被害妄想的読みとりをしてかわいそうな悪者に同情しちゃう気分ってあった気がします。
息子も子供らしい割り切った善悪2極構造読みなんで、おっしゃるとおり年相応なのででしょう。
話脱線しますが、SW新3部作は恋するときめきや若くして父親になる気持ちって、恋愛に夢中になったことがない層には、ピンと来ないかもしれないなって思います。古典的文芸の作風ですよね。
投稿者: ふざけおに | 2005年07月01日 21:16
初めまして!
ふざけおにさんのサイトから、たどり着きました。
柴尾さんの記事を読み、また、ふざけおにさんのコメントを読み、猛烈に賛同の意を表したい!と思い、思わずコメントを書かせていただいております。
映画中、不老不死を初め、Doubleの部分も掃除の部分も、そして、対決後、オビ=ワンがアナキンに語りかける台詞全体(Not to join them!のあたり特に)の翻訳に、僕と相方も「ん???」と思ったんです。
上映中はもちろんお互いなにも話しませんが、最後に翻訳の方の名前が出てきた時に、ふたりして「!!!(やっぱり…)」と顔を見合わすことになりました。
映画自体は最高で、あまりの悲劇に茫然自失状態だったわけですが、落ち着いてくると、ずっと「不老不死?」「あの訳だと誤解が生まれる」という会話で盛り上がる始末。
柴尾さんのおっしゃる「デリケートに」という言葉、まさにそこに尽きる、と思いました。
突然出てきて、いきなりの長文、失礼いたしました。
投稿者: MK | 2005年07月02日 03:15
■ふざけおにさん
なにしろ、ネット社会の仁義ですから、こちらの文章はどういった形でもどんどんご利用ください。こちらとしてもふざけおにさんに使っていただけるのなら、光栄です。
吹き替え版のご報告もお待ちしています。じつは明日の分のチケットも買っていたのですが、至急、実家に帰らなくてはならなくなりました。
父親の不在、母の喪失、才能と年齢など、アナキンの人生ってほんとうに「被害妄想」を生みやすいものだったんですね。地上に師匠と弟子の二人しかいないシスの仕組は、ある種の居心地のよさがあったのかもしれません。
恋愛って善悪とは別のロジックだけど、恋愛のロジックが善悪を支配することもあるから、幼い世代には難しいのかもしれませんね。
■MKさん
はじめまして! これからもよろしくお願いします。
ご指摘の対決後のスクリプトはこんな感じですよね。
OBI-WAN: (continuing) . . . You were the Chosen One! It was said that you would, destroy the Sith, not join them. It was you who would bring balance to the Force, not leave it in Darkness.
戸田奈津子が字幕でなんと訳していたのかは、ちょっとわからないんですけど、今度見に行ったときに確認してみますね。
やっぱりあの「不老不死」ってところは、普通に考えても変ですよね。そういうところで会話が盛り上がるのも、困った事態です。
投稿者: 柴尾英令 | 2005年07月02日 09:02
こんばんは。またまたTB入れさせて頂きました。
おかげさまで、例の不老不死の字幕の件で検索されてくる方いっぱいいますよ~。恥ずかしながら、それまで一日100件くらいのアクセス数だったのが、今はSW関係だけで、一日700件以上のアクセスあります。うちはたいした数ではないでしょうが、にしても字幕の問題を取り上げてるサイトは多いですよね。
吹き替えもそんなに訳に変わりなくてがっかりでした。
戸田さん、マニアックな作品は手を引いて、そろそろ得意なジャンルだけでお仕事なさっては?って気がしてます。
投稿者: ふざけおに | 2005年08月14日 23:25