【日常】祖母の通夜
祖母の通夜に向かうため、午前10時過ぎに家をでる。
mixiで教えてくれた人がいたのだが、五反田に行きファミリーマートで開封済みボトルキャップ付きペプシを買う。買ったのはセブルバ。ネットトレードのトラブルで、からぶりになったもの。験直しにちょっとズル。ほかにも買いたい気分だが、羽田空港に大量のペプシを持っていくわけにはいくまい。あきらめてやる。でも、買いたい。いや、それではコレクター仁義が……。葛藤だらけ。
羽田空港第一ターミナルで、妹家族4人と待ち合わせ。飛行機は40分遅れ。サクララウンジで、義弟と空弁の焼き鯖寿司をつつきながら、ビールを飲む。
雨の上がった福岡は蒸し暑い。地下鉄と在来線特急で小倉へ。ステーションホテルにチェックインする。格安のプランで泊まったのだが、客室は14階の見晴らしのいい部屋。シャワーを浴びて、パンツ一丁で睥睨する小倉の町。平和通りや伊勢丹が一望できる。モノレールもなにもかもおれのパンツの下……。見知った町をパンツ一丁で歩いているような気分だ。
自分のとてもたいせつな原風景を自分で汚しているような気もするが、しょうがない。ひとはパンツをはくのだから。
礼服に着替えて日豊本線に乗る。駅の上がホテルだと便利だ。
降り立った苅田駅の景色は、おれの知っているそれとまるで違う。駅前にはちょっとした商店街があったと思うのだが、かけらも見当たらない。もらったお年玉で、電動競馬ゲームを買った玩具店が見当たらない。
「お兄ちゃん、駅から、おばあちゃんの家って遠かったよね」といったのは、妹だが、あらかじめ地図で調べてある。子どものころは遠くても、大人の足なら遠い距離ではない。10分足らずで、祖母の家へ。その隣の寺で通夜。
地元のロータリークラブ会員である伯父は地方名士。通夜だというのに参列者が多く、会場からあふれていた。
金曜日の午前11時55分、トイレ掃除をしようとしていた祖母は、トイレの前でそのまま心筋梗塞になり、絶命したとのこと。1週間前から、心臓の調子が悪いといっていたらしい。そうやって、働きながらなくなったのは祖母らしい。死に顔はまことにおだやかで、ほんとうにただ眠っていて、いい夢を見ているようだ。ほがらかといってもいい。
真宗大谷派の若い坊主の読経はいまひとつ。坊主の読経に関しては一過言ある祖母もこれでは浮かばれまい。読経が済んだあと、たれる法話も「ここにこうやって皆さんが集まるのは、おばあさまのご人徳で」と、5回もくりかえすくどさ、内容のなさ。そんな法話ならしないほうがいい。足もしびれた。
祖母の産んだ子は4名でこの日集まったのは2名。これなかったひとりはアメリカ旅行中の母。もうひとりは博多でブラックホールになっている伯母。孫は8名で、この日集まったのは7名。これなかったのは、ジョグジャカルタで旅行会社を起こした従姉。
ひさしぶりに会った従姉は現在46歳。声をかけられて、一瞬だれかわからず、なんとか、心の発掘復元作業をしたあと、口から出たことばは「ごぶさたしてます」という他人行儀なものだった。
その後は親族の同窓会みたいな話。東京でコンピュータを使う仕事をしているというだけで、「おまえはホリエモンみたいなものやろ」と同い年のいとこから雑なことをいわれる。
午後9時30分においとまし、小倉にもどる。普段着に着替えて、妹家族とラーメン「魁龍」へ。濃厚なスープを飲み干す。福島出身の義弟も満足。
ホテルの客室で横になるが、いろいろ思い出して寝つけない。
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