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【舞台・観劇】南国から来た寒いヤツ

 昨日見た劇団「ギンギラ太陽's」が一年前に上演した作品「南国から来た寒いヤツ」をDVDで鑑賞する。

 大衆演劇のメッカとして、名をはせた福岡県飯塚市の嘉穂劇場。昭和6年に建てられた歌舞伎様式の芝居小屋で、筑豊地区の娯楽のメッカとして、戦前、戦後を通じて歴史をつむいできた。この舞台で、ギンギラ太陽'sは2003年の夏に公演を予定していた。

 しかし、集中豪雨による大水害で、劇場そのものが水没。公演は中止になってしまった。劇場の施設は根こそぎ、使い物にならなくなった。劇場を愛する人々は、復興のための運動を開始。ほぼ1年で、再建された舞台での公演を記録したDVDだ。

 東京でも見られるひよ子、千鳥饅頭、チロリアンはもともと飯塚のお菓子だし、チロルチョコレートも同じ筑豊の田川が発祥地である。そんな筑豊のお菓子が、主演する痛快時代劇なのだ。

 もちろん、全員がかぶりものだ。主人公のひよ子侍だけでなく、博多ぶらぶらやら、ひよ子タルト、チロルチョコレート、千鳥饅頭、なんばん往来、鹿児島の白くまなど、さまざまなお菓子が登場して、泣きあり、笑いありの人間模様を織りなしていく。

 さらに「翼をくださいっ!」にくらべても、美術は豊富で、回り舞台やせり、すっぽんなど、舞台装置をふんだんに使っている。殺陣もたっぷり堪能できる。活劇のスケールは「劇団☆新感線」よりは小さいのだが、ていねいな脚本と、嘉穂劇場という舞台の相乗効果で、最近の「新感線」よりも濃密に楽しめるかもしれない。

 親子、兄弟など、肉親の情をふんだんに織り込んだシナリオは、後半のクライマックスにダイレクトにつながり、お菓子たちの心の痛みがひしひしと迫る。脚本構成の面では、「翼をくださいっ」より進化している。

 たしかにかぶりモノはあやしいし、チロルチョコに兄弟愛を見せられても困るかもしれないが、かぶりモノは能における能面であり、歌舞伎における隈どりであると考えれば、日本の芸能の系譜につながるように思えてくる。

 お菓子をつかうことで、キャラクターを観客にしっかり把握させ、一種の異化作用をともないつつ、オーソドックスな感情を刺激するから、老若男女すべてが楽しめる舞台になっている。時代劇やSF、漫画などさまざまな引用があるのだが、それが嫌味にならず、優しく夢を見る力となり、上品にまとまっているのが、この劇団の持ち味なのだろう。

 数多あるお菓子の名前よりも、欲をかきすぎない、上品な切り口の巧みさに、福岡らしさを感じた。

 いやあ、おもしろかった。東京ではすでに入手難のDVDだけど、貸してくれたほーせきさん、どうもありがとう。九州に帰って、売ってるところがあったら、きちんと買います。

※こちらのエントリーもどうぞ。

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