【国内旅行】ヨーロッパ軒と雪の帰路
日曜日は、常神半島の突端をめざし、全員でドライブしたあと、そこで解散。写真は撮っていなかったけれど、漁港に打ち上げられた越前クラゲがせつなかった。
福井といえば、人生の懸案のひとつがある。ヨーロッパ軒のソースカツ丼である。ほんとうの元祖は福井市にあるのだが、そこからノレン分けされた敦賀の店へ。
日曜日の敦賀駅前はシャッター商店街の様相。カーナビの指示通りに店にいったのだが、ほんとうにさびしい町並みのなかにぽつんと、不思議な外装のビルがある。それこそがつまり、味のお城、「敦賀ヨーロッパ軒」である。ビルは建ってから30年以上は経過していそうな雰囲気。レストランは2階。その上は宴会場や結婚式場だ。

レストランは、ひとむかし前のデパート食堂の風情。ちょうど昼時で、つぎつぎにお客さんが来るのだが、年配の方が多い。平均年齢は60歳近いんじゃないか。リアル「ALWAYS 三丁目の夕日」状態。

ソースカツ丼はおいしかった。さっくりとしたカツに、香ばしいウスターソースがまぶしてある。ちょっとした駄菓子感覚もあり、上品においしい。

ただ、味そのものは単調なので、食べていくとちょっと飽きてしまうことも事実。なにより、丼にしている必然性が感じられない。さくまあきらさんが薦めていたソースカツ丼は福井の総本家ものだし、敦賀とは味がちがうのかな。
中央道に降雪の情報を聞き、帰路は東名を選択。その後、小淵沢付近でチェーン規制になったと聞き、選択自体はよかったのだが、東名走行中、掛川を過ぎたあたりで、横浜町田ICあたりで事故発生。秦野中井付近まで渋滞との知らせ。
仕方ないので、御殿場で降り、東富士五湖経由で、中央道に乗りなおす。日曜日の午後7時ごろ、中央道は高井戸まで渋滞もなく、午後8時過ぎには下北沢に到着。
鯛家で、お疲れさまの祝杯を挙げる。あれこれつつき、Bar Alumatt Colorsで、旅の反省会?
「いやあ、いきのサービスエリアのレストランで、ウェイトレスの女の子たちに、ちょっとやられましたよ」と語るTさん。
「そういえば、ウェイトレスの制服の下からのぞく紺色のソックスが、高校の制服との兼用って感じで、初々しかったですね」
「ちょっと恥ずかしそうに、水のおかわりをしてくれるあたりがもう……」
「そういえば、Tさんさぁ、おれがレジでお金を払っているとき、なんか、体の動き止まっていたでしょう? あれってレジ横においていた爪楊枝入れのせいだよね。"私たちの手作りの爪楊枝入れです。旅の思い出にお持ち帰りください"とか書いてあった、千代紙で作った爪楊枝入れ……」
「あ、微妙なとこ、思い出させるなぁ」
Tさんは、手を伸ばして、その爪楊枝入れを持ち帰るかどうかで、激しく葛藤していたそうである。
キャバクラではときにスタッフにセット料金を値切るハードネゴシエイターともなるTさんだが、木曽山中のウェイトレスを目の当たりにすると、心が不意に少年になるのである。あるいは、やや早い「墨東綺譚」というべきか、「断腸亭日常」……。
「いつかまた、あの取りわすれた爪楊枝入れを取りにいくためにドライブに行かなきゃね。そのときは付き合ってあげるよ」
「どの子が作ったのか写真つきであったらいいかも……」
「それはブルセラショップの発想だと思うから、やめたほうがいいよ」
つまり、そういう人生の午後。
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