【映画2006】ナルニア国物語 ライオンと魔女
ワーナーマイカルシネマズ板橋8番THXスクリーンにてDSR鑑賞。
世の中には2種類の映像作品がある。動物が話す映画と話さない映画である。動物には、哺乳類だけでなく、魚類や、爬虫類、昆虫も含まれる。そして、おれは動物が話す映画が苦手なのである。
高橋よしひろの漫画「白い戦士ヤマト」なんて、「バカ野郎! 犬がしゃべるか!」と、投げ捨てたくなる。
「みなしごハッチ」なんて、「バカ野郎! ハタラキ蜂が女王蜂を探して、涙を流すか」と、殺虫剤をかけたくなる。
新美南吉の「手ぶくろを買いに」なんて、「バカ野郎! 狐に手袋がいるか!」と、エキノコックスを食わせてやりたくなる。
「ドリトル博士」なんて「バカ野郎! 話さなくていい動物を話させやがって」と、院内感染をさせたくなる。
ピクサーの映画は好きだが、「アンツ」と「ファインディング・ニモ」が微妙なのは、「話す動物」系だからだ。
映画「ナルニア国物語」は、話す動物だらけ。物語の主軸となるアスランはライオンだし、兄妹はビーバーに導かれて旅をするし、狼が恫喝してくる。乗った馬は話しかけてくる。たぶん、話せる動物のバリエーションでは、ドリトル先生をしのぐのではないか。
ついでに「ナルニア国物語」といえば、現実ととなりあった異世界ものの原型のひとつでもあり、伝説成就ものの原型のひとつでもある。
もうね。苦手なものだらけですよ。
原作者のリュイスも、ナルニア以外では、「別世界物語」三部作を5回くらい読もうと試みているのだが、そのたびにページの文字をトレースできずに、目が流れていき、相性が悪いとしか思えない作家なのだ。
なんだか説教くさいんだよな。
原作のシリーズを読んだのは、小学5年生のときだが、そのときは、話せる動物アレルギーがここまでひどくなかったから、それなりに楽しんだし、「朝びらき丸、東の海へ」なんて、かなり好きだった。
事前に思うところが、とてつもなく多い映画だったのだが、実際に見てみると、これ、おもしろいよ! ディズニーの実写映画では、ひさびさのヒットだね。
もちろん「ロード・オブ・ザ・リング」ほどの豊かさはないのだが、第二次世界大戦中のロンドン、田舎の屋敷、ナルニア国と三つの世界を効果的に配置し、4人兄妹のキャラクターをくっきりつけていること、そして、主人公たちの成長がきちんと描かれているあたり、娯楽映画の脚本として、非常に好感が持てる。クライマックスの戦争シーンは、原作のイメージからいって、過剰であるけれど、サービスと考えれば、許容範囲。
ストーリー全体がご都合主義に覆われているともいえるんだけど、にごりがないキャラクター造形をしているから、それがイヤミにならない。
さて、しゃべる動物だけれど、今回、なぜか気にならなかったのは、リアルとファンタジーとを問わず、思いついたものすべての存在が、ぶちこまれたような、ゆるい世界観のおかげかな。
なにより、圧倒的なCGアスランのおかげかもしれない。生のライオンよりすごいよ。そのすごさのおかげで、あれはライオンではなく、アスランだと……、しゃべる動物ではなく、しゃべる幻想的クリーチャーなのだと思えるようになったのだろう。
