【読書】「黒い太陽」、「私は障害者向けのデリヘル嬢」
キャバクラにはいったことはなけれど、銀座の素敵なお店をよくご存知の西上心太さんが読後、「キャバクラに詳しくなった(笑)。」と書かれ、「キャバクラに造詣が深い、マイミクの柴尾君の「目的」は奈辺にありや。」と、問いかけをされた作品が「黒い太陽」である。
新堂冬樹という作家は読んだことはないのだが、なんというか、べたべたの話ですなぁ。
父親の入院費用を稼ぐため、池袋のキャバクラの新人黒服になった19歳の立花。ふとしたことで、「風俗王」の藤堂社長に見込まれ、独自の幹部研修を受けることになる。だが、愛した女のもらした一言から、みずから風俗王を目指し、藤堂社長を倒すべき敵とする。
風俗業界に激震!とのことだけれど、うーん。キャバクラへそれなりに通ったことのある客がこれを読んで「そうだったのかぁ」と、膝を打つことはあんまりないと思う。というか、そこまで完璧にだましてくれるキャバクラというのもなかなかない。
「ここまで書かれると商売がやりにくい!」
新宿歌舞伎町のキャバクラ店長も絶句したリアリティ
カネと女、欲望と野心、虚と実が絡み合った夜のサンクチュアリ
キャバクラ、そこはたった一人の勝者しか存在しない場所??
三兆円産業の頂点に君臨する風俗王を目指した男の見たものとは!?
新田たつお氏(『静かなるドン』作者・漫画家)驚嘆!
うすうす、こういう世界かと思っていたがここまでリアルな現実に打ちのめされた。もうキャバクラには行けない……。
『静かなるドン』作者・漫画家 新田たつお
つけまわしの話、フェアやイベントの話、フト客の話、黒服との風紀(スタッフ×キャスト恋愛)など、多くのネタはインターネットに転がっているものばかりだ。おれには、ホスラブのほうが勉強になったし、ある程度、友達になった女の子からは、もっとメリハリの聞いた話が聞ける。
また、主人公の視点で描いているためにしょうがない部分も多いのだが、水商売の女性に対するルサンチマンが強すぎて、ひいちゃう部分もある。自分のキャバクラを守るために、自分が心から愛した女を犠牲にするなんてドラマもあるのだけれど、でてくる女性の造形が弱く、説得力がない。男の被害者意識が見えすぎるのだ。
おもしろくは読めたのだけれど、けっこう物足りなくもあった。
まぁ、キャバクラやキャバクラ嬢の内幕を客が知ったとしても、その客は「ほかの客はそうかもしれないけれど、自分はちがうからね」と、思うもので、これを読んだからといって、キャバクラへの足が止まることはないだろうね。
黒い太陽
最近、読んだ風俗関係では「私は障害者向けのデリヘル嬢」が、好感。内容的には2年ほど前に出た「セックスボランティア」に軍配が上がるが、著者のスタンスに好感が持てる。なんというか、キャラクターがよいのだ。
「キスしてもいい」あるいは
私は頷いた。しかし、唇を近づける一瞬、ためらう。歯が、汚れているのが見えた。歯磨きをおろそかにしているお客様は、風俗時代にも多かったし、身体が不自由だと、歯磨きを毎日丁寧にするのは難しいだろう。
(中略)
歯並びもあまりよくなくて、汚れが詰まっているのが見える。触れば、ぬるっとしそうだ。でもそれは仕事。やっぱり嫌です、ともいえない。今までだって、もっとすごいところを舐めてきたじゃないか。私は、えいっと意を決してキスをした。
まず、性器を清浄綿で拭く。
「デイサービスでお風呂に入っているから、軽くで大丈夫ですよ」
東田さんのあそこは、まだ大きくなっている状態ではなかったので、亀頭の部分をそっと指で押し出し、皮を剥いて拭こうとした。その瞬間、「うっ」と私は声を詰まらせてしまったのだ。
多分本人も知らないだろうが、その部分には、垢が真っ白にこびりついていたのである。そこは、もちろん誰でも一番汚れやすいところなので、しかたがない。風俗でも、剥いてボディソープをつけて丁寧に洗うのが当然の場所である。
(中略)
私は清浄綿でごしごし拭いた。が、白い垢は取れているのか取れていないのか、消しゴムのカスのように性器にくっつくだけで、あまりきれいにならない。
(中略)
本人はきれいだと思っているのに、あまりごしごし拭かれたら、誰だってよい気分はしないだろう。私は仕方なく、それ以上拭くのを諦めた。
(中略)
そして、フェラチオ。私は唾液をいっぱい口に溜めた。東田さんの性器を口に含む寸前に、それを垂らしてみる。指でしごくように見せながら、さっきの白いものを指で舌のほうへ押しやってみる。いわば自分の唾液で洗っているようなものだ。
いや、これはもう大変な仕事だと思うのだけど、本人の文章にどこか飄々としたところがあるので、読んでいて、幸せな気分になる。映画にするとおもしろい素材だと思う。身体障害者と風俗嬢というネタを映画化するのは大変だろうが、ロードムービー的な要素まであり、うまくはまれば、いい作品になるだろう。
障害者差別の問題に関する考察は生硬なものだけど、巧まざるユーモアが上品なテーストを生み出している。
私は障害者向けのデリヘル嬢
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