【映画2006】プロデューサーズ
中学の同級生、ニシカワくんと午後6時過ぎに六本木で待ち合わせ、Abbot's Choiceで軽く引っ掛けてから、43歳の男ふたりで、VIRGIN 東宝シネマズへ。
VIRGIN東宝シネマズ7番THXスクリーンにてSDR鑑賞。
いままで、折に触れて戸田字幕に文句をつけてきたおれだが、今回は感心するところがとても多かった。こういう艶笑要素の強いコメディミュージカルと、戸田字幕の相性がいいのか。それともソニーピクチャーズがしっかりしていたのか。
「プロデューサーズ」はもともと、メル・ブルックス監督の劇場映画デビュー作である。この作品は未見だし、2001年にミュージカル化されてブロードウェイで公開されたものも見ていない。
不作続きのブロードウェー・ミュージカルのプロデューサーが、出資金を集めるだけ、集めて、大コケしたほうが儲かると、発想を転換。会計士と組んで、最低の脚本、最低の演出、最低の役者で、外れること確実の舞台を作るというストーリー。
21世紀になって、こういう作品を見るとは思わなかった。人懐っこく、下世話で、エネルギッシュで、無駄にぜいたく! 最盛期のドリフターズの番組を大予算で作ったような感覚さえある。
それは70年代コメディの空気といってもいいかもしれない。「ヤング・フランケンシュタイン」や「ブレージングサドル」、「サイレント・ムービー」など、メル・ブルックスがコメディを連発していた時代の空気が、熟成されてよみがえったみたいだ。
ちなみにメル・ブルックスのコメディでは「ヤング・フランケンシュタイン」と「ブレージングサドル」が好きなのだが、このあたりの作品はテレビで見ることばかり。だから、問題がひとつあって、メル・ブルックスが好きなのか、吹き替えの広川太一郎が好きなのかわからないということだ。
このこのこのぉ! そんなことをばいっちゃったりしちゃったりしてさぁ、バニククー夫人、なんてさ! ツンツン!
今回、この作品を見て、どのあたりがどれくらいメル・ブルックスなのかが、くっきりわかった気がする。
あえて引き合いに出すのだけれど、三谷幸喜の作品は、デリケートかつ繊細に作り上げた盆栽のごとき精緻なコメディだが、メル・ブルックスの作品には、ぶっとい筆をブルドーザーの先につけたような、押しつけがましい笑いがある。「こうすれば笑うんだろ?」と自信を持って作り上げ、「参りました! 笑っちゃいました!」と、レイプされたような圧力を感じる。
「スペースボール」など、一時のメル・ブルックス作品にはそれが空回りするときもあって、興ざめになったこともあるが、ミュージカル化され、強制多幸症に押しやられる効果もあいまって、その圧力を甘んじて受けてしまった。
いや、こんなので笑ったらおれの負けなんだけど、今回は負けてやってもいいかな。という感じだ。
もちろん、実作に当たってはそんな大雑把なものではないと承知しているし、ユダヤ人であるメル・ブルックスが、作中でヒトラーを笑いのネタにする構図は見事なのだけれど……。
スウェーデン出身のセクシー女優を演じるユマ・サーマンがすばらしい。なんちゃってスウェーデン訛りで歌って踊るナンバーも麗しい。
気の小さい会計士役をするマシュー・ブローデリックにはたまげた。「ウォー・ゲーム」や「レディホーク」、「フェリスはある朝突然に」なのにね。
ほとんど知らない人だったのだが、主演のネイサン・レインの芸達者もたっぷり堪能できた。
いっしょにいったニシカワくんは、最近、映画とかを見直してみようと思い立ったまっとうな会社員なのだが、ユマ・サーマンのことを「あれって有名な女優さんなの?」というくらい、最近の映画を見ていない人だ。
そんなニシカワくんもとてつもなく幸せそうで、ああ、男ふたりでこういう映画を見に行くのも悪いものではないかもしれないと、思ったよ。
ちなみに舞台版は、2001年、911でアメリカが変わる前の最後のミュージカルとして考えてみると、ちょっと感慨深かったりするのだが……。
映画のあとはニシカワくんとAGAVEへ。テキーラ信者を増やそうと深く静かに画策中。
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