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【映画2006】アンジェラ

 ワーナーマイカルシネマズ板橋2番スクリーンにてSRD-EX鑑賞。

 最近は脚本や制作ばかりを担当しているリュック・ベッソンがじつに久しぶりにメガホンをとった作品だ。


生まれてはじめて誰かを

愛しいと思った



48時間後、俺の命は奪われているかもしれない。

こんな人生、もうたくさんだ。

アレクサンドル三世橋から見下ろすセーヌ河。

ここで何もかも終わりにしようと思った。

その瞬間、突然、君が隣に現れた。

透けるような白い肌に神々しく輝く金色の髪。

細く、長く、滑らかな曲線を描く肢体を持つ、美しい人。

俺は君を見上げ、息を呑んで、そこに立ちすくんだ。



「あなたと同じことをする」

いきなりそう告げて君は飛び降りた。

次の瞬間、俺も君を目がけて飛び降りていた。

「死なせたくない」

あまりにも無謀で、無垢で、はじめての感情だった─。



アンジェラ、君は一体、何者なんだ?

 と、オフィシャルなストーリー説明だけれど、いやあ、苦労しているね。この映画、ネタを明かしてしまえば、ほんとうに他愛もない作品となる。レビューを書くのも苦労しちゃう。

 リュック・ベッソンは「グレート・ブルー」を(一週間で打ち切られた)ロードショー公開で見て以来、ずっと気にしていた人なんだけど、かなり困った作品だ。

 ヒロインのリー・ラスムッセンはほんとうに美しい。どうやっても乳首が露出するダイヤのビスチェをつけていた、デ・パルマの「ファム・ファタール」では、ここまで立ち姿が美しい女優とは思わなかったが、とにかく、この映画では、圧倒的に美しい。彼女の美しさが映画の説得力のすべてだ。

 主人公のジャメル・ドゥブーズは「アメリ」でも印象的だったが、今回もまぁ、いい感じでがんばっている。

 全編ふたりがしゃべりっぱなしの映画である。フランス語はまったくわからないので、会話の妙はまるっきりつかめず、字幕に頼るしかないのがもどかしい。

 昼間はフランスの警視が英語でしゃべる「ピンクパンサー」を見ていたと思ったら、今度はアメリカ大使館でアメリカ人同士がフランス語でしゃべる「アンジェラ」というのが、人生の皮肉ってやつだ。

 これフランス語で聞いたら、もうちょっと印象がちがったのかなぁ? 果てしなくオチのない漫才をずっと聞いている印象で、メリハリがなさ過ぎるし、名セリフといえるものがないので、つらい。

 とにかく、問題は主人公に感情移入がまるっきりできないってことだ。その主人公が、何の根拠もなしにこんなにいい女に、運命を変えてもらえるなんて、赤の他人が宝くじを当てて幸せになるのを傍観するのと変わらない。

 クライマックスはちょっと心が動いて、涙もちらりと出たんだけれど、おれはつまり、涙もろいから……。

 映画全編がモノクロなんだけど、そのよさも出ていない。まいったなぁ。ベッソンにはもうちょっと映画ってものを思い出してほしい。

 「グレート・ブルー」のころから、ぼくたちも少しは、大人になっているというのに、ベッソンは、まだナイーブな少年のまま、斧を落とした泉の中から女神が出てくるのを待っている……。そんな気のする映画だった。

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