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【テレビ番組】ザ・ヒット・パレード~芸能界を変えた男・渡辺晋物語~

 ナベプロの創始者、渡辺晋が主人公のドラマだ。この時代のことは小林信彦の著作や、軍司貞則の「ナベプロ帝国の興亡」を読んだ程度の知識しかない。

 ただ、すぎやまこういち先生をネプチューンの原田泰造が演じるというし……、フジテレビではさんざん番宣をやっているし……、二晩連続で見てしまった。

 テレビの草創期を描いている作品はいくつもあるけれど、フジテレビが「ザ・ヒットパレード」という番組を軸に、自社とつながりの深い芸能プロダクションの創始者を描くのは、おもしろい。

 二夜連続の前編は、それほどおもしろくはなかった。昭和23年、戦後間もない時期に早稲田大学法学部に通う、渡辺晋を柳葉敏郎が演じているのだが、秋田弁の香る柳葉のイントネーションがひっかかるし、演出の意図だろうが、出てくる人たち全員のオーバーアクトが鼻につく。

 ひもじいなか、米軍クラブのバンド演奏で、アメリカの豊かさに触れ、芸能の世界に入るという冒頭の意図はわかるのだが、演出は単調だし、日米の落差がうまく表現しきれていないから、中途半端にみえる。

 米軍クラブでのシーンでは、会場にいるのは男の米兵ばかりだし、その全員が、ステージの上の渡辺たちを見ているというのが、うそっぽすぎて……。

 米軍クラブで「ハンバーガーなんか、初めて食べたよ」というセリフで、当時の日米の格差を表現しようとしているが、物足りない。夢のアメリカと貧しい日本をくっきり対比させるためなら、シナリオでもうすこし工夫すべきだろう。

 とにかく前半は20代の若者の役を40代のおじさんたちが演じている違和感が大きく、青春を描くには苦しすぎる。

 脚本のコミカルな要素と演出とがうまくかみあっていないときもある。時代演出のセットを見せるためか、正面から撮った引きの絵での入りが多くて、あらゆることが他人事のようだ。

 ザ・ピーナッツとスーパーが入っているのに、「この姉妹がのちのザ・ピーナッツです」としつこくナレーションが入るなど、うっとおしい部分は多いし、26歳の青島幸夫を40歳の石黒賢がにぎやかに演じるなど、若いメディアをおっさんが作っている印象はきついし、テレビ屋の前で「大人の漫画」を見ている笑いまくっている人々の姿がいたいたいしい。

 おもしろくなったのは、渡辺プロを立ち上げたあたりから。

 いやもう、むちゃくちゃ書いているんだけれど、「ザ・ヒットパレード」立ち上げのあたりから、おもしろくなりはじめていく。このあたりはちょっとした「プロジェクトX」ノリだ。

 役者が、おっさんばかりでなければ、ほんとによかったのに……。

 そして、後編。急成長を続けるナベプロ。役柄と役者の年齢のギャップが気にならなくなるのは、ビジネスとしてのスケールが大きくなり、さまざまな摩擦や軋轢がドラマを盛り上げてくれるようになってから。

 時代を彩るエピソードと、クレイジーキャッツから、ザ・タイガース、キャンディーズまでの多彩な登場人物がでてくるあたりや、 「財界」との軋轢の中で、「かつてわたしが頼もしいと感じた渡辺晋はいまのあなたではありません」などといわせているあたりが、ドラマ作りの上のポイントなのだろう。

 ドラマとしてはたいへんおもしろかったが、渡辺晋を評価するドラマを作るのであれば、渡辺晋が生み出したものとは、つまり何かをもっとくっきりと「見せて」ほしかった。 原盤制作ビジネスを「あなたはだれもやったことがないから、やるのよね」という「理由」で、処理している物足りなさは、つらいところ。

 渡辺晋が日本にエンターテインメントを根づかせたのはひとつの事実だが、その成果が単なる過去ではなく、いかに今日につながっているのか。渡辺晋がいなかったら、日本のエンターテインメントはどうなっていたのか。そういったなにかをみたかったのだが、それを求めるのは、欲張りすぎだろうか。

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コメント

暴力団と興行のしがらみをいかに断つのか(ナベプロの“販促興行”)という命題も,映画ならともかく,テレビでは描きにくいのは仕方ないし。

米軍クラブの雰囲気って,我々は二次資料でしか知り得ないわけだけど,確かに“ステッキ・ガール”がいないのは奇異ですよね。これもテレビの宿命か。

コメント&トラックバックをありがとうございます。

ぼくの世代のリアルタイムでいえば、「スタ誕」など、日テレとの確執なども無理と承知で見たいところです。

この日のフジテレビの番宣がらみは、いろいろと珍しい映像が流れていて、そっちを録画しておけばよかったと、思ったりもしました。

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