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【日常03】愛の自転車道中

 福岡でお世話になった9(きゅー)さんが、上京されているという。キクさんといっしょに飲んでいるそうだが、いろいろと用事があって、駆けつけたのは午後9時30分であった。

 池袋の焼酎バー「御焼」に到着。9(きゅー)さん、キクさんのほかに、アフロさん、さちこさんが飲んでいる。


 4月に大手術を受けたばかりの9(きゅー)さんは午後10時30分に撤収する。いっしょに飲んでいる女性の分まで、5,000円を置いていく。男前だ。

 その後、キクさんが上半身をはだけて乳首を露出しまくったり、乳首の周りをアイスキューブで愛撫されたり、パンツの中に特大の氷が入れられたり、アフロさんが腕ひしぎ逆十字をかけたり……と、「御焼」ではよくある光景が展開される。キクさんは47歳である。

 ぼちぼち電車がなくなると、さちこさん、アフロさんが店を出る。

「あれ? 9(きゅう)さんの置いてったお金は?」
「そういえば、アフロさんが手元に」
「やばぁ! あいつ持っていったなぁ」
「まだ、店の外にいますよ」
「BAOH!!さん、ちょっと待っててください。取りもどしてきます」

 そういってキクさんが店を出る。大きな窓から、店の前であれこれやっているのが見える。

 あれ?

 アフロさんとさちこさんが、2ケツで自転車に乗り、そのあとをぺたぺた追いかけるキクさん! 自転車は「御焼」のスタッフのものだ。

 上にもどってきたスタッフに声をかける。

「キクさん、どうしたの?」
「池袋駅までふたりを送ってくことになったみたいですよ」

 それが、午後11時20分。駅までは早足で10分くらいかな。まぁ、少し待つことにしよう。

 酒を飲みつつ、同席した人と話をしたり、携帯でmixiを見ながら時間をつぶす。

 しかし、帰ってこない。いつまで待っても帰ってこない。

 深夜0時、さすがに心配になって、電話をかけた。

 電話にはなかなかでなかったが、やっと出てくると……。

「いやぁ、道に迷って、いろいろやっていたんで、遅くなってるんですよ」

 池袋の住人であるキクさんが道に迷うとは、よく分からないシチュエーションだ。

「て、いま、どこにいるんですか」
「駅前のマクドナルドのあたりなんですけど、いろいろあって……」
「終電とかあるんで、いつごろもどってくるのか知りたいんですが……」
「あと10分で……」
「わかりました。帰ってきてくださいね」

 頭の中で選択肢を考える。答えは二つある。

 ひとつはキクさんの帰りを待つ。この場合はタクシーで帰ることになる。

 ひとつはキクさん、9(きゅう)さん、アフロさん、さちこさん、自分の5人分の支払いをして、終電で帰る。

 NO WAY!

 0時15分にまた、電話をかける。

「どうしたんですか」
「いや、それが自転車で二人乗りをしていたら、おまわりさんに追いかけられて」
 はあ? なにをやっているんだか、自転車は店のスタッフのものである。当然、盗難車のチェックはあるだろうし、そんなややこしいことになったら、キクさんも店には帰ってこれない。
「どんなかんじでしょうか」
「なんとか、まいたんですが、あと10分くらいで店にもどります」

 もどってきたのは0時35分であった。終電は0時45分だ。とりあえず支払いをすませ、池袋駅までダッシュで帰る。

 間に合ったけれど、ぼろぼろ。

 もういや!

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