【映画2006】日本沈没
バカなネタを思いついてしまった。豊川悦司の田所教授の声で、お読みください。
よく聞け! 興行の不発は「ゲド戦記」から始まる。
日本の映画館は、その不入りに耐え切れず
つぎつぎにつぶれていく。
ワーナー! フジ!間の
「ブレイブストーリー」が不入りだったら
そのときはもうおしまいだ!
樋口真嗣の大失敗とともに 日本映画界は
一気呵成に沈んでいくんだ!
失礼しました。こんなことにならないといいよね。
さて、ワーナーマイカルシネマズ板橋2番スクリーンにて、SRD鑑賞。三連休最終日のレイトショーは完売で劇場は満員。今回はネタバレありまくりです。
「日本沈没」というタイトルの映画なのに、この映画の中には日本を愛している人がひとりもでてこないんだなぁ。
前作の「日本沈没」の前半には海岸でセックスをする小野寺と玲子にシンクロして、伊豆天城山が噴火するシーンがあった。
滅びの前兆と、生の象徴である性行為のコントラストが、作品全体のテーマを暗示し、破滅的な状況の中で、もがくように命にしがみつく日本人たちの姿を熱く描く本編へと流れ込んでいた。
一方、新作の映画「日本沈没」に登場するのは、生きることの理由さえ喪失した人々ばかりだ。
だって、たいへんだよ。日本が沈没しちゃうんだよ。
総理役の石坂浩二が「いろいろな意見を聞いた結果、日本人は脱出することなく、日本とともに滅んだほうがいいというとっぴな意見もありました。おかしな話ですが、わたしもそれが一番いいとさえ思うんです」なんて、信じられないようなセリフを吐く。
映画がはじまって早い段階で日本の元首がそんなことをいうのかよ! はじめっから、滅びの美学かよ。
そのあと、総理は交渉のため、中国に向かったものの、政府チャーター機が、九州上空で阿蘇山大噴火に巻き込まれるというマヌケな展開で絶妙。そんな無責任でバチ当たりなことをいうから、天罰が下ったんだよ! 映像としての無駄な迫力が、滑稽さを余計にましていた。
東京から、中国のどの都市に行くのに、わざわざ、阿蘇山上空を飛ぶっていうのだろう?
冒頭で沼津あたりの地震が登場するが、それっきり、総理爆死のシーンになるまで、災害らしい災害は映像で描かれず、危機管理担当大臣で、能面のような大地真央と地球生命学博士の田所博士(豊川悦司)が、数字が変わる画面を見て、ひりひりした演技をしているだけ。
アメリカの科学者の発表した30年程度で日本が沈没するという研究結果を、自分なりに解析しなおした田所博士は1年未満で日本が沈むといいだす。
その結果、研究から外されるのだが、いつの間にか、日本政府も田所博士のいうスケジュールどおりに動いていて、D1(研究分析)計画始動からD2(日本脱出)計画まで、わずか5分で動き出す。
じゃあ、田所が外されたという流れはなんなのだよ。
危機を理解せず私利私欲に動くステレオタイプな首相代行の官房長官は、すでに3,000万人以上も日本人が死んでいるのに、ヒトラーより冷酷かつ浅薄なことをいっているし……。
「賄賂のように、日本の国宝をアメリカに出して、情けを乞おうというのですか」みたいに叫ぶ、うすっぺらな大地真央を見ると、日本人がひとりでも多く救われるのなら、国宝の10個でも20個でもくれてやれと思う。
ハイパーレスキュー隊員という柴咲コウは、オープニングシーンでちょっとかっこいい救出シーンを演じたあと、なにげない訓練シーンで腕をねじって以降は、もんじゃ屋の気のいい店員状態。たとえ事故で出動できなくてもハイパーレスキューの隊員なら、後方でするべきことはいっぱいあるだろう。その事故にしてもたんなるうっかりだし……。
深海潜水艇パイロット役の草彅剛は、一度、田所博士といっしょに潜って以来、ずっと仕事もせずに都内で、柴咲コウと不器用な愛を語らっているし、日本中の災害スポットを狂言回しのように行脚している。結局、こいつの自分探しのゴールが日本の未来につながるわけで、それもいかがなものか。
田所博士の調査にしても、日本のあちこちと、ジャワ島と動き回ったデータをちょいちょいとコンピュータに入力し、1年で沈没という結果が出たとたん、液晶パネルにやつあたり、グーで殴って終わるだけ。科学者だったら、入力したデータを洗いなおすとか、普通にやれよ。
柴咲コウと草彅剛の恋愛については、かけらほどの説得力もなく、脚本家に「おい、無理すんなよ!」といいたくなる。あの流れの中で、「いっしょにイギリスにいかないか」といったら、ストーカーレベルだし、生き残りを代償に口説いているんですかといいたくなる。
「阪神大震災で家族全員を喪ってから、愛した人を喪いたくない、だから、だれも愛さないことに決めたの」なんていう女にどんな説得力があるのだろう。
だったらきっと柴咲、処女だろうなと思っていたら、直後にテントの中で「抱いて」とかいってるし、草彅から「生き残ってロンドンで会うまでは抱かない」とか、断られているし、もう、訳がわかりません。
草彅くん、童貞ですか。女に恥をかかせるなよ。抱いてやれよ。とか思っていたら、草彅くんは、アルマゲドンばりに、そのまんま特攻して日本を救っちゃうわけですよ。
そこまで決意しているんなら、とりあえず一発やっておけ! ばかもの!
特撮に関しても、大部分がちょっと動くストーリーボード程度のもので感心しなかった。「日本沈没(イメージ映像)」って感じだ。
日本を救うN2爆弾はまんま、「エヴァンゲリオン」ネタだし、そのあとの爆発のプロセスは、まんま「トップをねらえ」ネタだけど、臆面もなくよくやるなぁ。
冒頭のシーンにもどるのだが、地震に遭遇して、クルマからやっとの思いで這い出してきた草彅くんの視野に、女の子が入る。すぐ近くにあるガソリンスタンドから、ガソリンが流れ出す。揺り返しで火花を散らす電柱が倒れそうになる……。いわば、ヒチコックの「鳥」でおなじみの典型的サスペンスシーンなんだけど、このカット割りが最低!
全ての要素が入っていながら、まるで有機的につながっていない。どこかの映画専門学校に入りなおして、勉強しなおしたほうがいいよ。
ああ、ひどい演出をするなぁとあきれていたら、全編、そのレベルのくりかえしだった。
音楽の使い方も幼稚だし、SEの入れ方も雑だ。映画の尺全体を使って、観客の興味と感情をどのようにコントロールするかの計算がなされていない。
日本が段階的なプロセスを踏んで崩壊していく描写もないから、もうずたぼろ。
さらにスーパーインポーズの文字が多すぎ。せいぜい都市や場所名とか、時間経過だけを表示すればいいのに、研究のプロセスについて解説するは、自衛隊の揚陸艇「LCAC」の登場シーンまでいちいち「LCAC」とテロップは入れるは……。
もう、ミリタリーマニアの映像コレクション映画なのだね。
「会津若松」とテロップが出たあとに、「この地方に被害はない」なんて文字が出たときは、これはどういう映画だと、逆上しそうになった。
旧作「日本沈没」や、それを引用した「トップをねらえ!」からの引用らしいが、あきらかにやりすぎ。
そのうち、「小野寺は彼女を愛していた」とか、「しかし、彼女の愛にはこたえられないと思った」、「爆発の影響で小野寺は死んだ」とか、文字が流れるんじゃないかと、マジでヒヤヒヤしたよ。最後は松本零士の巻紙か、坂田信弘のポエムでも表示されそうな勢いだ。
そんなどうでもいいことはテロップで表示していても、肝心の日本に残された時間は最初に提示されて以来、まるっきり出てこない。
人間たちの行動原理が浅薄なものや、せこいもの、意味不明なものだらけで、もうちょっとだけ、人として誇らしい気分を味わいたいと思ってしまうのだ。
「日本が沈没する」ということから生まれるドラマや感動はもっとたくさんあるだろう。しかし、この映画にあるエモーショナルな要素は、あまりにもお手軽すぎる。世界中から最高級の素材が届きずらりとならんでいるのに、それを料理することなく、その前でカップラーメンを食べさせられているような気分だ。
もうちょっとみんながんばって生きようよ!

コメント
臆面も何も
エンディングスタッフロール見てれば分かるとおりエヴァ監督である庵野夫妻の名前出てますよ
投稿者: ・・・ | 2006年07月22日 17:19
■・・・さん
庵野秀明は、出演とメカデザインをしています。
では、同様に出演している「働きマン」などの作者である安野モヨコからなにが引用され、「ガンダム」の富野由悠季から、なにが引用されているのでしょう?
友情出演をさせるのと、その人の作品から引用するのとはまた、ちがう問題ですよね。
同様にメカのデザインをしているのと、ストーリーを重複させるのは、ちがう問題ですよね。
投稿者: 柴尾英令 | 2006年07月23日 19:28
そんなん本人に聞けよ
投稿者: Anonymous | 2006年07月23日 21:58
> そんなん本人に聞けよ
頭の悪いコメントですなあ。
投稿者: モリゾー | 2006年07月24日 02:59
日本沈没を見てきました。特撮シーンは本当によくできているなと感心しました。しかし、非常に重いタイトルなのに、その悲しみがまったく伝わってきませんでした。唯一感情移入できたのは小野寺が命をかえりみず日本を救うために潜っていったシーンだけ。これは小野寺という男の愛の物語なんだと思いました。しかし、この映画の主役はすべての日本人と、長い間日本人を支えてくれた日本列島そのものであるべきです。実現は無理でもそういう雰囲気を持った作品はありうるのでは。日本沈没という壮大なテーマのアンチテーゼとして真実が判明するまでの過程をじっくり描いてほしかった。タイトルバックのあと、いきなり外国人科学者に日本沈没の事実を告げられ、そのすぐ後、田所により一年以内という期限まで明らかになり、その時点で興ざめしました。全国各地で大地震が続発し、徐々に衝撃の事実が明かされていくほうがリアルに迫力が伝わった気がします。
投稿者: チェイサー | 2006年09月09日 19:08
樋口真嗣というやつには要注意だ。あれだけ宣伝したローレライの時も見終わって腹がたってきた。ストーリーがまるででたらめ無茶苦茶で特撮も中途半端。宣伝に金かけて観客を煽動する手口でこいつをヨイショする連中は詐欺師集団といえる。
投稿者: 映画評論家 | 2006年10月04日 07:45
福田麻由子ちゃん、美山加恋ちゃんとまちがえるほどそっくりでした…
投稿者: 快速玉川上水 | 2006年10月16日 20:44