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【映画2006】UDON

 あ! やられた!! こうやって「フィールド・オブ・ドリームス」をアレンジされたら、文句はいえない。

 ワーナーマイカルシネマズ板橋8番THXスクリーンにてSRD鑑賞。

 香川高松には、さくまあきらさんと何度も行き、そりゃもう何杯もの讃岐うどんを食べてきた。麺通団の一員で、今回トータス松本が演じる役のモデルとなった安藤芳樹さんが案内してくれた製麺所には、たしかに衝撃を受けた。

 うまくて、暖かくて、安い!

 香川県各地に散らばる製麺所のアクセスの難しさが、一種のゲーム感覚を伴い、讃岐全土をテーマパークとする発想も興味深く、その醍醐味は今回の映画にしっかりとりいれられている。


 とはいえ、そんなに期待していた作品ではなかった。ニューヨークの売れない日本人コメディアンが夢破れ、帰ってきた故郷の高松で、タウン誌にもぐりこみ、讃岐うどんブームの火付け役となるあたりは、なぜ、彼がもとコメディアンである必要があるのかがはっきりしないし、麺通団の人々など、事実をもとにしておきながら、冒頭でツキノワグマと遭遇させるなど、あえてリアリティを半ずらしにする意図はどこにあるのかなど、映画としての流れに困惑しながらみていた。

 主人公であるユースケ・サンタマリアの目指すものが、何であるのか、わからないまま、たまさかの巡り会わせで、とんとん拍子に成功していくだけの話は、映像的にたくみに作られているものの、ゴールが見えないドライブにつきあわされているようで、上手だけれど、エモーショナルなよりどころがなく、困ってしまった。

 さらにCGとパロディ満載のキャプテンUDON映像の悪ノリを見せられたあたりで、いかに「アリキリ」の石井君が楽しそうに演じているとはいえ、ああ、これはつまり、おれにどう思えというのだと、スクリーンに向かって、真剣に問いかけたくなったくらい。

 かろうじて、小西真奈美のヒロインが愛らしかったことが救いで、うどんを見るより、彼女を見るほうが、おれはいいけどな。ああ、黒目がちのあの目に吸い込まれるようだ。まさか、白いうどんとコントラストをつけるために、黒目が目立つ小西真奈美を起用したわけではあるまい。もしもそうだとすれば、本広監督もたいしたものだ。この映画がこのまま不調に終わってもおれは小西真奈美の思い出だけを大事にして映画館を出るよと、漫然と思っていたのだ。

 しかし、讃岐うどんブームを終わらせたあたりから、香川であって香川でない、漠然とした幻想の故郷感覚が徐々にフォーカスを合わせはじめ、これはつまり野球をうどんにした「フィールド・オブ・ドリームス」の日本式再構成だと理解したあたりから、心地よくそのリズムと空間に身をゆだねられたのは、なによりだった。

 鈴木京香と小日向文世の姉夫婦だからこそ、納得がいく流れには、思わずにんまりしてしまったし、この作品の中で展開される虚実のバランスは、抜けのいい映像表現とあいまって、ぎりぎりで成功している。

 半ずらしにしたリアリティは、普遍的な肉親の情愛をリアルに描くための仕掛けで、「ラストサムライ」が「あんな日本あるわけない」と思いつつも説得力ある「ニッポン」を描いていたくらいには、「こんな香川県はない」と思いつつも、しみいる「故郷」を描いている。

 2時間14分の上映時間はちょっと長いし、単純化しすぎた構図には物足りない部分もあるが、それでも好感が持てる作品だった。

    

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