【映画2006】ユナイテッド93
ワーナーマイカルシネマズ板橋5番スクリーンにてSRD鑑賞。
911アメリカ同時多発テロ事件で、ただ1機だけ、ハイジャックされたものの目標に到達することなく、墜落したユナイテッド93便の再現ドラマ。
離陸の遅れなどから、事件発生が遅れ、乗客が機内電話や携帯電話で地上と連絡をとったため、ワールドドレードセンタービルの惨劇がこの機内にも伝わり、自分たちの運命を知った乗客により「Let's roll」の一言とともに、テロリストへの反撃を行ったことが判明している
戸田奈津子だか、配給のUIPだかはなぜエンドロールの最後を翻訳しなかったのだろう。
「この映画はユナイテッド航空から一切の資金的援助も協力も受けていない」といった趣旨が書かれているのだが、作品の意味を考えるとき、そこにある「思い」をきちんと文字にすることは、非常に重要なのに……。
それに戸田字幕に限ったことではないが、こういう映画でフィートをわざわざメートルに書きかえる翻訳はそろそろやめたほうがいいと思う。
「ユナイテッド93」では、フィートとメートルが字幕内でごっちゃになったり、そうやってメートル法に言い換えているわりに気圧高度2992など、インチ表記になったり、ぼろぼろなのだ。耳ではten thousand feetと聞いているのに、3300メートルとか、書かれるギャップも大きい。
また、ハーンドン連邦管制センターはじめ、ボストン、ニューアーク、クリーブランドなど、各地の航空管制室や、NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)にシーンが切り替わるたびに、画面の左上にその地名をあらわす字幕が入る。
英語の字幕で説明しているのならともかく、わざわざ日本で独自につけているのだ。映画館の大きなスクリーンで下に出るセリフの字幕と、上に出る場所の字幕が同時に出るのは、ノイズ以外の何ものでもない。
こんな余計なお世話をして、観客の視野動線を奪う愚かしいことをしているのに、肝心なラストクレジットをおざなりにするとは……。
さて、この映画が事実をもとにしたドラマである以上、その悲劇的なラストは誰もが知っている。
「フランダースの犬」ならば、冒頭でネロやパトラッシュの命を明るく描けば描くほど、やがて来る死との落差から、観客の落涙を誘うのだろうが、恐ろしいことにこの映画にはそういうあざとさはない。
情に流されることを押さえつけ、ドキュメンタリーを思わせる手持ちカメラ一本の映像で見せつけてくれる「再現」は、とてつもない緊張感を伴い、この熾烈な状況の追体験を観客にもたらす。
この映画にはひとりのスターも出ないが、機内の登場人物として、たとえば早稲田大学理工学部2年生の久下季哉さんのように、われわれの身近な人がいる。
自分がこの便に乗らなかった理由はひとつもない。だれもが遭遇する難事として、かつてないレベルの感情移入をさせてくれる。
つくづく日常の延長としての悪夢だし、反撃する乗客の行動もヒロイズムを動機とするものではなく、極限状態の中の必然として、そのままに描いている。
もちろん目撃者が全員亡くなった以上、事件の「真実」はわからない。また、映画とは違い、最後に乗客がコックピットに入ることはなかったという事故調査の結果もある。
しかし、映画の丹念な技法を通じて積み上げてきた、人間ならば理解できる「真実」がこの作品にはある。
救いのない「結果」と知りつつ、すこしでも生きようとする人間たちの「経過」が救いといってもいいだろう。

コメント
フィートのまま字幕付けてる映画山ほどありますが。。。。
アナタは自分がよほど英語がおできになると言いたいのでしょうが、一般の観客は「耳で」ten thousand feetと聞いて、字で3300メートルと読むなんて作業してませんので。
それに字幕で説明してもらわないと、地名だけ書かれてもそこにあるのが何なのかわからない人だっています。中学生だって、年寄りだって映画を見るのです。
頭のよろしいアナタだけを基準にして文句を付けるのは横暴で傲慢です。
投稿者: JK | 2006年09月18日 12:46
■JKさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
> フィートのまま字幕付けてる映画山ほどありますが。。。。
そうなんですか。それはよいことだと思います。ちょっとほっとしましたよ。
> それに字幕で説明してもらわないと、地名だけ書かれてもそこにあるのが何なのかわからない人だっています。中学生だって、年寄りだって映画を見るのです。
おっしゃるとおり、若い層や老年層を考えたほうがいいと思います。
映画をご覧になればわかるように、字幕にはただ、「ハーンドン連邦管制センター」とか、「ボストン」、「ニューアーク」、「クリーブランド」とかの航空管制室だとか、北米航空宇宙防衛司令部なん地名だけが書かれているので、中学生やお年を召された方は混乱するでしょうね。
たとえば、ボストンとニューヨークとワシントンDCを北から順番に並べろといって、答えられる日本人はそんなにいないと思います。
それぞれの位置関係なんてわかる人はそんなにいないのに、先述のように文字ばかりがいっぱい並ぶのは、あきらかに混乱の元になります。
文字を見るより、映像を見れば、なんとなくわかるように映画が作られているのに、画面いっぱいに文字が出るのはかなりたいへんですよ。
もしもJKさんが映画を観て、あの地名を書く文字の氾濫に困らなかったとしたら、ぼくなんかより、よほど頭がよろしいのだと思います。すばらしい!
投稿者: 柴尾英令 | 2006年09月18日 13:16
>もしもJKさんが映画を観て、あの地名を書く文字の氾濫に困らなかったとしたら、ぼくなんかより、よほど頭がよろしいのだと思います。すばらしい!
精一杯の嫌味を言ったつもりでしょうが、ここにもあなたの傲慢さが出てますよ。
ぼくなんかより、よほど頭がいい?
「よほど」-あなたが頭がいいというのは前提なんですね(笑)
私は映画を見ています。別に特別頭がいいとは思いませんが、字幕に混乱はしませんでしたし、うるさい字幕があったという記憶もありません。だからあなたの文を読んで「地名をあらわす文字が入る」とあったので、地名だけしか入ってなかったのか、場所の名は入ってなかったのかと誤解したのです。地名だけならわかりにくい、地名だけじゃなくて、場所の名前も入れたほうが親切だと思うという意味で前のコメントを書いたのです。
映画に場所の名前も入っていたのなら、それでいいと思います。頭のよいあなたは反対なんでしょうけどね。
投稿者: JK | 2006年09月18日 20:53
■JKさん
こんばんは。
> 精一杯の嫌味を言ったつもりでしょうが、ここにもあなたの傲慢さが出てますよ。
>私なんかより、よほど頭がいい?
>
>「よほど」-あなたが頭がいいというのは前提なんですね(笑)
これは、はっきり書かせていただきますが、私自身の筆力不足で、JKさんに意図をきちんと伝えられなかったのかもしれませんが、嫌味とか、傲慢さなんて、かけらもありません。
単純に素直に、「あの字幕の氾濫で、内容を読み取れるJKさんはほんとうにすごく頭がいい」と思ったのです。
ちなみに、私の「よほど頭がよろしい」に対して、私が頭がいいことを前提とした書き方と書かれていますが、「頭がよろしい」というフレーズは、もともと、JKさんのひとつ前のコメントに対してお返事したものです。
JKさんは「頭のよろしいアナタだけを基準にして文句を付けるのは横暴で傲慢です。」と、お書きになっていますよね。このように書かれた「頭のよろしい」に対して「ぼくなんかより、よほど頭がよろしい」として書かせていただきました。
JKさんは私を、頭がよろしいといっているけれど、私なんかより、JKさんのほうがずっと頭がいいんですよ。……というつもりでした。
しかし、「頭のよろしい」ということばが、そこまでJKさんをナーバスにさせるものだとは知りませんでした。ごめんなさい。これからJKさんに対して二度と使いません。
ちなみに「ユナイテッド93」地名字幕について、どこかで、ほかの方も書いていないかと検索してみたら、ありました。少し長くなりますが、引用させていただきます。
>残念なことに、映画「ユナイテッド93」の画面は心無いスーパーの氾濫で汚されています。スライニーの登場するハーンドン連邦センターはそのシーンになるたびに「ハーンドン連邦管制センター」というスーパーが出ます。最初は英語スーパーもあるけれど、二回目以降は日本語だけ画面左上に5、6秒。
>
>グリーングラスのテンポは御存知のように「あなたがそこにいる」リアリティ重視で早く画面もハンドヘルド。揺れます。だからこの左上の日本語が非常にうざったい。ボストン管制センターもニューアーク管制塔も軍事施設も、93便内部以外のシーンすべてがまるで脚本のシーン・ヘディング(柱)をスーパーにしてしまったかのように出て来るたびに字幕漬けです。
>
>あのなあ。こういう字幕を出す方が混乱をまねくって考えないの?ハ-ンドン連邦センターを見てわかんないやつが字幕を見てわかると思う?
>
>えーっと、ハーンドン?どこだっけ?ボストン、え、またハーンドン?どこ。ボストン、ハーンドン、ニューアーク、クリーブランド、ボストン、ニューアーク、え、で、ハーンドン、え?という具合です。これに軍事施設も加わって来るから字幕が入る度にごちゃごちゃになる。画面左上、カメラは動く、人物にスーパーがかぶさってだれが喋っているのかわからない!
>
>ポール・グリーングラスはこの事態を知っているのだろうか。教えてやらなきゃいけないよな。同業者として。
これは映画監督の原田眞人の日記です。下記URLから引用しました。
http://www.haradafilms.com/diary/harada_diary.cgi?date=2006.08.16&pass=
同感です。これだけわかりやすくあの字幕に対するクレームを書いている人がいるのだったら、自分も早く引用すればよかったと思いました。
原田監督でさえ、「ごちゃごちゃになる」と書いている字幕の氾濫に対して、「字幕に混乱はしませんでしたし、うるさい字幕があったという記憶もありません。」と、書いているJKさんは、本当に聡明な方だと思います。
画面の情報量をそこまで見て取れるだけの能力は自分にはありません。JKさんがどんな方かは存じ上げませんが、ほんとうにすごい方だと思います。
しかし、中学生だって、年寄りだって映画を観るのです。
JKさんのようなすばらしい情報処理能力がある方には親切と思われる程度の字幕の量かもしれませんが、限られた時間で文字を読み、役者の演技をみて、演技する声を聞きたい一般の観客にはつらすぎると思います。
情報はすべてを垂れ流しにするのではなくて、可能なかぎり整理して、観客に字幕以外のスクリーンを見せる余裕があってもいいと思います。
そういうことをふまえて、私は頭が悪いからこそ、地名の氾濫には反対します。
投稿者: 柴尾英令 | 2006年09月18日 22:48