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【日常03】ヴァージンってなんですか?

 池袋でお土産を買い、海浜幕張のコウジくんの家に向かう。新木場駅で有楽町線を降りたところで「ぎゃっ」と叫ぶ。

 網棚にそのお土産を残したまま、電車を降りてしまったのだ。読んでいた本「複眼の映像」がおもしろすぎたのが罠だった。

 ホームに立っていた東京メトロの駅員さんに事情を説明する。この新木場は有楽町線末端の折り返し駅というのがラッキーだった。15分くらいかかって無事に回収! 東京メトロ、ありがとう!!

 海浜幕張でミネンコくんとも合流後、引っ越して間もないコウジくんのマンションへ。

 コウジくんもミネンコくんも中学の同窓生だ。やはり同窓のおおたぐろくんが輸入をしているオーストリアワインがうまいというので、その「試飲会」みたいなもの。

 なるほどワインもうまいし、出してくれたホウボウなどの刺身もうまい。

 コウジくんの家は、小学6年生の娘さんから、1歳くらいの息子さんまで、4人がいる大家族だ。

 家の中にゲームがない。テレビも漫然とつけていない。子供たちはきちんと挨拶もできるし、感じがいい。

 ちなみに、以前、コウジくんに「大画面で音がよくて、子供といっしょに見るのにいい、DVDとか教えてよ」といわれ、何作かの映画を推薦した。その中で「あれはグロくていかんよ」といわれたのが「ハムナプトラ」だった。

「ナショナル・トレジャー」とか、「パイレーツ・オブ・カリビアン」は及第だったから、このあたりの感覚は難しい。

 大事に育てている子たちに「ハムナプトラ」の映像は刺激的で、たしかに厳しいのかもしれない。

 ワインを3本半ほど空け、持参したテキーラも飲み、すこしへろへろ気味。

 コウジくんの家では、リビングに大きなテレビはなく、別にある書斎にプラズマを設置し、ホームシアターにしているのだが、ここで「音楽映画だったら、これがいいよ」と推薦した「ムーランルージュ」を大人ふたりで見る。

 セクシーな映像がちょっと微妙で、コウジくんも子供たちには見せていなかったのだが、そこになだれこむ3人の子供たち。お客さんが来ているモードだから、特別なのだろう。

 酔っ払ったコウジくんは、途中で寝てしまったのだが、豪華絢爛の映像を食いいるように見る子供たち。

 ご存知のように「ムーラン・ルージュ」は20世紀を代表するロックやポップ・ナンバーがちりばめられた作品だ。

 マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」が流れるわけですよ。

 歌詞が字幕で流れるわけですよ。

 「あたし、ヴァージンみたいに」とか書いてるわけですよ。

 そんな字幕を読んだ小六の娘さんが「ヴァージンってなに?」と聞くわけですよ。

 コウジくんは寝ているわけですよ。

 答えるのはおれしかいないわけですよ。

 おれの人生において、子供に微妙なことを説明する経験はないわけですよ。

 「男の人とまだつきあったことがないってことだよ」と、答えました。

 これでよかったのでしょうか。

 ちなみに夜のうちに帰ったミネンコくんは、コウジくんの家にブレザーと傘を置き忘れていた。いっぱい飲んだもんね。

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