【映画2006】極上環境フルHD体験
門倉聡さんと南青山の「アル ソリト ポスト」で、パスタランチ。もちろんパスタはうまかったのだが、サラダバーがすばらしかった。1300円でデザート、ドリンクまでついて、ほんとに贅沢。
そのあとは本日のメインイベントである。門倉さんのスタジオ訪問だ。「BlurayとHD DVDの再生環境を整えたので、遊びにおいで」とお誘いいただいたのだ。
門倉さんが以前の日記で書かれていたのだが、スピーカーにEclipse5本をおごった5.1チャンネルの再生環境には興味しんしん。さらにハイビジョン映像とともにそれが堪能できる機会はめったにない。もうよだれをたらしながら駆けつけた次第。
おじゃますると5匹の猫がお出迎え。みなさん、ぼくが来ても人見知りをすることなく、優雅に自由に歩き回っている。チンチラシルバーのパフィなど、ぼくのそばにやってきて、「なでたまえ」とあごをあげる。「かしこまりました」と、毛の中をそっとかいてあげる。こうやって猫をかわいがるのは久しぶりだなぁ。けっこうなおじいちゃん猫だそうだけれど、猫は飼い主の鏡。上品でいい子だなぁ。
実際に5.1chのレコーディングを行うモニター環境。中央には大きなタブレットが置かれている。このタブレットを使って、門倉さんが空間に音をちりばめているのか。いやもう音の仕事に関しては、自分の才覚を凌駕するものなので、天地創造をなしとげる神と同等のリスペクト。
ECLIPSEはコンクリートの台座の上に設置されている。まるで地上におかれたジェットエンジンのような特徴あるフォルムのスピーカーだ。Eclipseは史上最強の正しい位相で音を奏でるスピーカーとのこと。
前に3本。後ろに2本。すべての振動版がまるで目のようにこちらを見つめている。
まず、かけたのはふつう(SD)のDVDの「バットマン ビギンズ」だ。クライマックスのモノレールシーンをかけたのだが、音がすごすぎです。
いままで経験したたいていの劇場やホームシアターをしのぐサウンドの情報量に喜びの声を上げたくなる。ドルビー5.1チャンネル収録なのだが、スピードとエネルギーあふれる低音が自然につながり、5つのスピーカーが完全な円形劇場空間を構成し、逆転波紋のように音波を中心へと寄せてくる。
つづいて、おなじ作品、おなじシーンのHD DVD版。冒頭のバットマンの声の処理の違いにちょっと驚く。サウンドそのものの情報量はさらに上がり、音楽の表情がくっきりでてくる。そして映像だ。暗部のグラデーションがていねいに見せられている。黒が単なる黒でなく、さまざまな黒の色があることがわかる。夜景のロングショットでは、ちりばめられた宝石のように、光が流れてくる。空撮のカメラがめぐると万華鏡の彩りを見せる。
情報量が増えると、つまり、スピード感も変わる。大量の映像情報が動くと、それだけで情報の慣性モーメントが増大していき、疾駆するモノレールの速度が一気に上がったように思える。
ただ、サウンドの情報量があがったことはわかるが、通常版DVDのメリハリの利いたサウンド設計のほうが、迫力があったような気がするのは、皮肉な結果。DVDとHD DVDとでは、サウンドの情報もちがうし、高精細映像には高精細な音をつけるのが、まっとうなのだが、体験としてのサウンドは情報量の低いものが好ましかったのは、興味深い。
門倉さんも「(通常版は)圧縮率が高いので細部のデータが消えちゃってるんだよね。なのでまるでコントラストをあげたかのように大きめな音が立って、迫力が上がるように聞こえるんですよ。ぼくららは困るんだけど」とのお話。
つづいて、ピーター・ジャクソンの「キングコング」HD DVDだ。
これはもうHD DVDの映像情報に圧倒された。この映画って、劇場で2回、DVDで4回くらい見ているのだけれど、べつものですよ。
空気さえ輝いて見えるなか、いけにえにされるアン・ダロウの目の前にキングコングが登場! 体毛の一本一本までがゆらゆらと動くリアリティにぞくぞくとする。
暴走するブロントザウルスの群れのシーンでは、サウンドのすばらしさに舌を巻く。目の前にいる全てのブロントザウルスの全ての足が踏み鳴らす音が、自分の周囲でドドドドドドドドと、正しく聞こえるありえない体験。サウンドだけでこれほど興奮できるとは……。
かつて、コンパクトスピーカーを使い、レーザーディスクのドルビーデジタル5.1チャンネル再生をしたときの感動がよみがえる。あのときはこれほどの精度ある環境もなければ、これほど精度あるサウンドソースもなかったが、自分を取り巻く饒舌な音に至福の時間を過ごしていた。それがあたりまえになったいま、本気のホームシアターの音はこれなのだと、あらためて衝撃を受ける。
映像の面では、CGと人物、遠景のフォーカスの狂いがたちどころにわかるHDの恐ろしさ。あまりにもくっきり作られているため、映像の整合性がちょっとでも狂うと、そこがわかってしまうのだ。何ヶ所かで、そのことが気になった。
そしてティラノザウルスとコングの死闘! 至福の絵と音のなかで、アン・ダロウ役のナオミ・ワッツの魅力が光る。CG満載のアクション映画のなかで、役者を配することの意味を雄弁に語っている。
つづいてブルーレイに変わり、「M:I:III」の冒頭。ヘリコプターチェイスのシーン、橋の上の強襲シーン。上海の空中潜入シーンの三本立て。
エンコーダー泣かせの激しくシェイクするカメラワークのなかで、2006年最高のアクションシーンがつぎつぎに展開されていく。
映像には若干のノイズ感がまとわりつき、最上の映像とはいいがたいが、巧緻なサウンドデザインがどれほどアクションに貢献しているのかが、くっきりとわかる。
つづいて、最高のおすすめといわれた「スーパーマン・リターンズ」から、旅客機救出シーン。おれはこのシーンを、ふつうのスクリーンとIMAX 3Dのふたつで見たが、今回はサウンドだけで、IMAXでみた感動に迫る体験をしたよ。
アメリカに住む全ての人にとってスーパーマンが帰ってきたことを見せつける大活躍。大気圏ぎりぎりの航空から墜落する旅客機を救い、ヤンキースタジアムにそっと降ろす、屈指の名シーン。スーパーマンコスチュームの色彩と、はるかな空の色がせりあう。
おれは今年の映画第6位をこのスーパーマンとしたのだが、こうやって見ているだけで、ランクアップさせたくなる。ていうか、シーンの後半、目から涙がこぼれ落ちそうになっているんですけど……。
人さまの家で泣くなんて、そんなことが……。
ブルーレイの感動画質というか、このモニターシステムのすごさというか……。
最後は先日見たばかりの「プラダを着た悪魔」から、マドンナの「VOGUE」が流れる出勤シーン。アン・ハサウェイがニューヨークを歩きながら、さまざまなファッションに着替えていく。洋服の質感、そして色彩が劇場のフィルムよりみずみずしい。記憶していた色とはすっかりちがう。なるほど……。
いやもう極上の絵と音に酔いまくりましたよ。実際に仕事をするときはまた、エンジニアがきて、音場を整えなおすとのことだが、その到達点は果てしない。
やばい! 根が生えてしまう! 暗くなる前においとまする。どうもありがとうございました。
なんだか、微妙に興奮している。このまま帰って作業をするのは、いやだったので、marinさんに連絡。赤坂見附の「黒猫夜」でしこたま中華三昧。
さらにliexxさんが合流できるとのことで、「うまや」にて3人であれこれと話す。
ああ、ほんとに盛りだくさんの一日だったよ。
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