【映画2006】PROMISE 無極
DVDで見た作品については、あまりレビューを書かないんだけど、これはすごかった。
日中韓の協力体制の下に作られた作品だ。真田広之の熱演、チャン・ドンゴンの気合、ニコラス・ツェーの華麗の競演。「覇王別姫」のチェン・カイコーは名演出をみせ、すべてが壮絶なレベルで作りこまれていながら、とにかく、あっけにとられたチャイニーズ・ファンタジー作品。
未来から3000年前のアジアのどこか。冷酷無比にして、百戦錬磨の大将軍を真田広之が演じている。南方蛮族との戦いにおいて、その場で買った百人強の奴隷を谷底に配置し、囮として使う。
この世界では、奴隷は二本の足で立つことを許されず、四つんばいで動くしかない。
はるかかなたから、響き渡る無数の足音! 蛮族は先頭のさきがけとして、数万頭の水牛を暴走させたのだ。いわゆる火牛の計ってやつですか。
あわれな奴隷に向かって、水牛が襲いかかる。
新作「キングコング」のブロントサウルスの暴走シーンを髣髴とさせる、すさまじさに、「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」のオークを髣髴とさせる密集度。
逃げ惑う奴隷の中で、ひとり異彩を放つチャン・ドンゴンがいた。チャン・ドンゴンは主人とする奴隷商人がいることを認めると、彼を背中に担ぎ、猛烈なスピードで逃げ始める。もちろん、四つんばいで!
迫りくる水牛のラッシュ、崖上には真田大将軍が陣取り、逃げようとする奴隷を崖下に射落とす。
切羽詰ったチャン・ドンゴンはターボブースター全開! なんと、四つんばいの逃走スピードがさらに加速するのだ。
いやあ、「グリーン・デスティニー」とか、「LOVERS」とか、そういう武侠世界を期待していたら、それをしのぐすごさですよ。これはどんなものにも属さないファンタジー原理で動いている世界だったのね。
チャン・ドンゴンはもう、巨大ゴキブリのようなスピードで、水牛から逃げ回る。CGは「少林サッカー」のスタッフと重なっているようだし、どこか、甘いところもあるのだが、もうね、そういうものも吹っ飛ばすすばらしさ。
逃げる中、四足走行から二足走行に進化するチャン・ドンゴン。「2001年宇宙の旅」でしょうか。
南方の蛮人は「北斗の拳」のキバ一族ですかっていう造型だし、まるで漫画のように水牛に吹っ飛ばされるし、このあともイメージの暴走ともいうべき見どころが満載。
やがて、チャン・ドンゴンは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアンのように、高速で走れば、時空を越えるという特性まで得てしまう。
おれはなんで、この作品を劇場で見なかったのか、後悔したね。
今年は「クラッシュ」とか、「ホテル・ルワンダ」とか、劇場で見逃した作品にすばらしいものも多かったんだけど、この「PROMISE」は劇場できちんと見たかった。
全体の骨格はギリシャ悲劇を思わせる荘厳なドラマだし、真田広之とニコラス・ツェーの殺陣は、すさまじいレベルだし、色彩にあふれた映像は美しいのだが、そんなものを置いといた、とてつもない、おれさま世界観にしびれまくる。
国家的プロジェクトとしてこの映画を推進してきた中国では、エンディングで、ニコラス・ツェーが悪に染まった理由をきいた人民が狂乱。「そりゃあないぜ」と突っ込みまくり、怒りまくったある人民が、帰りに海賊版DVDを購入。その映像を再編集して「一個饅頭的血案」なるパロディを作ったところ、これがインターネットで国家的大ヒット。チェン・カイコー監督が訴訟を起こすという騒ぎになったらしい。
ちなみにその作品をYouTubeで発見したのだが、中国語がさっぱりわからないので、意味不明。
「ハルク」を監督したときのアン・リーを思わせる「やっちまった」感とか、志茂田景樹の読み聞かせ絵本をうっかり聞いてしまった不思議感が漂う怪作で、ほんとに楽しかった。
※こちらのエントリーもどうぞ。
« 萬屋おかげさん | メイン | 新宿ニューアート »


