【映画2007】守護神
ワーナーマイカルシネマズ板橋3番スクリーンにてSRD鑑賞。
オーソドックスとはすばらしいことだ。
メインの仕組みは「愛と青春の旅立ち」、「トップガン」といったアメリカ教練学校ものだが、現役レスキュー・スイマー(救難士)にして、教官のケビン・コスナーを主役としたことで、ドラマにくっきりとした輪郭をもたらしている。
ちなみに「海猿」はアクアラングをつけた潜水士のドラマだが、こちらはボンベをつけず、身体ひとつで荒海に乗り出す救難士のドラマだ。
沿岸警備隊の生きた伝説として、アラスカの凍りつく海に飛びこむ救難士、ベン・ランドール。仕事に命をかける彼のもとから妻は去り、かけがえのない相棒は救難活動中に命を失ってしまう。
彼の心の傷を癒すため、上官は彼に救難士育成校、Aスクールの教官任務を命じる。Aスクールは全米の沿岸救助隊から志願した訓練生の卒業率が50%を切る超難関だ。ベンはそこで、高校水泳チャンピオンのジェイク・フィッシャー(アシュトン・カッチャー)と出会う。
たぐいまれな才能を持ちながら、ことごとくベンとぶつかるジェイクだったが……。
冒頭から友をなくすまでの演出はたくみで、冷え切った北太平洋の荒波とさまざまなサスペンス演出、ギリシャ悲劇を思わせるドラマが押し寄せてくる。
ストーリーやキャラクターを過不足なく観客に提示するのが本当にうまい。
学校に移ってからは、話として目新しいものはなにひとつないのに、中盤からかなり泣けてしまう。
意欲的かつプライドの高い若者に対して、職業への自信と家庭を失いかけている中年のコントラストがみごとだ。
極限の訓練の中で成長する若者と対峙しながら、人生を再生させていく中年という構図がみごとにはまっている。その緻密なつくりは映画「海猿」1作目をしのいでいる。
ディテールやセリフをひとつずつ積み重ねていき、そのさきへとつなげているのだ。
最近はベテランを演ずることが多いケビン・コスナーはいいバランスの演技を見せるが、若さゆえのアンバランスを見せるアシュトン・カッチャーもすばらしい。
この映画の匂いは「愛と青春の旅立ち」よりも「タイタンズを忘れない」にちょっと似ていると思っていたら、監督こそちがうものの、音楽が同じトレヴァー・ラビンだった。
とりかえしのつかない時間の中で、過去をとりかえせない男が選んだ人生の選択が、おれの心のツボのど真ん中をついた気がする。
十代の男と四十代の男に見てほしい作品だ。


