【映画2007】ゆれる
ワーナーマイカルシネマズ板橋1番スクリーンにてSRD鑑賞。
ムーブオーバー(2番館あつかい)というか、凱旋興行というか、ロードショーではこの館で公開されていなかった「ゆれる」がDVD発売週に公開。この映画は見そこなっていたので、嬉々として見にいく。
この手の映画はDVDで見るより、映画館で見るほうが楽なのだ。
映画の事前情報としては、こんな感じだ。
1)オダギリジョーと香川照之がすばらしい演技を見せる。
2)新進監督の西川美和の脚本と演出がすばらしい。
3)おれの大好きな「リバー・ランズ・スルー・イット」を思わせる兄弟もの。
実際にみたら、法廷劇をまじえた「羅生門」を髣髴とさせる鬼気迫る心理サスペンスではないか。
弟と兄、地方と東京、信頼と欺瞞、そういったコントラストが右と左にあり、それぞれのあいだを止まることなく、行きつ戻りつする「ゆれる」シナリオは本当にたくみだし、小道具や美術、画角……、フレームのいたるところに巧妙な仕掛けがほどこされ、エモーションの情報量を過剰なまでに滴らせている。
セリフの構成はみごとだし、映像からも饒舌にことばが生まれてくる。
なるほど、オダギリジョーも香川照之もまるで演技の詰め将棋のように、同じコインの裏表である兄弟の距離感を表現している。
ほんとうに緻密でよくできた映画だ。とことんていねいに描かれていたけれど、なんだか、ひとつ物足りない。それがなにかは具体的にはいえないのだが、もしかしたら、二人の兄弟をみつめる、根は暖かな視線にあるのかもしれない。
同様に兄弟の姿を描いた「リバー・ランズ・スルー・イット」と対比するのは、微妙なところなのだが、あの映画には、人間関係という軸に加えて、圧倒的な自然の描写という、ある種、神の存在さえ感じさせる、ふたつ目の軸があった。
この映画において、それは8ミリフィルムを通した見えざる母の視線となるのだが、その軸の細さが、構図として、とても気になるのだ。


