【映画2007】デジャヴ
ワーナーマイカルシネマズ板橋10番スクリーンにてSRD鑑賞。
「デジャヴ」といえば、ビル・マーレイ主演の「恋はデジャ・ブ」という素敵な時間旅行ラブコメディ映画があるのだけれど、そっちの原題は「Groudhog Day」だったね。
なんといってもブラッカイマーがその手をタイムトラベル・サスペンスに伸ばしたかと思うと、あらら、感慨深いね。
20世紀のころは、映画の時間旅行ものにハズレなしという格言が生きていたけれど、ブラッカイマーが手を伸ばすようになったら、もう潮時なのかもしれない。
監督のトニー・スコットは「クリムゾン・タイド」、「エネミー・オブ・アメリカ」で、ブラッカイマーと組んでいるが、デンゼル・ワシントン、ウィル・スミス、エディ・マーフィと黒人俳優と組むことも多い。
まぁ、いろんな意味で気のりがしない映画だったんだけど、きちっと楽しめはした。近年のブラッカイマー映画の中では、好きなほうかもしれない。
舞台をニューオーリンズにしたというのが、この映画のツボなのだろう。冒頭でマルディグラのフレーズを聞いたとたん、ちょっとうれしくなる。「マルディグラといえば、ニューオーリンズ!」なのは、「ねぶたといえば青森」と同じくらいの組み合わせ。
ハリケーン・カトリーナにより、壊滅的な被害を受けたニュー・オーリンズのいまをくっきりスクリーンに映し出しているのはうまい。この「ほら話」の舞台はあなたや私がよく知っている被災したニューオーリンズなんですよというあたりは、にやりとする。
もともとロングアイランドで撮影する予定が、監督の意向でニューオーリンズに変更。製作の数週間前にカトリーナが来襲して、ロケ予定地は廃墟となり、3ヵ月後、準備をしなおして、ニューオーリンスで撮影再開したそうだ。
ちなみにハリケーン・カトリーナ・インスパイアものとしては、「守護神」もそうだね。
このテーマの映画の多くは、SF的な味わいがあるのだけれど、そういった味わいを見事に拭いさっているのが、見事といえば、見事だ。かつて無駄にスタイリッシュな吸血鬼映画「ハンガー」を撮ったトニー・スコットの面目躍如。
ここからは、ほんの少しネタバレだ。
空母USSニミッツの水兵とその家族を満載し、ミシシッピ川を進むフェリーが爆破される。ATF捜査官のデンゼル・ワシントンは、その捜査に駆り出されるのだが、その付近で焼死した女性の遺体に奇妙な点を発見。彼女こそ、事件解決の鍵を握る重要な存在だと見破る。
そんな、デンゼル・ワシントンをFBIの特別チームがスカウトする。なんと、アメリカの国家的プロジェクトとして、4日と6時間前という過去を自由に観察できる装置があったのだ。過去と現在は同時に流れているため、過去を見られるのは一度きり、その一度のチャンスに正しい場所を見るため、デンゼル・ワシントンの捜査の直感が必要となったのだ。
過去を除きこむ彼らの前に、焼死体であった女性の生き生きとした姿が映し出される。
映画の白眉はここにある。ヒチコックの「裏窓」と同様のモチーフだし、かつてインターネットであった、女の子の部屋に複数のカメラを設置し、24時間、それを見られるというサイトなど、リアルな「シム・ピープル」というか、エロティック・シンクロニシティというか、奇妙なあまやかさがそこにはある。
そんな「覗き」の感覚が、対象への思いをかきたてる。
過去を探れる地理的範囲というのが決まっていて、その範囲から外を見ようとしたら、「過去視ゴーグル」を持ち出すしかないという設定が、おもしろいカースタントシーンになっている。
ただね。このあと大きな決断をする動機が、死んだ彼女を救うためとなっており、映画的には納得しつつも、なにより「532人の水兵や子供たちはどうでもいいのかよ」と、つっこみたくなる。
また、トニー・スコットならではの、テンションの高い演出はけっこうなのだが、後半になって、押しまくりならではの単調さがややしんどくなるところもある。タイムパラドックスについては、死体袋の携帯電話、彼女が死ぬタイミングなど、あれれと思うところも多い。
ラストシーンは感動的だ。ちょっと泣ける。
でもね、タイムトラベルものは作品の中の縛りやルールがあるからこそ、叙情や悲劇がある。それなのに、場当たりの都合主義で、つぎつぎと縛りを外していくのが、困ったところなんだなぁ。
おもしろかったけど、やっぱりトニー・スコットの映画だった。
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