【読書】大統領特赦
「超訳」で有名なアカデミー出版の人になっていたジョン・グリシャムだが、久しぶりに新潮文庫で白石朗の翻訳。ありがたや。ありがたや。
主人公はかつてロビイストの中のロビイストとして、アメリカ政界で鮮烈な力を示した弁護士。諜報の世界を一新する監視衛星システムに手を染めたことをきっかけに、20年の刑で投獄されたが、大統領特赦を受ける。
政界のだれもが疑問に思った大統領特赦はCIAによる陰謀だった。
グリシャムはリーガル・スリラーの旗手として有名なのだが、これを迫真のリーガル・コメディというと、いいすぎかな。
選挙に負け、二期目をつとめることができず、ホワイトハウスを去る直前の大統領のあれやこれやのリアリティあふれるバカっぷりに笑わせていただき、後半はCIA、FBI、モサド、中国の殺し屋が右往左往するあたりは、ちょっとしたドタバタ喜劇だ。
さまざまなタイプのマヌケな人はたくさん出てくるのだけれど、憎むべき悪人が出てこないのも喜劇な部分。
ラドラム風な逃亡劇に、クランシー風なハイテク風味も加わっているのだが、なぜか、ほのぼのとした作品だったのは、ボローニャなど、イタリアのグルメ紀行の要素も強かったからかな。
後半の疾走感はグリシャムならではの持ち味だけれど、全体に軽いテーストの作品だった。
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