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【ネット】届かぬことば

 「話せばわかる」といったのは、5・15事件で暗殺された犬養首相だったけれど、つまり、言葉を尽くせばどんな人とも意思の疎通ができるというのは幻想にしか過ぎないのかもしれない。 

 これは友人のmixi日記で紹介されていたラジオの人生相談放送だ。「どんな相談でしょうか」と、穏やかに問いかけるパーソナリティ。電話の向こうには、65歳の元教員の女性がいる。相談のために彼女の背景を聞いていく。饒舌な彼女。つぎつぎと言葉をたれ流していくのだが、肝心の相談内容にはなかなかたどりつかない。

(前半)http://www.youtube.com/watch?v=P_Yxsycbhds

 YouTubeだが映像はない。こちらでは彼女の相談らしきものがやっとわかりかけるまで、5分くらいかかっている。

(後半)http://www.youtube.com/watch?v=P9Hjm2k7Wiw

 そして怒涛の展開。これだけの言葉を重ねてもつのるのはいらいらばかり、やがて、電話の両側で不穏な空気が流れ始める。彼女の相談に対してアドバイスはあたえられるのか、息詰まる展開。パーソナリティの最後のトークは涙なくして聞けないのだ。

 ちなみに2ちゃんねるを探してみたら、なんでもあります。有志が起こした対話のテキストがあった。部分的には抜けているけれど、かなりていねいにことばを追っている。実際には音声を聞いたほうがいいけれど、これもチェックしてみてください。

「こんにちは。最初に年齢を教えてください」
「わたくしは、65歳…です」
「65歳」
「はい」
「ええと、結婚されてます?」
「わたくしは、しております」
「はい、ご主人何歳でしょうか」
「2年半前に、」
「はい」
「え~、天国行っちゃいました。アハッ」
「そうですか。そうすると、今はお1人で生活してるんですか?」
「はい。そうです~」
「はい、わかりました。で、どんな相談ですか?」
「長男が、わたくしが買ったマンションに今、1人で住んでるのね」
「はい。子どもは何人いるんですか?」
「子どもは2人です。長女が、39歳。長男が30歳」
「30歳。で、長男はまだ結婚してないわけですね」
「はい」
「1人で…」
「ひきこもり…です」
「あっ…、長男ひきこもりですか」
「はい」
「ひきこもるって言って、1人で生活してるってことは食事は自分でつくってるわけで…」
「ええ、あのね、父親がね」
「ええ」
「あのぉ、調理師でしたからぁ、」
「はい」
「それでわたくしがあのぉ、どっちかっていうと世間と反対でぇ、わたしが外へ出て働く人。夫は、シュフをやる人でしたのヨ!」
「はい」
「ですからぁ、ずっと小さいときから、父親がやる、あのぉ、おさんどんを見てましたからね、」
「はい」
「とっても上手なんです。ですからぁ、ぜんぜん困らないんですね。お食事のことはね」
「と、と完全ひきこもりと言っても、要するに、職業についてないという意味で」
「そうです、そうです」
「ということですね」
「はい。そのとおりです」
「で、あの就職活動もしていない」
「ええ、ええ、もちろんもちろん。このね」
「はい」
「平成9年から、そのマンションがわたくし買いましたのが9年でしたから、その…、あ、高校卒業して、英語の…学校に、1ヶ月半通ったんですが、5月の、その連休の後からね、ぼくは…その通信制にしたいと。通うとなんだか混んでてね、くたびれると」
「はい」
「そしてあの…フフ…通信制にするって言ったから、まあいいでしょうとか。わたしもそのころ働いていてもう、あの…、朝早くから夕方7時8時までねぇ」
「はい」
「あのぉ…お勤め、教員です。学校…に勤めてたもんですからね」
「はい」
「それで、父親もほら、あのぉ自分勝手な人ですから。パチンコばっかりしてましたから。そのころね」
「はい」
「一応、あのぉ…お食事は作ってぇ、おいて、そして遊びに行っちゃうわけね」
「はい」
「ハハン、そういう家族でしたからねぇ」
「それで、いつごろからですか?」
「ええと、2月だったかしら」
「要するに、あのぉ学校に行かなくなりだしたのはいつ」
「ああ、学校に行かなくなりだしたのはぁ、平成8年の、ええと…」
「そうすると、あの、10年間くらいは、働いていない」
「ええ、ええ、そうですね」
「で、ええ、1人で生活している」
「…はい」
「で、その父親がいるときには、」
「はい」
「あなたは一緒に住んでなかったわけですね」
「住んでましたよ~、ずっと」
「その時は」
「父親がねえ」
「はい」
「父親がね、息子にね、あの、ちょっとぉ…あのやられそうだなと。こわくてほら、息子がほら、ダンベルでね、脅したりするもんだからぁ、あのぉ…」
「要するにやられるかもしれないというのは、家庭内暴力のことですか?」
「そうですね。間接的に、直接的にはほらぁ、あの~打撃与えないんだけど、壁にぶつけて、ダンベルをね。夫がほら、脅かされるわけね」
「はい」
「それから夫が作ったいろんな机とか、あの~そういうのをあの~、やったものも全部かたっぱしから壊しましたね」
「はい」
「それから食器なんかももうねぇ、あの、ダンベルでみんな粉々にしちゃったり」
「はい」
「それから茶箪笥のガラス戸がありますでしょ?」
「はい」
「そういうのもねぇ、畳の上に並べてね、かたっぱしからねえ、粉々にしていっちゃうわけ。夜中のうちにそれやっちゃってぇ」
「はい」
「そうすると、父親がほらドキドキしちゃうわけですよね、そういう音を聞くと」
「はい」
「うん。それで、出て行っちゃったんですよ」
「はい」
「あのアパート借りて」
「…父親が。で、あなたはぁ、そのぉ、長男のこういうひきこもり、あるいは暴力を、」
「はい」
「その原因をどう考えてます?」
「まずぅ…、お友だちにいじめられたことぉ…、で、すごい、自分に自信がなくなったことと、」
「はい」
「それから結局口で言えないからぁ、手で出ますわよねっ?」
「…はい」
「表現力がやっぱしねえ、あの身につけさせてあげてない?わたしがちょっと不手際なんですけどね」
「はい、はい」
「職場で…100%ほらあ~、エネルギー費やしてきておうちに帰ったらね、」
「はい」
「あのぉ、子どものことにもう…、くたびれはてちゃってねぇ、夫にほら、何とかしてよって感じで」
「はい」
「いつも…男の子だから、お父さんよろしくね!とか?あの、お姉ちゃんの方はわたしがしっかりやりましたからね。あの、ちゃんとした会社に勤めて?子ども2人育ててね」
「はい」
「幸せに今暮らしてるわけだから、」
「はい」
「まさかわが息子がぁ、」
「はい」
「こんな状態になるなんて、ほん~とに、思ってもみなかったから。いつかはきっとね、わたしの、あのぉ、思ったとおりの?ふつうの?あの生活に戻るってもう自信はあったわけですね」
「はい」
「うん~」
「今日のあなたの相談っていうのはどういうことですか?」
「ああ、わたしがそのマンションに、自分のマンションだからぁ」
「はい」
「入りたい。かなり高いマンションですからぁ…」
「はい」
「あのぉ…、退職金でも返しきれなかったですからね?」
「はい」
「ええですからぁ、あの…、やっぱしそのマンションを、売るとかね、して」
「うん」
「今後の、ほら生活しなきゃいけないかなとか」
「うん」
「そういう、今 時期にたたされてるんですよねえ?」
「うん、うん。はいわかりました。今日はあの~、スタジオに弁護士の」
「アハ、すいません」
「タカナカマサヒコ先生がいらしてるので、あの伺ってみてください」
「よろしくおねがいします」
(中略)
「あなた自身が問題だっていうことはわかったわけですよ。認めたわけですよ」
「はい」
「あなた自身の何が問題なんですかっていうこと」
「時間がないからですよ。というか、夫のほうがそっちのこと引き受けてたからね」
「ですね。いまね、あなた夫を批判します。で、僕の…」
「そのとおりです。そのとおり」
「ねぇ。初めて話をしている高中先生と僕にも敵意を時々むき出しにしてますよね?」
「だってほら、あの職員の…教員の忙しさがさ、わかってますっておっしゃるけど、ほんとにわかっているかどうかが、私にも確かめられませんから、」
「その敵意が問題なんですよ」
「どのように問題なんですか」
「あなたの中にある敵意」
「はい」
「息子さんが人と触れ合えるような人間になれないのは、あなたの敵意があるから」
「じゃあそれを回避するにはどうしたらいいか方法はあるんですかぁ?」
「だから、その言い方。あの…あなたね。寝られてる?よく。夜」
「はぁ~い。よく寝てますわよ」
「よく寝てる」
「はぁ~い」
「食欲もある?」
「えぇ、もうすごいです」
「すごいですねぇ」
「はい。おいしくてしょうがありません」
「毎日幸せですか?」
「えぇ、すごく幸せです。ただ一点だけ、このひきこもりが、あるわけです」
「うーん」
「でもこれは、行政と、マスメディアが」
「あのね、すっごい…この、敵意持ってますよね?」
「だからあなたたちのそういうマスメディアの、その、上からさぁ、あたしたち庶民を見る…そういう何ていう、色眼鏡、それがねぇ、すごく癪に障ります」
「癪に障りますよねぇ、」
「そう」
「あのね、」
「何とかしなさいよ」
「あのね、その、あなた自身が人を見下しているから、だから人から見下されているということをものすごく恐れ…」
「人からって言いませんよ、 あ な た か ら って言ってるんですよ、あなただけですよ人を見下してるの、ほかの人だーーれも見下したひとは い ま せ ん」
「いや、ですから」
「加藤先生ってさぁ、あの、報道ステーションの人ですか?」
「全然…、あの、加藤ち」
「あの人の顔ずっと思い出しながら聴いてたから」
「あ、そう。残念ながら違うんですよ」
「…」
「なにしろ、知ったかぶりなんかしないで、もう、いいです」 ガチャッ

ツー ・ ツー ・ ツー

コミュニケーションできない人は、人間関係の距離感がありません

 

※こちらのエントリーもどうぞ。

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