【映画2007】新SOS大東京探検隊
バンダイビジュアル会議室にてDLP鑑賞。「地下好き、工事現場好きな人にアピールしたい」とのことで、試写会にお誘いいただいた。
大友克洋の80年代の漫画「SOS大東京探検隊」は、少年たちが東京の地下を探検することで遭遇するさまざまな経験を描いたジュブナイル冒険譚。
さすがに20年前の原作をそのまま描くことには無理があったのか、時代設定は携帯電話やハイビジョンムービーが存在する現代になっている。
大きな見どころ3DCGによるキャラクター造形だ。ただ、PIXARなどの立体感をきわだたせたリアル志向のCG作品とはちがう。
3Dモデルはきちんと作っているものの、スチルを普通の人が見たら、セルを使った従来のアニメと見分けがつかないほどだ。
CGをふんだんに使っている最近のアニメとしては「鉄コン筋クリート」が思い出される。「鉄コン」は人物を作画で、背景の一部にCGを投入し縦横無尽なカメラワークを見せてくれたのだが、「探検隊」は逆で、人物がCGで、背景が作画となっている。
感心したのはキャラクターの表情だ。セルアニメでキャラクターにここまでの演技をさせることはたいへんなのに、CGを使って、それが滑らかに、自然に動く。絵としての省略もきちんとある一方で、デフォルメもリッチで、へえ、いまどきのCGアニメはここまでやれるのだと感心した。
技術の目指すものとして、日本のセルアニメのノウハウが生きている。
地下の物語は東銀座あたりのマンホールから始まり、共同溝や江戸時代の抜け道、丸の内線とその待避線、建設が中止された地下ショッピングモールなどが登場する。もちろん、見学した覚えがあるような巨大な立て抗や、規則的にセグメントがならぶ美しい地下トンネルも。
地下構造物の"撮り方"に関してはもうすこし、感動的に見せてほしかった気もするけれど、今回の作品のフォーカスはちょっとちがうところに合っているのだろう。
携帯電話をはじめとしたデジタル機器で、現代的な装いにしてはいるが、主人公の少年たち以外のキャラクターは、老日本兵や、全共闘な方々、三億円事件の亡霊みたいな方と、生きた化石のような人間がたくさんまった、具の多いタイムカプセルの観。
大友克洋は1954年生まれだが、やはり引き出しとして70年安保という時代の空気が濃厚なのだと、あらためて感じた。だって、竹の子族とか、ボディコンギャルとか、それ以降の時代を代表するキャラクターがすっぽりいないんだもの。
ただ、地上からはうかがい知れない地下の世界で、地底世界ペルシダーよろしく、さまざまな「財宝」が眠り、時代に取り残された人間たちが岡林信康を歌っている景色は、東京ならではの豊かさなのかもしれない。
「スチームボーイ」、「蟲師」と最近の大友克洋監督作品は、居心地の悪いものが多かったけれど、この作品は監督が大友克洋でなく、尺も40分と短いこともあり、素直に楽しめた。


