【映画2007】ラブソングができるまで
ワーナーマイカルシネマズ板橋11番スクリーンにてSRD鑑賞。
彼にとって彼女はミューズだったし、彼女にとっても彼がミューズだった。おたがいにいることで、おたがいの才能を引き出すような関係を見るのは、本当に幸せだ。
80年代のアイドルポップを代表する人気バンドだった"PoP"のツインボーカルの一人、アレックス(ヒュー・グラント)。だが、バンド解散後はさっぱりヒットもなく、テーマパークや同窓会で歌い、糊口をしのぐ日々だった。そんな彼にもチャンスが訪れた。ブリトニー・スピアーズやクリスティーナ・リッチにつぐ、カリスマ歌姫、コーラから作曲依頼が来たのだ。
「6歳のころ、つらかった私をあなたの歌が救ってくれたわ」
だが、彼はもう10年以上、作曲はしていないし、作詞の才能はさっぱりない。そんな彼のもとに臨時で、観葉植物の世話にやってきたソフィー(ドリュー・バリモア)がふと口にしたフレーズに、才能の輝きを感じたアレックスは、彼女に作詞を依頼する。だが、彼女には作詞ができない理由があったのだ。
映画のオープニングは、当時のMTVで流れていそうな80年代アイドルポップのミュージックビデオ。もちろん、この映画用に書きおろした曲だけど、それっぽく歌うヒュー・グラントが、見ものだし、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドのつぎにこういう曲が流れてもおかしくない出来だ。
手ごろな軽薄さと才能をうまくブレンドしたアレックスのキャラクター作りがうまい。さらにかつて師事していた作家に、立ち直れないほどのトラウマをあたえられたソフィーというキャラクターがせつない。これはいまのドリュー・バリモアならではの役柄だろう。
彼女のことを知るために「googleしてきみのレポートを読んだよ」とかいうディテールは現代らしいけど、どちらかといえば、オールドファッションな香り漂うラブストーリーだ。「わたし、あの小説の中で、brilliant mimic呼ばわりされたのよ」なんて、トラウマを語るドリュー・バリモアは魅力的だ。
歌姫、コーラのエキセントリックさが、笑いと同時に感動を生み出すしかけとなっている。ヘイリー・ベネットというこの映画がデビュー作となる女優が演じているんだけど、コーラ役を演じるにあたって、もともと痩せていたのに、さらに10ポンドの減量をしたとか……。
若いころにデビューして音楽業界入り。人はいいのだが、周囲の顔色ばかりを見て育った、中年男が、自分より年下の女性の存在のおかげで、大人へと脱皮するさまは感動的だし、80年代をヴィヴィッドに思い出せる世代にも楽しめる作品だ。
いやあ、中年のおじさんもひとりで見て、思いっきり堪能させていただきましたよ。途中で終わってほしくないと思ってみていたし、このふたりのドラマは、まだまだ、見たりないよ。
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