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【映画2007】スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい

 ワーナーマイカルシネマズ板橋3番スクリーンにてSRD鑑賞。

ラスベガスで人気のマジシャン、エースは、ギャングたちと付き合っているうちに、自らもギャング稼業を始めてしまった。結果失敗し、あげくの果てに逮捕されてしまったエースは、終身刑を免れるためにFBIとの司法取引に応じようとしていた。エースの裏切り行為にご立腹のマフィア界の超大物・スパラッザは、100万ドルの賞金を出し謎の暗殺者を調達する。だがその噂はすぐさま広がり、世界中のプロの殺し屋たちがエースを狙いはじめていた。一方、エースからマフィアの情報を期待するFBIは、エースの身を守れるのだろうか!?


 戦場での情報混迷や混乱を意味する「フォッグ・オブ・ウォー」という言葉はあるが、映画を見てしばらくは、こりゃとんだ「フォッグ・オブ・ムービー」だと思ったよ。

 ラスベガスでは何度も賞をとった人気マジシャンが往時のフランク・シナトラよろしく、マフィアづきあいの果てに、自分がギャングになってしまうというトンデモ設定からいってあちゃらかフィクションだ。いまどきのラスベガスでそんなマジシャンはいねぇだろう。

 さらにマジシャン=ギャングを狙う何組かの殺し屋グループに、保護するグループ、さらにはFBIなどが冒頭の10分ほどで、まとめて紹介されるものだから、冒頭はなにがなにやらわからなくなりそうで、さらにはマフィアのドンの過去の逸話などが、挿入される上に、50年代に50年代の車が走るばかりか、携帯電話のある現代においても古い車が走るものだから、状況を把握するだけでめんどくさくなる。

 結局すべてのキャラクターはその後、普通に見ていけば、きちっと整理されてわかってくる。オープニングはつまりシナリオと編集によって、ちからづくで「フォッグ・オブ・ムービー」を作っていたんですね。

 キャストがべらべらよくしゃべったり、時制を混乱させるあたりなんて、初期のタランティーノを思い出させる。映像と音楽使いの面ではタランティーノよりうまいけれど、シナリオ的には初期タランティーノのほうがうまい。

 ややこしそうに見える話にしても、事実上、レイクタホのカジノホテルでの攻防がドラマのボリュームの8割を占める。ホテルに到着してみれば、映画を覆っていた霧は晴れ、血なまぐさいドタバタ喜劇が見えてくる。ホテル最上階のスイートにいるエースをねらい、複数の暗殺者がさまざまなしかけで押し寄せてくるドラマがほとんどすべてなのだ。

 出色は映画初出演の歌姫アリシア・キーズだ。ホテル潜入後、売春婦に化けて、エースを狙おうとする。もう彼女を主演にして再構成してほしいくらいの存在感とかっこよさ!

 とにかく見ているあいだは飽きないし、M82 Barrett rifleなんて、巨銃をぶっぱなす女スナイパーなんて、山本貴嗣マンガみたいなキャラクターが小気味いい。

 また、ネオナチ風のトレマー兄弟がDAO-12ショットガンやチェーンソーを振り回して暴れるあたりなんか、もう直前からわくわくしてしまう。

 しかし、じつは小器用な監督だけに、それまで盛り上げてきたクライマックスが、空回りで終わってしまう。低予算なのはわかるけれど、あれれ? これで終わりという物足りなさで、もっと! もっと! もっと! 続きを見たかったよ。

 ばか映画なら、ばか映画でがんばってもらいたかった。悪くはないのだけれど、半年もすれば、記憶に残るのはアリシア・キーズだけとかになっちゃいそうだなぁ。

  

※こちらのエントリーもどうぞ。

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