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【映画2007】ダイ・ハード4.0

 ワーナーマイカルシネマズ板橋10番スクリーンにてSRD鑑賞。先行ロードショーだ。

 「アンダーワールド」シリーズの監督、レン・ワイズマンと聞いて、期待と不安が半々だった。「アンダーワールド」は1作目と2作目で格段にちがうからだ。おもしろかったのは2作目。1作目は説明すべきシチュエーションが多すぎて、ドラマがやや迷走していたのだが、2作目はすっきりとした話になっており、それがよかった。

 開巻15分で不安はふっとんだ。「ダイ・ハード4.0」は、とてつもなくおもしろかった。


 今年のアクション映画では問答無用でベスト作品だ。おなじみジョン・マクレーン刑事の4作目ともなれば、続編中の続編なのだが、レン・ワイズマンの手腕は世界観がきっちり決まっている続編作りに最大限に発揮されるのかもしれない。

 シリーズのいいところどりというべきか、「ダイ・ハード」というフォーマットに対する最高の理解があった上で、1作目のナカトミ・ビル、2作目のワシントンのダレス空港、3作目のニューヨークという拡大する舞台を4作目では全米規模に広げ、ジョン・マクレーンの移動量は過去最高となった。

 ジョン・マクレーンってば、いつの間にそういうことになったんだよという、ご都合主義さえ、物語の巨大な運動量を前にすると吹きとんでしまう。

 1作目では、閉鎖空間の中で、肉体と知能をかけて悪をひとりずつ倒していく快感があり、それこそがダイ・ハード的といいたいひともいるだろう。「閉鎖空間」というリミッターこそなくなったものの、個性あふれる悪漢たちを、ひとりずつやっつけていくという、フォーマットはきっちり守られている。

 そのなかで、コンピュータを使ったデジタル犯罪と、究極のアナログ刑事とのコントラストはみごとだ。何人か出てくるハッカーたちの描写は卓抜。1973年生まれにして、映画「GODZILLA」の小道具作りからキャリアをスタートさせたレン・ワイズマンならではのリアリティがうれしい。

 オンラインの支配権を取った悪者が、あらゆるインフラのコントロールを手中におさめて、個人と戦うという構図は、もはやありきたりのものとなっている。しかし、「ダイ・ハード4.0」がすばらしいのは古典的ドラマを現代に力強く復活させている点にある。

 つまり、世界を我が物にしようとする悪の魔道師の陰謀に対して、無類に強い肉体派の騎士が見習い魔法使いとともに立ち向かい、艱難辛苦の末に打ち破るという、純然たる古典的構図を魔法→デジタル、騎士→アナログというかたちにきっちり昇華しているのだ。

 世界観に対するキャラクター配置は「ロード・オブ・ザ・リング」や「ベルセルク」と相似形だ。

 魔法の原理なんてわからないけど、ファンタジーの中では世界観と整合して納得できるように、デジタルの理屈なんてわからなくても、「ダイ・ハード」というフォーマットの中では納得できてしまうのだ。

 この話、「パトカー」→「馬」、「インターネット」→「魔界」、「ヘリコプター」→「ドラゴン」と、スクリプトの用語を一括置換していけば、あっという間にファンタジーになるんだよね。

 デジタルの魔法めいた手触りを理解し、作品の中にうまく再現しているからこそ、マクレーン刑事の活躍を楽しめるわけだし、もうね、ラスボスとの決着のつけ方など、頭の芯が泣きそうになるほどの巧みさだったよ。

 シナリオの中に織り込まれている「英雄とはなにか」というモチーフもじつに巧みに発展させており、ひとりの少年の成長ドラマとしても好ましく作られている。フォックスつながりで、「スター・ウォーズ」がきちんと入っているところなど、この映画の豊かさを裏打ちしている。

 ちょっとごぶさたしていた、マクレーン刑事の神々しさは、ほんとうにファンタジーだと思ったし、「エージェント・ジョンソン」なんて、1作目を思い出せば、にやりというネタもあった。

 あえて、この作品の欠点を探すとしたら、シリーズものとしてきちんとしたテーマソングがないことと、戸田奈津子の字幕くらいだ。

 クリスマスを舞台にしたアクションとして始まった「ダイ・ハード」は、1、2作でヴォーン・モンローのクリスマスソング「Let It Snow, Let It Snow, Let It Snow」がテーマソングであるという印象が強い。マイケル・ケイメンのマクレーンのテーマ曲はあるんだけどね。そして、前作でも今回もクリスマスが舞台ではなくなったため、クリスマスソングをかけるのは無理になってしまった。

 ないものねだりは重々承知なんだけど、「007」や「ミッション・インポッシブル」のような心に響くメロディがほしい。

 そして、戸田奈津子ってば、予告編で使われているクルマをヘリコプターにぶつけるシーンで、マクレーン刑事に「やるっきゃない」とかいわせてるんだよ。いわゆる「なっち」語ですね。どこの旧社会党党首でしょうか。 「なっち」語は、ジョン・マクレーンが、娘のデート相手にたいして、「カレシ」とか言うあたりにも出ている。どこの女子高生だよ。

 また、ハッカーの「ネ申」登場シーンでは、おいしいところをかなりはしょっていたのが、せつない。たしかに字幕にするのは難しいんだけど、そのおいしいところがスター・ウォーズがらみとあっては、おじさん、ちょっと残念だったりするのだ。

 まぁ、どっちもいいがかりみたいなところだから、安心して、12年ぶりの「ダイ・ハード」を楽しもうじゃないか。

 ちなみにアメリカでのタイトルは「Live Free or Die Hard」で、「ダイハード4.0」というのはワーキングタイトル(製作中の仮タイトル)にして、日本用のタイトルなんだけど、オープニングロールでは、「Die Hard4.0」ときちんと表示されていたね。

 ああ、もう一度みたいよ。でも、先行上映だから、1週間待たなきゃいけないのか。くうう。
  

※こちらのエントリーもどうぞ。

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