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【舞台・観劇】社長放浪記

 下北沢・本多劇場にて。伊東四朗生誕70周年と称し、三谷幸喜が本を書き、三宅裕司が演出した。

 森繁の社長シリーズや、NHKお笑いオンステージの「てんぷく笑劇場」へのオマージュともいうべき、一幕ものの2時間の舞台である。意外なことに佐藤B作と三宅裕司は今回が初共演だという。


 ぼく自身、伊東四朗の舞台としては三谷幸喜の傑作「バッドニュース☆グッドタイミング」以来のもので、とてもていねいに作られた作品だった。

 24歳の藤澤恵麻がいるものの、平均年齢の高い舞台で、演技の切れという点では物足りないものがあり、前半では三宅裕司の台詞回しがちょっとよれていたりもした。

 さまざまな不祥事が頻発するハトポッポ製菓。社長の伊東四朗は専務の三宅裕司から辞任を迫られているが、本人に辞める気はまったくない。それどころか、行商のピーナッツ売りの娘に思いを寄せ、害虫駆除の作業員として、接していた。社長の甥を次期社長にしようと専務が企んだ方法は奇想天外なものだった。

 作業員と社長のひとり二役から生まれるコメディの前半はシチュエーションに対する過剰な説明もあって、重たかったのだが、かつて社長の物まねをしたばかりに、常務から駐車場係に降格された佐藤B作が登場してから、一気に加速していく。

 伊東四朗の物まねをする佐藤B作に、社長、作業員という伊東四朗の擬似二役が重なり、ドラマチックに盛り上がったところで、中村メイコが登場。まさしく「てんぷく笑劇場」的空間が広がっていく。

 伊東四朗の息子、伊東孝明が「古畑任三郎」ならば八嶋智人の花田に相当する説明役を演じていたり、伊東四朗を中心とする、さまざまな同心円が楽しめるのもいい。

 中村メイコの上品な魅力が、この空間を豊かにまとめており、お笑いオンステージのあった時代を思い出させてくれる。

 「コンフィダント」のあとでは、ちょっと物足りないところもあるのだけれど、後半の笑いの浮揚感は格別で、地上に伊東四朗のいる喜びをとことん感じられた。


※こちらのエントリーもどうぞ。

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