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【読書】環境問題はなぜウソがまかり通るのか2

 環境問題にまつわるウソをセンセーショナルに告発した前書には、おおむね、以下のような主張があった。

1)ペットボトル分別回収前と現在とで、ペットボトル消費量は4倍に増えた。  リサイクルできるということで、一般消費者は安心して、ペットボトルを使う。その気軽さから増えたのではないか。

2)ペットボトルリサイクルの資源消費量。
 1本のペットボトルをリサイクルするには新たに作るペットボトルの3.5倍の石油を使う。

3)リサイクル先進国のウソ
 日本のペットボトルリサイクルのカウントには再利用した分だけでなく、業者が目の届かないところにもって行き、焼却分も入っている。

4)分別回収の結果
 地方自治体の焼却炉では燃えにくい生ごみを焼くために、石油をかけている。

5)レジ袋は資源の有効利用。
 レジ袋が目の仇にされているが、これはもともとフレアースタックといって、石油精製のプロセスで燃やすしかなかったものを有効利用しているもの。このレジ袋をゴミ袋としてそのまま使えばいいのに、新たな石油で、専用のゴミ袋を使うことこそ、むだ。

6)ペットボトルは石油消費量の1000分の1にすぎない。
 年間、2.5億トンの石油が日本に入るが、リサイクルが始まったときのペットボトル使用分はわずか、26万トン、石油消費量の千分の一である。仮にペットボトルリサイクルが成功して、100%回収できても、石油消費量で0.1%を節約するに過すない。自動車を1000分の1でも減らしたほうが、ペットボトル回収より効果的。

7)環境先進国のウソ
 環境先進国といわれているドイツだが、国民一人当たりの資源消費量は日本の2倍。また1996年のデータで、国内総生産量あたりの廃棄物発生量は、ドイツは日本より67%多い。

8)ダイオキシン毒性のウソ
 猛毒で最強の発癌性物質といわれたダイオキシンだが、その毒性は低い。ベトナム戦争中の枯葉剤散布地と当時の日本の水田をくらべると、日本の水田のほうが圧倒的にダイオキシン濃度が低かったなど。

9)地球温暖化で南北両極の氷が溶けて海水面が上昇するのはウソ。
 北極の氷はいくら溶けてもアルキメデスの原理で海水面を上昇させない。南極ではむしろ、降雪量が増える上に平均気温マイナス50度が少々あがったとしても、氷点には達さないために氷は増える。
※「ミランカ」では、本書発売前後に公刊された第四次IPCC報告で、南北両極の氷には触れず、海水の膨張とゼロ度付近の氷雪が溶けるために海水が上昇するといわれと公式に書かれているとのこと。

10)節約すると石油消費量が増えるパラドックス
 会社まで徒歩通勤し、極力電気を使わず、月に2万円の倹約をする。この2万円を銀行に預けたら預けた分だけ、企業が投資や運転資金にまわす(石油消費量が増える)。さらに年間で24万円貯まったので、ご褒美に海外旅行にいった(石油消費量が増える)。結局、節約したお金を銀行に預けることで、石油消費量は増えるのだ。

11)森林は二酸化炭素を吸収しない
 成長期の植物は光合成によって二酸化炭素を吸収するが、成熟した樹はほとんど二酸化炭素を吸収しない。そして枯死すれば微生物によって分解されるプロセスで吸収された二酸化炭素は、大気中に放出される。二酸化炭素を減らすために森林を大切にするのは間違い。

12)新幹線は飛行機の二酸化炭素排出量の10分の1はウソ
 トンネルや橋、レールや駅施設の建設費と保守費用を考えれば、いいところ1.5倍の差しかないのではないか。

13)京都議定書を完全に守れたとしても、微々たる効果しかない。
 京都議定書の数値目標を完全に達成できたとしても、その効果は1度上昇するところが、0.993度上昇するにとどまる。一方、そのために必要なコストはロシアからの二酸化炭素排出権購入の2兆円をはじめ、膨大である。

14)環境問題は解消法は石油の枯渇
 石油がなくなれば、人類は二酸化炭素を大量に消費できなくなるので、地球を温暖化する手段はなくなる。

 テレビ番組やネットなどで、さまざまな反論を受けつた著者の武田邦彦だが、印象的だったのは、ミランカでのと学会会長の山本弘との論戦だった。

 それも、どちらの論が勝ったのか、負けたのかということではない。山本弘のさまざまな反論を冷静に聞いていた武田邦彦だが、自分の説に対して「間違っている」と"失言"した山本弘に対して、「自分の説が正しく、相手の説を間違っていると強弁するのは、科学的ではない」と色をなした瞬間だ(ディテールに関しては、ややうろ覚え気味)。

 なるほど、環境ファシズムという常識に対して、譲らない武田教授のことばの数々はここから生まれたのかと思った。

 センセーショナルな前作に比して、今回は、「京都議定書」という不平等条約、ペットボトルリサイクルというまやかしに、かなりのページを割きながら、武田邦彦の科学的バランス感覚を堪能できるという仕組みになっている。

 武田教授は「学問の自由が日本から消えた」状況をこのように書いている。

これは環境問題にも見られる「論理手順の逆転」だ。 つまり、事実→解析→意見、という順序になるはずだが、それが逆転して、意見→事実となってきた。さらに意見の前に「保身」や「わが身の得、わが組織を守る」ことが先行して、それに都合のよい事実を集めてくることが普通になった。
大学の独立法人化、官僚の大学幹部への天下り、競争的研究資金などが持ちこまれ、その結果、研究者が「オール与党」になってしまった。

 文科系大学中退の自分には、環境問題の学問的な検証は荷が重いのだけれど、地球温暖化の錦の御旗のもとに繰り広げられる「思考停止」の胡散臭さはよくわかる。自分の身近な人でも「地球温暖化の危機は当たり前」と、頭から信じ込んでいる人は多い。

 武田教授は地球温暖化を否定しているわけではない。地球温暖化の影響を予測評価する国際機関、IPCC( http://ja.wikipedia.org/wiki/IPCC )の最高に悲観的なデータを既定の事実のように報道し、不安を醸成する報道のいかがわしさを正面から告発している。同じデータをもとにして、NHKは今後、100年間で、地球の平均気温は6.4度上がるとしているのに対して、イギリスBBCは1.8~4度の上昇と報道している。地球は温暖化するだろうけれど、それが破滅的未来に直結するわけではない。

 地球温暖化はノストラダムスの代用品ではないのだ。

 常識がゆらぐおもしろさなら、前作だけれど、科学と政治の問題に触れながら、自身の哲学をまとめた今作の読後感は格別のものだった。

※こちらのエントリーもどうぞ。

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