【映画2008】ルイスと未来泥棒
ワーナーマイカルシネマズ板橋2番スクリーンにて、デジタル3D-SRD鑑賞。
はじめて、フロリダのディズニーワールドにいったのは、1990年だった。イラクがクウェートに侵攻し、パパ=ブッシュが湾岸戦争へと踏み切る前だった。ユニバーサルスタジオ・フロリダやディズニーMGMスタジオが開園した直後だった。
ディズニーワールド内のさまざまなテーマパークのうち、とりわけ印象的なのはエプコットセンター(現エプコット)だ。ディズニーといえば、ミッキーマウスを中心としたキャラクターアニメの総本山の印象があるけれど、「アニマル・プラネット」や「ディスカバリーチャンネル」以前に、自然や科学ドキュメンタリー作品を数多く作ったことなど、科学とテクノロジーから生まれる未来への希望をエンターテインメントにしてきた会社である。
エプコットは「Experimental Prototype Community of Tomorrow(実験未来都市)」の略であるが、一言で言えば、終わりのない万国博覧会である。パビリオンというにふさわしい、園内の施設をひとつひとつ訪れるたびに、自分が小学二年生のとき訪れた万国博覧会の記憶がリフレッシュされた。
懐かしい未来がそこにあった。進歩への曇らない希望と、発明を愛する心、人間への信頼、好奇心とイマジネーションがなにより大切で、失敗をおそれずに肯定すること。それがあのころの未来だった。
「ルイスと未来泥棒」は、まさにそんなディズニーの映画だ。
母親に捨てられ、孤児院で育った発明好きの少年、ルイスが主人公だ。学校の理科研究発表の時間に巻き込まれた事件により、彼は未来世界へ。
吹き替え版の3Dは字幕を意識せずにすむからいいね。「ベオウルフ」ほど3Dを強調した演出はないのだが、3Dであるために、ディズニーのアトラクションを肉眼で見るようなリアリティが生まれ、幸せなテーマソングとあいまって、エプコットのアトラクション「ジャーニー・イントゥ・イマジネーション・ウィズ・フィグメント」あたりを体験しているような心理状態になった。
このディズニーの未来は、なんて素敵な未来なんだ! let go of the past and keep moving forward!(過去を振り返らず、前へと進み続けよう)というフレーズが、テーマとしてくり返し登場する。それはとても豊かで懐かしい感情を生む。なんだかね。そういうディズニーとの再会のドラマなんだよね。
ピクサーのジョン・ラセターがディズニーのアニメ部門のトップとして返り咲いたことで、この作品に対して、さまざまにてこ入れがなされたという話だ。これはこちらの思い込みかもしれないが、かつてディズニーにいて、ふたたびディズニーにもどった、ラセターのウォルト・ディズニーに対するラブレターのような作品だ。2D版ではミッキーマウスの初期作「ミッキーの造船技師」を併映にし、3D版ではウォルト・ディズニー存命中の3D作品「リスのピーナッツ」を併映にしたことにも、そういった意図を感じてならない。
21世紀にディズニーが生きていたら、こんなCGアニメを作っていてもおかしくない。
ルイスが最後に過去を切り捨て、未来に生きる決意をするあたりは、ちょっとショックを受けた。あ、いま、そういう選択をする主人公を描くんだ。ていうか、描いちゃうんだ。過去と未来が一枚板のシーソーのようだ。未来の可能性を高めるために、過去を足元におろしてもいいんだ。
自分がエプコットセンターを訪れて、湾岸戦争、地下鉄サリン事件、911など、いろんなことがあったけど、あのころ、まばゆく未来をおもった気持ちは、きっかけさえあれば、あの輝きのままによみがえるのだね。
お子さんがいるなら、ぜひ、劇場で3Dで見るべき映画だ。あのころ、多様なる未来の可能性にときめいた大人もぜひ、劇場で3Dで見るべき映画だ。
現実はいろいろあるけれど、未来への高揚感をときには思い出してもいい。


