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【グルメ】東筑軒が東京に!

 京王駅弁大会だが、去年に続いて、今回も一度か二度はいかねばと思って、チラシを見ていると、大きな発見。

 なんと今年の北九州名物「かしわめし」が北九州駅弁当株式会社のものではなく、東筑軒のものになっているではないかっ!!

 北九州駅弁当のものは、小倉駅で売っているのであるが、いわば赤福にたいする御福餅みたいなもので、まずくはないのだが、ちがうのである。ほんとうの「かしわめし」は折尾駅や八幡駅で売っているあの東筑軒の「かしわめし」なのだ。

 小学生のころ、ぼくは冷えたご飯を食べられなかった。うちの小学校は給食がなかったので、弁当を持ってきている子が多かった。母は頼めば、お弁当を作ってくれただろう。しかし、お弁当を持っていくことはなかった。冷えたご飯が食べられなかったからだ。

 なぜだろう。食えるようになったいまから考えると、不思議なものだが、好き嫌いとはそういうものだから、仕方がない。幕の内弁当とか、駅弁とかも、冷えたご飯があると、残していた。

 しかい、唯一の例外があった。それが東筑軒の「かしわめし」なのだ。

大正初期、国鉄の門司運転事務所所長をしていた本庄厳水(イワミ)は、各地を旅した時に、駅弁が画一化していることを痛感。郷土色を生かした駅弁づくりのために、大正10年に折尾駅(北九州)で筑紫軒という弁当屋をはじめた。 福岡は、鶏の水炊きが名物になっているように、昔から鶏肉を好んで食べる土地柄。そこで鶏のスープの炊き込みご飯に鶏肉と卵をあしらった「親子めし」を考案した。 ところが、この「親子めし」声に出してみると「オヤコロシ(親殺し)」に聞こえてしまう。そのため、名前を『かしわめし』に変更。

筑紫軒は、戦時中の昭和17年に、国策により、折尾の眞養亭、吉田弁当、直方の東洋軒と企業統合、これが現在の『東筑軒』となる。名物は『かしわめし』。「鶏肉以上にご飯が旨い」と定評がある炊き込みご飯の味付けは、厳水の妻スヨが考え、以来秘伝として代々女性だけに受け継がれ、絶妙の味のスープを作り出している。

 佐賀の鳥栖では、これより早くから「かしわめし」を売っていたという話はある。事実、おいしい「かしわめし」だが、多くの北九州の人間にとって、「かしわめし」といえば、東筑軒のかしわめしなのだ。

関門トンネルを出ると、緑と太陽の国 ”九州”に入る。そこには僕の楽しみの一つである東筑軒の ”かしわめし” が待っている。この駅弁の味から、夢多き九州の旅が始まるのである。 石黒敬七談
 

 東筑軒の包み紙にはこのように書かれている。やはり九州の玄関口で食べる代表的な駅弁といってもいいだろう。

 もうね。鳥のエキスがしみこんだご飯がうまいのよ。派手ではないけれど、ジワリと滋味があふれてくる。そして、口中の温度に触れたところから立ち昇る香ばしさ。ほんとにこれは北九州市の人間にとっては、ソウルフードなのだ。

 京王の駅弁大会では、ずっと長いこと、北九州駅弁当のかしわめしが出品されてきた。東京の人にはわからないかもしれないが、これはもう大きくちがう食品なのである。

「駅弁大会にかしわめしがでとぉけ、買いにいかんね」
「ちがうちゃ。あれ、東筑軒のやなくて、小倉の北九州駅弁のちゃ」
「なんね。それやったら、いかんでいいね」

 東京の北九州人のあいだでは、こういう会話が当たり前になされるのだ。
 
 駅弁には二種類ある。ひとつは旅先で食べる駅弁。知らない土地の特産物、空気、水を吸いこんだおいしいものはそれだけで、旅の気分を盛り上げる。

 そしてもうひとつは旅立ちに食べる駅弁だ。

 あわただしく旅の支度をすませ、これからはじめる旅への活力をあたえてくれる駅弁。人生で一番多く食べる駅弁。自分にとってのそれは東筑軒の「かしわめし」なのだ。

 ああ、食いたくなってきた。

※こちらのエントリーもどうぞ。

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