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【社会科見学】見学ナイト「土木の夜」

 月曜日はロフトプラスワンで午後7時から見学ナイト。今回は土木とのことで、「社会科見学に行こう!」のぴろり、さんも気合が入っている。

 第一部は土木写真家の西山芳一さんと、巨大インフラをつぎつぎに撮影する西澤丞さんという二人のカメラマンをお呼びして、土木写真の魅力に迫るというもの。

 西山さんは今回が初対面である。こちらに何点か写真があるが、講談社からこんなに美しい橋「タウシュベツ」の写真集を上梓されている。

taushubetsu.jpg

 こういったものを土木遺跡というそうだ。まるでローマ時代の水道橋のような美しさである。いったいどこの国で撮影したのかと、壇上で話をうかがった。この写真は日本で撮ったとのこと。帯広の北、糠平温泉のそばにあるという。糠平温泉なら、おれもスキーにいったよ! 近くにある混浴露天風呂にも入ったよ。

 この橋が建てられたのは1937年だ。士幌線の鉄道橋として建てられたコンクリート橋だが、とてもそんな風には見えない朽ち方である。じつは1955年に発電用人造ダム湖である糠平湖ができ、橋梁周辺が湖底に沈むことになったのだ。

 糠平湖の水位は季節により変化する。3月から5月になれば、ほとんど水位はゼロになり、橋全体が姿を現すのだが、9月以降はほとんど水没してしまう。このような過酷な状況の中、「1年あたり、50年分は古くなってしまうんですよね」。ダム湖ができて半世紀である。50×50=2500だ。ローマ時代をしのぐ、変化がこの橋にもたらされているのだ。

 美しい土木の姿を追って20年の西山さんの話はとても興味深い。ダム、トンネル、橋。その圧倒的な存在感。そして、その前に立ちふさがる自然とのコントラストが、会場で映し出される写真、一枚一枚にくっきりと映し出される。

 こういう方の話をいちばん近くで聞くことができるから、司会というのは楽しいスタンスだなぁ。

deep_inside.jpg

 つづく、西澤丞さんはもう何度もご一緒した方だ。西山さんとはまったくちがう土木写真を撮っている。この人の目は身近にある異形をSF映画のように切り取っていく。巨大なものをまるで神の手による生物のように描写するのだ。

 このお二人だけで、まだまだ、話を引き出してもいいと思ったよ。

 さらに第二部はさらにディープに。日本では青函トンネルに次ぐ難工事といわれ、着工から10年。やっと夏に開通する飛騨トンネル(全長10.7キロ:道路トンネルとしては世界第八位)の建設に携わった飛島建設、施行技術研究所、大成建設の方々が壇上に上がる。

 おれもTBM、NATM、土かぶり、地山、支保、支保工、ズリ、インバート、坑口、ロックボルト、セントルなど基本中の基本用語を一夜漬けして望んだのだけれど、これまたエキサイティングな体験だった。

 飛騨トンネル貫通の苦闘は動画にまとめられている。

 もうね。見ると、眠っていた土木魂が騒ぎ出すよ。子供のころ、トンネルが好きだったやつなら、覿面に効くよ。

 すさまじいのは、茶筒の形状で山に穴を開け先導していくTBM(トンネルボーリングマシン)が、数年かかって7キロ掘りぬいたあと、不良地山帯の高圧粘土層に遭遇したあたりの映像だ。自然の恐るべき力により、TBM自体が圧潰してしまったのだ。

 それまで、圧力により、TBMが拘束(これも専門用語です)されたことは何度もあった。そのたびに迂回孔を掘ったり、水抜きをしたり、手作業で周囲を掘ったりして、なんとか対処してきたのだが、シリンダー部分が壊れ、土砂まで吹き出すようになっては断念せざるを得なかったという。

 かつての丹那トンネルの難工事の話などは読んだこともあるが、技術が進み、トンネル掘りも難しいものではないと思っていただけに、かなり衝撃的であった。

「こんな工事は例外中の例外ですよ」と飛島建設の方はおっしゃっていたが、それでも、かなり魅力的な体験であった。

 ロフトプラスワンでのイベントに出席してくださる方は、みなさん事前に「不安」を口にされるのだが、終わってみれば、それなりに興奮して帰ってくれるのがいいなぁ。

  

※こちらのエントリーもどうぞ。

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