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【映画2008】ライラの冒険 黄金の羅針盤

 ワーナー・マイカル・シネマズ 板橋8番スクリーンにてSRD鑑賞。

 とりあえず、これはこれとしてきちんと楽しめた。まるで大河ドラマ総集編のようにざくざくと話が進んでいく。序盤は世界設定の説明が多いのでもたついた展開だったが、ドラマが動き出したら、心躍る世界観と映像で退屈しなかった。

 もともと原作の主要登場人物が全員、一筋縄ではいかない人たちだ。冒頭で、主人公の叔父アズリエル卿が毒殺される経緯や、学寮長がライラの庇護者として黄金の羅針盤を手渡すあたりの展開は、原作未読の人にはかなりわかりにくい。わかりやすくするために原作の設定を一部変えているとはいえ、そのあたりの説明不足感も総集編的だね。

 二コール・キッドマンが演じるコールター夫人や、エヴァ・グリーン演じる魔女、セラフィナ・ペカーラそして、主人公の少女ライラなど、女性キャラクター全員の演技は際立っている。

 一方の男性陣、よろいグマ、イオレク・バーニソンもなかなかの迫力だし、サム・エリオット演じる飛行船乗り、リー・スコーズビーもかっこいい。一部CGもふくめたけれど、役者たちがすべていいのだ。スペクタクルシーンより、室内の演技を際立たせるあたりもやはり、大河ドラマ総集編的だ。

 一方で、合戦シーン、決闘シーンなど、すべて単調な演出で物足りない。室内優位はここでも圧倒的で、イオレクたち、よろいクマは室内ではいい感じに巨大感が出ているのだけれど、一歩、外に出ると小さくなってしまう。

 原作とクライマックスを入れ替えたのだが、それが映画全体のゴールを見えにくくした上にカタルシスをなくしてしまった。「ロード・オブ・ザ・リング」でいえば、さきにアラゴルンが王になっちゃうようなもので、貴種流離譚としてもバランスが悪い。

 原作はこのあとの第二部「神秘の短剣」から俄然、おもしろくなる。ただ、そこにブリッジする部分が作中でほとんど展開されておらず、このまま第二部に突入して大丈夫なのか、疑問が残る。全体に美しくはまとまっているが、アメリカでは「ロード・オブ・ザ・リング」と同じPG-13指定だというのに、PG指定の「ナルニア」をしのぐ無味無害ぶりだ。かっこいいキャラクターがいくつも出ていながら、手触りのあるキャラクターが少なすぎる。

 本作に関しては、北米カトリック連盟によるボイコット騒ぎもあったというが、「ロード・オブ・ザ・リング」の一作目が2時間半あったのにたいして、こちらは113分という短い尺があだとなったというべきか。

 話の展開に「スター・ウォーズ」テンプレートをはめるのはいいんだけど、ライラの魅力とはちょっとちがう気がする。とくにアスリエル卿とライラとの距離感やエンディングについては、ほんとにあれでいいのかな。

 

※こちらのエントリーもどうぞ。

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