【社会科見学】ダイナマイトが100本だ!
2月11日にロフトプラスワンで行われる「土木の夜」の取材もかねて、湯西川ダム工事現場へ。
ダム工事というのは、ダムの躯体だけを作ればいいというのではない。ダム湖の誕生によって、沈むことになる道路を標高の高いところに作り直すなど、周辺の工事も必要なのだ。
湯西川ダムは現在まだ、ダムらしいものは何も作られていない。しかし、付け替え県道といわれる新しい道のトンネルや橋梁工事は急ピッチで進められている。
今回見学したのは、そんなトンネルや橋だ。
見学するわれわれにとっての最大のイベントは発破作業を体感すること。(とりあえず、発破だけ見たい人は下のほうまでスクロールしてください)
まずは、3号橋上部工事をみる。ワーゲンをつかった3径間張り出し架設工法のPCラーメン橋ということで、一本の橋脚からヤジロベーのように左右に道が伸びていく工事だ。ていうか、ここで書いている用語は一昨日までさっぱり知らなかったよ。橋桁内部には入れたのがとてもおもしろかった。

右の方で橋脚の上にヤジロベーのように端が伸びているのがわかるだろうか。

橋を伸ばしている部分はビニールシートで包まれ、氷点下での作業もできる。

橋桁躯体の内側。やがては上下水道などのライフラインも走るという。

コンクリートをワイヤーの引っ張りでさせるのがPC工法の基本。そのワイヤーをキリキリと締めている現場。
さらに1号橋へ。ここは躯体がほぼ完成している。氷点下10度でも工事を進めるためのさまざまな工夫が興味深い。氷点下10度ではコンクリートがうまく固まらず、ぼろぼろになる。それを防ぐために、まるでビニールハウスのように現場を囲い、温風を吹き込んでいく。

ビニールで橋そのものを覆い工事をする

天上は太い鉄骨で支えられる。なぜ、こんな鉄骨が必要か。雪の重さに耐えるためだという。70センチの積雪までは大丈夫とのこと。また、奥のほうにある木は所有者の説得が進まず、切らないまま工事を進めているという。

コンクリートが冷えては困るので、熱を吹き込み、ビニールハウスの中は、気温10度程度に持たせているという。
いったん昼食をとった後、湯西川ダムサイトの仮排水路トンネルへ。すでに開通はしている。上流側から入り、下流側へと歩いていく。

木を切っている斜面が将来のダムサイトの側面になる。

ダム建設中に川の水がたまっては作業ができない。その水を横にそらすための仮排水路トンネルの入口。

中はコンクリート吹き付けのあとにロックボルトを打ち込む工法。一度水が通れば、この中を通ることはできなくなる。

トンネルの下流側。この上にはもともと水力発電所があったとのこと。

整然と並んでいるのは1トン土嚢。もともと土嚢の上には旧県道があり、駅と湯西川温泉を結んでいた。ところが、崩落により、県道が壊れてしまったので、昼夜を分かたず、10日ほどで、3500の土嚢を積み、復旧を急いだとのこと。作業中は、湯西川温泉への観光客は、手前でバスを降り、このルートを歩いて、ピストン輸送のバスで運ばれたそうだ。
そしていよいよ6号トンネルだ。発破の現場だ。全長1190メートルのうち、990メートルが掘りすすめられているとのこと。発破現場なので、入口で全員の携帯電話を預ける。ヘルメットはもちろん、粉塵マスクの装着も義務づけられる。
山岳トンネル工事の代表的な工法はNATMといわれ、いくつかのステップで行われる。
1)発破/掘削(まさに土や岩盤を掘る)
2)土砂を外部へ排出する
3)セメント吹き付け(セ凝固剤を吹きつけ直前に混入するので、セメントはすぐに固まる)
4)ロックボルト打設(吹き付けセメントともに強度を得る)
5)防水シートを張る
6)覆工コンクリートでトンネル壁面を仕上げる。
現在まで貫通している990メートルのうち、660メートルは覆工コンクリートの仕上げまで済んでいる。全体の三分の二だ。そこから20メートルほど、防水シートを貼り付けたエリアがあり、そのさきはまだ、吹き付けコンクリートにロックボルトが打ち込まれているだけの状態だ。

覆工コンクリートで仕上がった壁面。奥に見えるのが、移動式の型枠。

防水シートを貼っているところ。
990メートル近く歩き、切り羽の様子を見る。切り羽には100本近くのダイナマイトを仕掛けるという。一度の爆発で110センチほど進み、一日に4回、発破を仕掛けるから、1日につき、4メートル50センチほど進んでいく。

ダイナマイトを埋め込んでいる切り羽では、ドリルジャンボに乗った作業者がいる。

作業者は情報からの岩盤の崩落から身を守るために、亀の甲羅のようなプロテクターを着けている。

これが起爆装置。有線のケーブルをこれに取り付ける。

クローラブレーカー。発破を仕掛けたあとに残った部分を掘削する。

パワーローダー。発破作業後の壊れた岩盤などをダンプに積み込む(ズリ出し)。

セメント吹きつけロボット。かっこいいぞ!

ズリを外に運び出す30トンダンプ。
そのあと、350メートルほどもどり、発破を待つ。発破の際には、衝撃波があるので耳に指を入れてふさいでくれといわれる。1回、2回、3回とサイレンが鳴り、3回目のサイレンが鳴り止むとともに、爆発だ。
可能なかぎりボリュームを上げてご覧ください。
耳をふさいでいるということもあるのだけど、まるで自分が銃口の中にいるようだ。圧縮された莫大な空気がドンと身体を通り抜けていく。あまりにも一瞬のことで、どのように反応していいのかわからないが、とにかくすごい。ビデオでは、いわゆる爆発っぽい音になっているが、音の成分としては、可聴周波数ぎりぎりの超低音だ。むかしの映画「大地震」とか「ミッドウェー」でやったセンサラウンド方式の1000倍くらいのやつが、百分の一の時間で体を襲ったような感じ。
音と衝撃が終わったあと、さらに自分の背後から、ドドーンと音が返ってくる。
うーん。すごい体験でした。


