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【映画2008】フィクサー

 ワーナーマイカルシネマズ板橋7番スクリーンにてSRD鑑賞。

 あらゆることにいっぱいいっぱいな大人たちが、ある事件を契機に一気に崩壊していくさまを描いた作品だ。

 ニューヨークの巨大法律事務所に勤めるジョージ・クルーニーは、不測の事態の揉み消し屋「フィクサー」として動く男だ。しかし、不安な将来への担保としてはじめたバーが、身内の裏切りによって、経営が破綻。巨大な借金の返済に追われている。

 巨大製薬会社「U・ノース」の法務部トップに立つティルダ・スウィントンは、ある日、とんでもない知らせを聞かされる。集団訴訟で弁護を担当する法律事務所の弁護士が、供述中、精神に破綻が生じ、突然、全裸になり、捕らえられたというのだ。

 トム・ウィルキンソンは、長く躁鬱を患う弁護士。ある日、自分の担当する大規模集団訴訟で弁護する製薬会社が、犯罪とも言うべき大きな嘘をついていたことを知ったとき、良心に目覚め、全裸になる。だが、その行為の陰でおそるべき行動の準備をしていた。

 「ボーン・アイデンティティ」シリーズを手がけてきた脚本家が脚本・監督をつとめた作品だけに、余裕のない人々が踏み外していく悲喜劇を多弁かつていねいに見せてくれる。

 ただ、キャラクター個々の善悪が見極めにくい作品だけに、なにを描いているかを見極めるのが難しい。主要な三人のキャラクターすべてが人間として善悪どちらの側面を持っている。だからこそ、話が転がり始めるまでは、だれに感情移入していいのかわかりにくいのだ。

 まぁ、スターであるところのジョージ・クルーニーが主役なのはわかるが、燃えつきかけた弁護士という役なので、ちょっととまどう。

 グリシャムばりのリーガル・サスペンスを期待していたが、ちょっとちがうようだ。

 ドラマとしては、中盤に思わぬ方向に転がっていき、サスペンス色が強くなるところから、多少はおもしろくなる。ああ、つまり、これはビジネスと個人と家族のそれぞれに目配せしながら、燃え尽き症候群の中年男の再生をていねいに描いていたんだね。

 オレっちみたいなおじさんも、そこらへんには感情移入をしたよ。

    

 ただ、さまざまな展開で偶然の要素が強すぎることが気になる。また、「Realm and Conquest」なる架空のファンタジー小説を構成の鍵にしているのだけれど、それがなんとも強引だったりもする。ジョージ・クルーニーのデリケートな心情を語るのは、前妻とのあいだに作られた子どもとの対話なのだが、かなり説明的で、脚本の賢しさが鼻につく。

 演出のアイディアに見るべきところも多かったりする一方、なんとも評価しづらい作品だ。

 この脚本家は、オリジナル脚本よりも脚色ものを作ったほうがいいのかもしれない。

※こちらのエントリーもどうぞ。

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