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【映画2008】神様のパズル

 ワーナーマイカルシネマズ板橋1番スクリーンにてSRD鑑賞。

 これはおもしろかったよ。原作も読んでいるのだが、原作よりも楽しめた。

 三池崇史監督といえば、「妖怪大戦争」! 「妖怪大戦争」といえば、川姫! そんな連想ゲームが成立するのは絶対の真理だ。あの川姫の色香にまいった人なら、今回の穂瑞沙羅華にもめろめろになるはずだ。

 悪評高い「映画が盗まれている」キャンペーンで黒い涙を流していた谷村美月が早熟の天才物理学者、穂瑞沙羅華を演じている。「デスノート」のエルを女にしたような引きこもり気味なボクッ子だ。エルと大きくちがうのは、ダサいジャージの下のキャミソールから、胸の谷間が見えまくり、ショートパンツから足のつけ根が見えまくる説得力あるセクシーさ。そんな豊かな肉体性で視覚を奪いながら、耳からは物理学の精緻なロジックが流れ込む。

 もうね、このシチュエーションだけで、幸せになれるでしょう。原作ではメガネっ子だったが、この映画の沙羅華はイデアのレベルで凡百のメガネっ子をしのいでいる。

 登場シーンもひたすら多く、上から横から、回り込んで、動きながら、揺らしたり、迫ったり、濡らしたりと胸チラ十段活用。

 原作からの大きな改変は、主人公の設定にある。主人公の綿貫基一には双子の弟、喜一がおり、基一は旅に出る弟の代わりに大学のゼミに出席するニセ学生にしたということ。市原隼人が一人二役で演じているのだが、これがじつにうまく機能している。物理学の素養がある優等生、喜一にくらべて、基一は寿司屋で働くロック馬鹿だ。物理学なんてさっぱりわからない。

 その彼が人工授精で誕生し、新型加速器をデザインした天才少女と対話をするわけで、物理学に縁遠い観客の代弁者としている。もしも物理学の学生同士の会話だったら、最初から観客は置いてけぼりになった可能性もある(原作の綿貫も、物理学を知らなすぎる傾向はあったけどね)。

 囲碁を知らなくても「ヒカルの碁」が楽しめ、将棋を知らなくても「ハチワンダイバー」が楽しめるように、物理学を知らなくても、楽しめるようになっている。

 そんな中、素人でさえ感じる、宇宙に対する畏敬の念をぬかりなくフォローしているのもすばらしい。

 また、双子という設定は、物質と反物質、3つの階層のクォークがそれぞれ対となっていることなど、物理学で顕著な対の構造に対するメタファーとして、秩序と混沌の対となっている。

 作品全体でキャラクターをきちんと描き分けているうまさがでているのだ。フットボールアワーの岩尾望なんて、絶妙にはまるキャラクターだ。教授を演じる石田ゆり子が、おばさん呼ばわりされるのは、ちょっと寂しいんだけどね。

 原作で提示されていたミステリとしてのうねりはかなり弱められているが、青春と宇宙の食い合わせのよさがきちんと織り込まれているのは、たいしたものだ。

 ぼくの後ろでは制服姿の女子高校生が二人で見に来ていたが、館内が暗くなる前、「○○と話をしたあと、家で寝てたら、あたし、宇宙の夢を見たんだよね」みたいなことをいっているのが、好ましい。

   

 直径2キロの円形加速器がふたつ並ぶ加速器「ムゲン」が角度をつけて地上に聳え立っているのは、どうよ……とか、思ったりもするのだけれど、なによりその威容は美しい。加速器そのものが、何度も見学で見たあれやあれだったりして、楽しい。

 一回でも加速器を見ていれば、「おいおい」といいたくなるところもあるが、谷村美月の胸と足に免じて許せてしまうのよ。ありがとう。

 前半の青春ラブコメから、後半で一気にスペクタクルになるのは、強引だけれど、納得できる強引さだ。セカイ系をしのぐウチュウ系のパワフルさだが、クライマックスはそれをしのぐ強引さでまとめられていく。

 そのあたりはむちゃくちゃだけれど、気持ちよかったから、ぜんぶいいや。

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