【映画2009】252 -生存者あり-
ワーナーマイカルシネマズ板橋3番スクリーンにてSRD鑑賞。
チャールトン・ヘストンとかアーネスト・ボーグナインとかスティーブン・セガールが同じ飛行機に乗っていたら、気をつけたほうがいい。墜落やハイジャックの危機にさらされるだろうから。伊藤英明が近くにいても要注意だ。沈没したり、洪水に襲われたりするにきまっている。
今回の伊藤英明はもとスーパーレスキューのセールスマン役なのだが、海上保安庁にいて、錦江湾で沈没しかかったフェリーから恋人にプロポーズした人とほぼ同じキャラクターといってもいいだろう。
伊藤英明の身内なら、絶対に助けてくれる。半径5メートルくらいにいても助けてくれる。でも半径10メートルを越えると危険なので気をつけたほうがいい。
巨大台風が来るからといってクリスマスの宅配ピザ屋のように職員が動き回る気象庁。気象庁の小娘に「二次災害の可能性が」といわれただけで、「にぃぃじぃぃさいがぁいぃぃぃぃぃぃぃ」などと喚きちらすベテランレスキュー。「救助を求める人が大切なら、レスキューの命なんて犠牲になってもいいじゃないすか」とレスキューの若造に青臭く詰め寄られたときに「おまえみたいに妻子がいないやつになにがわかる」と答えるレスキュー上司。伊藤英明の妻は自分の娘が取り残されたと知ると、半狂乱になって、レスキュー隊長の義兄に無理難題を押し付ける。研修医として縫合もろくにできないおちこぼれの若造は、八つあたりのように伊藤英明にからんでくる。レスキューに要救助者の存在を知らせるために、パイプで壁の金属管を叩くのだが、マメが破れ掌がボロボロになるほど、叩いているやりすぎな人たち。
とまぁ、頭が悪い人ばかり出てきて、ひとりも尊敬できる職業人が出てこないのは、伊藤英明映画の特徴だから、文句をいわないように。
だいたい津波ではなく、高潮プラス台風で、レインボーブリッジやフジテレビが崩壊するもんか。地震によるメタンハイドレートで海水面が温められて巨大台風ができるというわけのわからない理由もすごい。
「海猿 LIMIT OF LOVE」のときは、沈没するフェリーというタイムリミットがあったのだが、今回はタイムリミットがよくわからない。最初の高潮で奇跡的に助かって、いわゆる幻の新橋駅ホームに逃げ込んだ伊藤英明たち。そこでじっとしてれば、台風なんて通り過ぎると考えるのが、自然な人間の知恵であろう。しかし、そんなことは考えない。とりあえず乾いたところで生き延びているのだから、数時間くらい待てよと思うのだが、待てないようだ。
ストレス研修医が意味もなしに喚きたてることだけでサスペンスを盛り上げようとしても無理というものだ。ときどき不気味な地響きとか、見えないところで出水する亀裂ショットなどインサートすればいいのに、そういう工夫はない。途中で思い出したように韓国人ホステスが内臓から出血しているという危機を持ってくるのだが、気を取り直した研修医がボールペンの芯と水槽の清掃機で輸血したら、軽やかに直ってしまう。
バラエティで反応を見せる「ひな壇芸人」ってのがいるけれど、この映画のキャストのほとんどは「号泣役者」とでもいうべき連中だ。やっと救助されたあとも、救急車に乗るわけでもなく、ぐずぐずと現場に残り、映像がスローモーションになったところで泣き芸を見せる。アクションシーンではなく、カメラがくるくる回るとき、スローモーションになったり、泣きポイントを教えるために要救助者がうっすら涙を浮かべて、レスキューを感動的に見守るのも伊藤英明映画の特徴である。
登場人物のさまざまな姿をみせる序盤の15分は死ぬほどつまらない。銀座三越前あたりで雹が降り、サラリーマンを直撃するあたりから、新橋駅が水没するあたりまでは一気に盛り上がる。ここはちょっと感心した。伊藤英明チーム以外の民間人が全員死んでからは先述のバカの競演だ。
これで泣けましたとか、号泣できましたとか、いってる人には、おれの葬式にきてもらいたくない。そんなやつに泣かれたくないと心底思うのだ。
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