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【映画2009】ワールド・オブ・ライズ

 ワーナーマイカルシネマズ板橋2番スクリーンにて、SRD鑑賞。

 「ザ・ビーチ」、「ブラッド・ダイヤモンド」、「ディパーテッド」。アジアと欧米、アフリカと欧米、そしてマフィアと警察。映画の中でディカプリオが輝くのは、ふたつの世界の狭間で居場所がない男を演じるときだ。「ワールド・オブ・ライズ」はアメリカ諜報部の一員として、アラビア語を巧みに話し、コーランへの造詣も深い工作員を演じている。

 一方、ディカプリオの上司を演じるラッセル・クロウはもう呆れるほどの太りっぷりで、アメリカを体現している。さらにヨルダン諜報機関の長として、仕立てのいいスーツに身を包み、英国風の発音と飴と鞭の人心掌握をするマーク・ストロング。テロリストのボスの捕縛という共通の目的を持ちながら、三つ巴の知能戦をくりひろげる。

 手だれのリドリー・スコット演出だ。ノンフィクション空間を舞台にしたかのような迫真のドラマが展開される。映画を見ていて、ずっと興奮が続くのはすばらしい。

 宣伝文句では"嘘"をクローズアップしているし、嘘は作品のテーマのひとつといえるが、それよりハイテク諜報とヒューミントとの対立のほうが大きなテーマとなっている。砂漠の中で全身に傷を受けながら、ヒューミント(人的諜報)に命を懸けるディカプリオと、清潔な司令室から無人偵察機の映像を見ながら、指示を送るクロウ。自分が関わった現地の人間の保護を考えるディカプリオと冷酷に捨て駒にしていくクロウ。中東の文物を受容するディカプリオと、人の生きる場ではないときって捨てるクロウ。

 そのコントラストは作品の随所で示され、映画にくっきりとした陰影をつけていく。

   

 諜報エンターテインメントとしては、圧倒的におもしろい。無人偵察機で監視されていることを承知の上で、それをまくシーンは映画のアイディアとして、最高のもののひとつだろう。

 だが、欧米人の見かけでイスラム世界へのシンパシーを示すディカプリオのキャラクターに掘り下げが足りない。役者のアトモスフィアだけでキャラクターを成立させている。そこらへん、ふたつの世界の対立を描く社会派映画というより、ウェルメイドな活劇と見たほうがいいのだろう。

※こちらのエントリーもどうぞ。

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