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【映画2009】ヘルボーイ ゴールデン・アーミー

 池袋シネマロサにてSRD鑑賞。やっている映画館が少なすぎです。東京23区の西側だと池袋と歌舞伎町しかやってないよ。

 これはかなりの傑作だ。スクリーンのすべてのモンスターたちが生きている作品だから。

 もちろんこの世にヘルボーイもエルフもゴールデンアーミーも存在しない。しかし、少なくともこの映画を見ている2時間、彼らは確実にそこにいた。

 ロンドンの片隅のパブの煉瓦を杖で叩いてもダイアゴン横丁に入れる気はしないし、ハリーと同じ、魔法の杖は買えないだろうけど、ニューヨーク、ブルックリン橋の下の袋小路にはトロルのマーケットがあって、得体のしれない魚は買えそうだ。

 監督のギレルモ・デル・トロは信じている。彼らが実在することを確信して作っている。

 「パンズ・ラビリンス」で虚実をみごとにブレンドしたデル・トロだが、制作費7200万ドルの娯楽大作においても虚実のコントロールは冴えわたっている。そして怪物たちの手触りを伝えてくれる。

 虚のリアリティは愛情と感情移入をもとに、登場するキャラクター(=魔物)を動かしていることから生まれるのだろう。

 冒頭は主人公のヘルボーイの少年時代が描かれる。サンタクロースの実在、操り人形の虚実、人間として育てられる象徴でもある歯磨き、そして、ドラマ全体のバックストーリーと、今回の映画のテーマがじつにデリケートに描かれる中、ジョン・ハート演じるトレヴァー・ブルーム教授の見せる愛情が胸を打つ。父親となった教授はヘルボーイを人間として信頼し育てているのだ。

 一方、今回の敵となるエルフの王子は父親との距離感、人間に対する信頼など、ヘルボーイとは合わせ鏡のような存在である。このふたりの接触と対決は多くの示唆に富み、じつに刺激的だ。フリークス対人間の摩擦はすべてのキャラクターのサブストーリーで展開されているが、映画のあと、それを反芻するのも楽しい。

 今回の名場面はバリー・マニロウの「涙色の微笑(Can't Smile Without You)」が流れるところだ。虚実に加えて、卑俗なスパイスもうまい監督だが、モンスター映画でこんなすごいものをみせられるとは思っていなかった。詳しくは書かないけれど、これが流れるシーンは泣き笑いだよ。

   

 多くのレビューで宮崎駿作品との相似が語られているが、それだけでなく、ユニバーサルホラーやロード・ダンセイニ、ジム・ヘンソンなど、さまざまな"引用"もある。知ってか知らずか「柳生忍法帖」だって入っている。前作はラブクラフト的ベクトルが強かったが、今回はケルト・ファンタジーが盛り込まれている。そして、そこに振れすぎていないところがいい。

 ちなみに今回は前作以上にセルマ・ブレアが登場しているのもうれしい。こういう顔立ちの女優は好みである。ブルック・アダムスとかジュヌビエーヌ・ビジョルドとか。

 公式には三部作といわれているが、次回がほんとうに楽しみだ。

※カットされたのかもしれないが、王女があれを壊さない理由をきちんといってくれるとよかったんだけどね。そこだけちょっと残念。

※こちらのエントリーもどうぞ。

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