【ミュージアム】テオ・ヤンセン展
マイミクのデザイナーさんが、ロゴと図録をデザインされた「テオ・ヤンセン展」へ。
テオ・ヤンセンはオランダのアーティストで、1990年から作り始めたアニマリ(ビーチアニマル)で知られている。ビーチアニマルは安いプラスティックチューブやビニール、ペットボトルで作られた擬似生命体で、おびただしい数の"関節"が複雑かつ精巧に動く様子は、初体験といってもいい感動を呼び起こす。
以下のYouTube動画は、南アフリカのBMWのコマーシャルでテオ・ヤンセンが紹介されたときのものだ。
会場は三信ビルの跡地に作られた日比谷パティオの特設スペースだ。最大で全長13メートルのAnimaris Modulariusが展示されているのだが、これはちょっとしたスケール感。
本来は風を受けて動く、Animaris Ordisは、会場内で観客の手で動かさせていた。仔細に見ると、外骨格や内骨格生物とはちがう無数の平行四辺形がざわざわと「生命」を主張しているかのようだ。
合計で11体が展示されている。ディテールを丹念に見ると、縛ったり、熱で曲げたり、引っ掛けていたり、手作りのテーストがあふれている。
11体の作品のうち、メイン展示の2点は「生命」があり、ほかは「化石」となっているとのこと。もちろん見た目だけなら、「生命」があるのかないのか、わからない。テオ・ヤンセンの心が決めたことなのだろう。現在「生命」がある2点は、ビーチ・アニマルの中でももっとも進化したもので、普段はオランダ・スヘフェニンゲンの海岸で風を受けて、動いている。
テオ・ヤンセンが来日していることもあり、週末は彼自身が巨大なAnimaris Modulariusを動体展示させてくれるとのこと。Animaris Modulariusは、受けた風で羽を動かし、その羽でペットボトル内に空気を圧縮させ、その力で動くというもっとも進化したビーチアニマルだ。当然、日比谷にはそんな風が吹かないので、エアコンプレッサーで空気を入れる。
ビニールの羽を広げ、海の水を検知し、強風の際にはハンマーで杭を打ち、海岸に適応した巨大生物が動き出すと、会場から驚きの声が上がる。とにかく早いのだ。全長13メートルもあるにもかかわらず、小型の昆虫のようにざざざっと動く。
とんでもないものを見たという感動が遅れてやってくる。クリフォード・D・シマックの「小鬼の居留地」という小説で車輪人という敵役が登場した際、「足が車輪なんてやりすぎだ」なんて思っていたが、ビーチアニマルみたいなものを見たら、「なんでもあり」な気がしてしまう。
生物の造物主であるテオ・ヤンセンが解説をし、質問にも答えてくれる。プラスチックの造形物をあくまでも生き物としてあつかう様子がおもしろい。言いはれば、生きものになるという雰囲気さえある。「ロボット」との違いなどの質問に対して、電気やモーター、センサーを全身にまとったロボットとは、目的も原理もちがうと答えていたが、テオ・ヤンセンのさだめた「生命の法」により生まれ、形と動きで「生命」を主張するビーチアニマルは、ぼくらの胸にことばでは表現しがたい興奮をあたえてくれる。
むかし、学研のメカモという金属動物があって、大好きだったのだけれど、そういうギミックのおもしろさかと思っていたら、かなり違う印象だった。大きいけれど軽い素材で構成された全体が、あきらかに"違う"生命を主張している驚きがあるのだ。
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