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【映画2009】チェ  28歳の革命

 ワーナーマイカルシネマズ板橋11番スクリーンにてSRD鑑賞。

 そういえば、リチャード・フライシャー監督でオマー・シャリフがチェ・ゲバラを演じ、ジャック・パランスがカストロを演じた「革命戦士ゲバラ!」という映画があった。カストロと二人羽織を演じるかのように、キューバ革命の黒幕としてアメリカを相手に一歩も引かなかったチェが、最後に殺されるまでを描いた作品だ。いささか悪趣味な作品ではある。

 「チェ 28歳の革命」は、そういう悪趣味さのかけらもないきわめて清潔な映画だった。終盤にチェ自身がキューバ革命の狂気をふりかえるダイアログがあるのだが、革命を描きながら、これだけみごとに狂気を感じさせない映画も珍しい。時代のイデオロギーさえばっさりと排除している。

 世界最強のカリスマのひとりを喘息もちで生真面目な普通の人として描く目的はなんなのだろう? 新しい種類の狂気なの? 狂気の中で常識を持っていることを描きたかったの? 自分でさえ特別でないということがテーマなの?

 ソダーバーグは後世作られた英雄像をはぎとり、ひとりの人間として描きたかったのかもしれないが度が過ぎている。

 ステーキハウスに入ったのに、ベジタリアンメニューしかないような困った作品である。NHK大河ドラマの総集編みたいな感じでもある。エンドシーンで漂うアイロニーなどはいいのだけれど、チェという映画なのに、映画としてのキャラクター造形を放棄しているかのように見える。

    

 時系列を交差させ、同時に描かれる国連総会におけるチェのスピーチは印象的だが、そんなときでさえ、通訳を務める子に対して「自分にしかできない仕事なんてない」と、なかば自分にいい聞かせるように語るチェの高潔さもきちんと描いているのだが、映画の描き方としては疑問が残る。

 作家の主張が見えたのは、ラストシーンだ。どれだけ高潔に「革命」をすすめていっても、自分の部下がやっていることは倒した兵士から略奪することであり、その略奪したアイテムが中南米に貧困をもたらすアメリカ製品だったというアイロニーが、人の無常とチェのその後の運命を示唆してはいる。

 まぁ、ソダーバーグがほんとうに描きたかったとかいう後編も見ますよ。

監督脚本:スティーヴン・ソダーバーグ 脚本:ピーター・バックマン 撮影:ピーター・アンドリュース 音楽:アルベルト・イグレシアス 製作総指揮:フレデリック・W・ブロスト/アルバロ・アウグスティン/アルバロ・ロンゴリア/ベレン・アティエンサ/グレゴリー・ジェイコブズ 編集:パブロ・スマラーガ 衣装デザイン:サビーヌ・デグレ 
キャスト ベニチオ・デル・トロ デミアン・ビチル サンティアゴ・カブレラ ウラジミール・クルス エルビラ・ミンゲス ジュリア・オーモンド ホルヘ・ペルゴリア エドガー・ラミレス カタリーナ・サンディノ・モレノ ロドリゴ・サントロ ウナクス・ウガルデ 他
※こちらのエントリーもどうぞ。

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