【映画2009】ラーメンガール
テアトル新宿でSRD鑑賞。
ブリタニー・マーフィーの名が脳裏に刻まれたのは、機内映画で見た「アップタウンガールズ」だった。
ニューヨークでパーティに明け暮れる金持ちの女の子(ブリタニー・マーフィー)がある日、無一文になる。なんとか見つけた仕事が8歳の女の子(ダコタ・ファニング)の子守というもの。身体は大人だけれど、精神は子供なブリタニー・マーフィと、わずか8歳で枯れ果てた大人のようなダコタ・ファニングの取り合わせが、おもしろいと思ったら、監督は「タイタンズを忘れない」のボアズ・イェーキンだった。金髪系コメディエンヌとしては、ゴールディ・ホーンやケイト・ハドソンにアイドルベクトルを加えた印象で、見ているだけでも心が和む。
そんな彼女が日本で長期の撮影をしていると聞いたのは2006年のことだ。日本を舞台に活躍するブリタニー・マーフィーなら、見たいよな。それからずいぶん長いこと、待ちわびたのだが、やっと日本で公開された。しかし、テアトル新宿での単館公開である。西田敏行も出演しているのだけれど、なんとも半端な扱いである。
まぁ、アメリカでも正式には公開されておらず、現在の彼女の人気を見ると、お蔵入りになってもおかしくない作品である。なんらかの契約の関係で日本で公開されたのかもしれないが、劇場で彼女を見られるだけでも感謝しなければならない。
アメリカから遠距離恋愛のボーイフレンドを追って東京にやってきたブリタニー・マーフィ。だが、ボーイフレンドは日本まで追いかけてくる彼女を「うざい」と、ひとりで大阪に去ってしまう。東京でたった一人のブリタニー・マーフィの目に入ったのは、一軒の中華そば屋であった。この店の店主が西田敏行だ。心を満たすようなラーメンのすばらしさに感動したブリタニー・マーフィーは、西田敏行に弟子入りをすることになる。
監督のロバート・アラン・アッカーマンは、映画監督としてはこれが3作目だが、舞台演出家として、日本でも活躍している。かなりの知日家だ。日本語翻訳付きのブログもアップしている。
西田敏行はステレオタイプなラーメン店主を演じる。頑固で、喧嘩っ早く、いつも飲んだくれている。ただ、なにしろ西田敏行である。そんなに気難しい状態を維持することができず、怒っているときでもいつもやさしい目をしている。やっぱハマちゃんはそうだよな。
朝5時に来させて、食器洗いから、便所掃除まで、ブリタニー・マーフィーにやらせるのだが、あんまりひどいしごきには見えないのは、西田敏行だからしょうがないよね。
日本という異国で自分探しをするというモチーフは、「ロスト・イン・トランスレーション」とも近いのだけれど、底意地の悪かったなんちゃってオシャレ映画とはちがい、日本に対する愛情にあふれてはいる。ただ、その愛情がちょっといびつではあるけれど……。
伊丹十三の「タンポポ」へのオマージュということで、山崎努がラーメン・マスターの老人として登場したりする。それだけではなく、兄弟弟子が黒Tシャツ系のラーメンチェーンを展開していたり、西田敏行には絶縁状態の息子がいたり、サブストーリーもからんでいるのだけれど、それぞれ伏線の回収もろくにできておらず、うやむやに終わってしまう。たぶん、多めに撮って編集段階でばっさりカットしたのではないかな。そういう袋小路なエピソードが目立つ。imdbによると、European Film Market出品時は122分あったそうだが、日本公開では102分となっている。
「ラーメン作りの秘密はレシピではなく魂だ。食べさせるものへの愛情だ」という主張はいい。単なるマニュアル映画ではないすがすがしいコメディを作る意図もわかる。ジェダイ・マスターとパダワン、魔法使いとその弟子、クンフー老師と若者というモチーフならそれでいい。でも、そのプロセスがぐだぐだになっているので、かなり戸惑ってしまう。ほぼ1年、日本にいるのに、日本語の習得がほとんど進まないブリタニー・マーフィーもどんなものかと思う。
と、文句をいろいろといっているようだけれど、じつはそんなに気にならないのだ。だって、ブリタニー・マーフィーがむちゃくちゃかわいいのだから。
女優の笑顔は百難隠す!
便所掃除していても、恋人と喧嘩して泣いてても、ラーメン作りにうまくいかなくても、エプロン姿で頭にタオルを巻いててもかわいくてたまらない。偏ったコメディであるのは事実だが、ブリタニー・マーフィーが身近なところにいる喜びに思い切り浸れる作品である。
ちなみにちらっと書いたけど、アメリカではまだきちんとロードショー公開されていない。だから、西田敏行ハリウッドデビューというのは、ちょっとちがうわけです。
キャスト ブリタニー・マーフィー 西田敏行 余貴美子 パク・ソヒ タミー・ブランチャード ガブリエル・マン ダニエル・エヴァンス 岡本麗 前田健 石井トミコ 石橋蓮司 山崎努 他
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