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【映画2009】ボーダータウン 報道されない殺人

 DVDにて鑑賞。

 ジェニファー・ロペス、アントニオ・バンデラス、マーティン・シーンといった面々がでていながら、アメリカでの劇場公開がみおくられた問題作。劇場では未見だったが、社会派映画としてなかなかの作品だった。

 アメリカ国境に接するメキシコの街、ファレス。NAFTA(北米自由貿易協定)によって、アメリカ企業はもちろん、日本、ヨーロッパのさまざまな企業が進出したメキシコ第四の街だ。とはいえ、日本でこの街の特徴を知るものは少ない。

 以前、仕事でこの土地を調べたことがあるのだが、ほんとに特徴の少ない街で困ってしまった。家電製品や自動車の工場が集中しているので、メキシコ全土から出稼ぎに来ている人が多いという。出稼ぎにきた工員の多くは女性で、24時間を3交代で働いている。給料は一日5ドル程度。いわば、グローバリゼーションの底辺のひとつだ。

 過酷な労働条件の彼女たちを取り囲む環境も劣悪で、深夜帰宅する工員を狙って、強姦殺人が頻発。被害者は1993年からの15年間で合計500件に達するとされるが、「5000件」という推計もあるそうだ。いちばん弱いものが狙われるのだ。

   

 シカゴの新聞社で野心をもつ女性記者に編集長が命じたのは、この事件の取材だった。ファレスを訪れた彼女は、強姦殺人から奇跡的に生き延びた少女と出会う。しかし、警察や政府の圧力が取材を阻む。そして、ファレスの真実の姿が見えてくる。

 女性二人の描き方がていねいであり、その中から立ち上がる女性記者の過去など、実にうまく作られた脚本になっている。

 少女が発した「仕事とキャリアってちがうの?」という質問に「ただの仕事とちがって、キャリアっていうのは、一生をかけて追い求めていくもの」と語る女性記者のことばがドラマの大きな鍵となっていく。

 豚インフルエンザ流行の陰には、メキシコの悲惨な環境があるといわれているが、こういう作品を見ると、グローバリゼーションの復讐のような印象さえ感じられてしまう。

監督脚本:グレゴリー・ナヴァ 撮影:レイナルド・ヴィラロボス 音楽:グレーム・レヴェル 
キャスト ジェニファー・ロペス アントニオ・バンデラス マヤ・サパタ マーティン・シーン フアネス 他
※こちらのエントリーもどうぞ。

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