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【映画2009】ある公爵夫人の生涯

 ワーナーマイカルシネマズ板橋2番スクリーンにてSRD鑑賞。

 イギリス史にはそれほど明るくないのだが、映画を観て関心がわき、調べてみた。主人公、デヴォンシャー公爵夫人は、フランスに嫁いだマリー・アントワネットと同時代の女性である。実際に親交もあったそうだ。社交界の中心として、ファッションリーダーの役割を果たす一方、政治活動を支援したり、ギャンブルにのめりこみ、資産を濫費していく。

 映画では、ギャンブルや政治についてはたしなみ程度しかふれず、夫との愛情に恵まれないまま、不倫に走る夫人の姿を描いている。ドーバー海峡の南北でマリー・アントワネットと近い軌跡をたどりながら、マリー・アントワネットのような悲劇に遭わなかったというのが、ひとつのポイントとなる。

 夫の公爵は、ほかの女に産ませた娘を夫人に育てさせたり、夫人が親友として、邸宅に住まわせた女性に手を出し、その後もいっしょに暮らしたりと、奔放な日々を送る。このあたりは、公爵夫人の遠縁となる故ダイアナ妃の人生までを髣髴とさせる。

 耐え切れなかった夫人は、若き政治家と恋仲になる。ちなみにチャールズ・グレイという名だが、紅茶のアール・グレイは彼にちなんで名づけられたとのこと。

 生真面目に撮られた映像は印象的である。また、実家で響く時計の音、公爵家で響く声など、デリケートに積み重ねられたサウンドは効果的だ。さらにレイチェル・ポートマンの音楽もよい。

 主人公の母親役として、久しぶりに見たシャーロット・ランプリングは味わいのある大女優になっているし、公爵を演じたレイフ・ファインズはさすがだ。そして、キーラ・ナイトレーは最高! 恋人とのキスシーンなど、どんなベッドシーンよりセクシーで、饒舌であった。

 さらに見どころのひとつは、公爵夫人を演じるキーラ・ナイトレーのファッションだ。着ているものはどれもアイディアの宝庫である。さらに現代のキャバクラをしのぐスーパーな盛り髪や、つけぼくろ、奇抜な帽子など、ロイヤルアスコットの源流はここにあったのですかという発見がある。

 ただ、素材としてはおもしろいものをそろえておきながら、「公爵の女癖、サイテー」とか、「女は男の子を産む道具じゃない」などと、現代のスタンダードで裁けるような視点のメロドラマに舵を切ったことが、迷い箸のように作品のテーマをふらつかせている。

   

 後半にある夫婦の和解のシーンで、公爵が語ることばから、結び付けたかったテーマもわかる。ソフィア・コッポラ監督の「マリー・アントワネット」同様、若くして結婚した公爵夫人のイニシエーションを描いたドラマにしたかったのは理解する。だが、そこにいたる伏線が満足に描かれていないので、とってつけただけの印象となる。

 なにより、19歳のときにアメリカ独立、32歳のときにフランス革命という時代にセレブとして生きた女性を描いているわりに、枠組みがあまりにも凡庸であった。キーラ・ナイトレーの文芸ものでいえば、べっかくともいえる「つぐない」の完成度にはとおくおよばない。

 いろいろあるけど、洋の東西を問わず、どんな時代でも夫婦にとって「子はかすがい」ってやつですか。

監督脚本:ソウル・ディブ 原作:アマンダ・フォアマン 脚本:ジェフリー・ハッチャー/アナス・トーマス・イェンセン 撮影:ギュラ・パドス 衣装:マイケル・オコナー 音楽:レイチェル・ポートマン 
キャスト キーラ・ナイトレイ レイフ・ファインズ シャーロット・ランプリング ヘイリー・アトウェル ドミニク・クーパー サイモン・マクバーニー エイダン・マクアードル ジョン・シュラプネル アリスター・ペトリ パトリック・ゴッドフリー マイケル・メドウィン ジャスティン・エドワーズ リチャード・マッケーブ 他
※こちらのエントリーもどうぞ。

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コメント

映画の予告編か何かでみて、観たいと思っていた映画です。
レイフ・ファインズが出ていると聞き、余計に観に行きたく
なりました(笑)。
ファッションも、興味深いものがあり、ぜひ観てみたいです。
でも、「スラムドック$ミリオネラ」を観に行くのが、先に
なるかもです。


キーラ・ナイトレー出演の文芸作品としてはちょっと物足りないのですが、
不器用だけれど、すけべなレイフ・ファインズがたっぷりというバランスです。
映画としては「つぐない」や「プライドと偏見」のほうがいいんですけどね。

「スラムドッグ$ミリオネア」はほんとに楽しみですね。

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