【映画2009】ラスト・ブラッド
ワーナーマイカルシネマズ板橋9番スクリーンにてSRD鑑賞。うっすらネタバレ。
なっちゃいない映画である。「少女が長命であること」、「組織が少女に血を運んでいること」、「少女の父親はオニゲンといわれるボスキャラに殺されたこと」いろんな設定はくどいほどしつこく口で説明されているのだが、映画として本当に必要なことばが圧倒的に足りない。
だから、頭の中で親切に補完してあげる必要がある。この部分は「ブレイド」なんだね。こっちの部分は「アンダーワールド」なんだな。これって「フロム・ダスク・ティル・ドーン」をやりたいんだね。などと親切に見てあげなければいけない。
原作となったアニメ「BLOOD THE LAST VAMPIRE」は、1970年代の横田基地を舞台にセーラー服の少女が日本刀を持ち、吸血翼人を倒すという50分弱の短い作品だ。今回の映画みたいにしつこく説明したりしないし、少女の出生の秘密とか、基地司令の娘とか、組織内のくだらない裏切りとかは出てこない。
原作アニメから持ってきた地下鉄の戦闘シーンや滑走路での翼手対決、そして、オリジナルでは、倉田保昭の百人切りなど、アクションシーンはそこそこがんばっていたのだが、それ以外はごった煮であり、今回、付け加えた設定はまったく機能していない。
成功したかどうかは微妙なところだが、オリジナルアニメでは、横田基地を通してベトナム戦争という設定を遠景におくことで、テーマを浮き彫りにしようとしていた。しかし、そういうニュアンスはきれいさっぱり失われている。横田基地ではなく、「関東基地」としたことなどもあいまって、日本の70年代みたいだけど、どこでもない、もうひとつの世界になってしまったのだ。だから、伝奇的なフレーバーはきれいさっぱり消え去っている。
映画オリジナルのアリスというアメリカ人女子高生と、主人公、サヤとの友情を描きたかったみたいなのだが、きちんとサヤは吸血鬼であり、血を飲むと回復すると伝えていないのにアリスが自身の手を切って瀕死のサヤにポタポタ血をあたえるなど、困ってしまう展開が多い。
回想シーンこそあるものの、自分のことをアリスにきちんと語ってもいないのに、「自分を疑わないで、あなたは心を持った人間よ」と、慰めるアリス。もしかしたら、テレパスなのだろうか。
もうちょっと、伏線をつけるとか、キャラクターたちの内的葛藤を描くといいかもしれないぞ。
小雪のキャスティングは成功している。もともと天然般若顔だからね。オニといわれても、なるほどと思えるぞ。
でも、なぜか日本に到着して、なぜか温泉旅館に泊まり、なぜか人のいい主人が小さな蜘蛛を一匹踏み潰しただけで、むごたらしく殺すなど、小雪の意味がわからない行動原理にはびびる。吸血鬼だか、オニだかも温泉が好きなの? 主人を殺したのは蜘蛛好きだったから? そのあたりの謎が映画を最後まで見てもわからないのはすばらしい。
クライマックス直前、崖を落下したふたりが1970年代とは思えないところに漂着。なんの説明もないのだが、適当に補完して推測すると、どうやらそこはオニゲン(小雪)が幻視させた異世界らしい。まあ、ここでいろいろ戦うわけだが、アリスだけは現在だか、現実の世界だかに帰ってくる。
横田基地での「そのサヤって女はどこにいったんだ?」という取調べに「いつか、鏡の世界から帰ってくるでしょう」などと、聞いたこともない設定を持ち出してくる。あれって、鏡の中の世界なんですか。あ、もしかしたら、アリスという名前が伏線だったの? ひいいい。
今年は「GOEMON」とか「レイン・フォール」とか中二病映画は多いけど、これもそのうちの一本といってもいいだろう。「GOEMON」とか、「レイン・フォール」より、アクションのメリハリがあるから、退屈はしないけどね。
キャスト チョン・ジヒョン 小雪 アリソン・ミラー リーアム・カニンガム JJ・フェイルド 倉田保昭 コリン・サーモン マイケル・バーン マシエラ・ルーシャ ラリー・ラム 他
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