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【映画2009】MW-ムウ-

 ワーナーマイカルシネマズ板橋12番スクリーンにてSRD鑑賞。 ネタバレ気味です。

 でたらめな映画だ。読解力がない人が脚本を起こし、映画を知らないテレビ局社員が監督をしている。

 「手塚治虫、禁断の問題作。」とか「世界を変えるのは破壊か。祈りか。」なんてコピーの映画だってのに、料亭で銀行マンが悪徳政治家に「ははは。こりゃ一本とられましたな」とかいったり、政治家が「政治にカネはつきものだよ。わははははは」「わはははは」なんて、笑いあうとは思わなかったよ。いつの時代の社長漫遊記だよ。

 原作では、ベトナム戦争当時の沖縄を起点にしていたが、映画では時代を20年近くずらし、湾岸戦争当時の東京沖の島を起点にしている。この翻案は仕方のないところだが、とりあえず、現代にしたこと以上の意味はない。

 島での惨殺シーンから始まる。島では小さなドラマひとつない。虐殺のイメージビデオだ。最初でつまり生き残った少年が復讐をする話だと提示して、だらだらと復讐が続くだけの話だ。

 島に続いて、現代のバンコクでの誘拐事件となる。身代金の受け渡しがサスペンス風に展開するのだが、監督がサスペンスというものをまったく理解していない。やみくもに力押しで撮っているだけだ。

 笑いそうになったのは、身代金を受け取った玉木宏の逃走シーンだ。なぜか日本から応援にやってきた警視庁の刑事(石橋稜)が、タクシーから運転手を引きずり出してハンドルを握る。追われる玉木宏はモノレールの戸袋あたりで、悪そうな顔をしながら、ぼーっと立っている。まるでバンコクが旧知の街のように猛スピードで追いかける刑事。ボーっと立っている玉木宏。渋滞につかまりそうになり、急ハンドルを切る刑事。悪そうな顔で立っている玉木宏。そのカットバックがしつこく続く。玉木宏はそんなところで、悪の魅力をだだ漏れにさせなくてもよろしい。

 観客はわけもわからず、それを見ているだけだ。最後は事故になりかけたタクシーから出てきた刑事のすぐ近くの駅で、玉木宏が降りて鉢合わせになるというまぬけな展開だ。ばかばっかり。「天国と地獄」の身代金シーンはすごかったなぁ。

 日本の警視庁の刑事がバンコクのマーケットで発砲するのはやりたい放題にもほどがある。どんだけ治外法権なんだよ。

 カメラワークも最低だ。手持ちカメラが多いのは、否定しないが、パン、つけパン、まわりこみが無意味に多い。しかもまるで、お父さんの運動会ビデオのように、同じカット内で、右に左に首を振ったり、イマジナリーラインという概念を知らないカット割が続き、いらいらする。

 このカメラは観客に意志を強制させる。さらに人を殺すたびに、カメラをわざとらしく激しく揺らしたり、多重露光をかけたり……。わかった。わかった。わかったから、普通に見せてくれ。

 銀行内のシーンでは、玉木の上司が政治家と電話で密談している。ガラスの仕切りに囲まれ、話が聞こえたり、読唇術ができるわけでもないのに、パンフォーカスでずーっとそれを見ている玉木宏。これまた、悪そうな顔だ。なんとわざとらしい構図でしょうか。またしても悪の魅力をだだ漏れさせてるよ。

 いい加減にしてほしいのはパソコン画面だ。リスト画面や入力画面で、テキストが流れるたびに、古いRPGのように、ピピピピピピとかSEをつけるのはもうやめようよ。いまどき、そんなパソコンがあったら、うるさくてしょうがない。しかも見つめるだけで、勝手に検索してくれる便利パソコンは、目的のラインを表示すると、ピーンという音と光で、それを教えてくれる念力設定だ。

  普段目の前にある事象をきちんと観察する目があるクリエイターなら、こんなばかばかしい音はつけない。

 原作では、結城(玉木宏)と賀来(山田孝之)は同性愛の関係にある。しかも年齢差のある関係だから、神父である賀来は良心と信仰の呵責を感じているのに、映画のふたりは、ともに生き延びただけの幼馴染ということになっているから、ふたりの関係性が弱いものになっている。

 玉木宏のシャワーシーンはあるが、テレビコードの関係か、きわめて短い。せめて、玉木宏の尻ぐらいは見せてやるのが、サービスってもんだろう。おれは別に見たくないが、お金を払った女性客に対してそれくらやってもバチはあたるまい。

 もともと「MW」とは「Man」と「Woman」に由来することばである。結城のトランスジェンダーな性質が、一筋縄ではいかない悪の化身を生んでいるのが原作だった。しかし、その部分がないから、結城というキャラクターが単なる愉快犯になってしまう。

   

 ていうか、この映画における「MW」のことばの由来は、死んだ取材記者が書いたノートで説明されているだけだ。大きく塗りつぶした「MW」の文字の横に小さく「神経ガス」と添えている。なんという親切設計だ。

 原作をなぞって米軍も出てくる。しかし、いよいよ「MW」を追って結城が米軍基地に潜入するぞと思わせておいて、つぎのシーンではもう人質をとって、MWを奪っている。米軍、弱すぎです。

 米軍と日本との関係がなんとも摩訶不思議だ。バンコクで発砲しまくっていた刑事、石橋稜が、米軍基地内でも責任者から「おまえの国の問題だからおまえが片をつけろ」とかいわれて、拳銃の所持を許される。この刑事って、「インターポールの銭形」をしのぐ万能刑事だ。米軍もゆるすぎてうんざりする。

 最後はC130輸送機を戦闘ヘリとのチェイスシーンだ。まるで遊覧飛行をするように、たっぷり時間をかけて、杉並から新宿方面に飛んでいく輸送機とそれを余裕で追尾する戦闘ヘリ。いやはや……。

 テレビ局じゃ無理のある原作を強引に映画化すると、これほどのバカ映画になってしまうのだ。日テレは「やっちまった」ね。玉木宏の無駄遣い映画だった。意欲的にやって失敗したのではなら評価しようがあるが、なめて作って失敗しているので、救いようがない。

監督:岩本仁志 プロデューサー:松橋真三 エグゼクティブプロデューサー:橘田寿宏 原作:手塚治虫 脚本:大石哲也/木村春夫 音楽:池頼広 エグゼクティブプロデューサー:橋田寿宏 プロデューサー:松橋真三 
キャスト 玉木宏 山田孝之 山本裕典 山下リオ 風間トオル 鶴見辰吾 中村育二 半海一晃 品川徹 石田ゆり子 石橋凌 他
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[MW‐ムウ‐] ブログ村キーワード ↓ワンクリックの応援お願いします↓ 評価:6.5/10点満点 2009年68本目(63作品)です。 ... [詳しくはこちら]

コメント

イマジナリーラインの意味をお解りですか?

 わかってますよ。

 ちなみに無名で投稿されていますが、ipから調べてみると作曲の池頼広さん関係の方みたいですね。

 ダメな映画に関わって、お疲れさまです。

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