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【映画2009】しんぼる

 ワーナーマイカルシネマズ板橋11番スクリーンにてSRD鑑賞。

 変わったことをやろうとした挙句、凡庸以下になってしまったコントもどき作品。何ヶ所か笑えるところはあるのだけれど……。

 真っ白い壁に囲まれた部屋の中に松本人志が閉じ込められている。マッシュルームカットでパジャマ姿である。壁一面にかわいい天使の"しんぼる(ちんこ)"が並んでいる。その先っぽを押すと、部屋のなかになにかが現れたり、なにかが起こったりする。

 ドラマの主眼は、ここからの脱出劇となる。極限状態から、いろいろなものをパズルのように組み合わせて、脱出しようとするのだが、「キューブ」とか「SAW」とか「マルコヴィッチの穴」とか、さまざまな脱出劇を見てきたわれわれには、なにも新味がない。古くからのSFファンであればディッシュの「リスの檻」という短編をSFマガジンで読んだこともあるだろう。

 ギャグやコメディとしても説明が多すぎる。リズムが悪くて、退屈さをつのらせる。

 ある状況で松本人志は大きな花瓶を使おうとする。しかし、重くて持てないという設定のようだ。だが、わざわざ両手で持ち上げる必要はなく、全体を傾けて斜めに転がすだけでも目的は果たせそうだけれど、なぜかそれをやらない。

 傍目八目とはいえ、主人公の行動そのものが稚拙すぎて、感情移入もできない。松本の行動そのものが、対岸の火事である。また、まるっきりテンポの計算ができていないので、スラプスティックな展開にもならない。

 スタッフの中にいいカメラマンやアドバイザーがいないのだろう。弛緩したカメラワークが映画全体に漂っている。

    

 この映画を評して「実験的」という表現もあるのだろうが、この手の実験自体がこれまでの映画の歴史の中では際限なく行われたもので、実験のレベルとしては学研「科学」の付録程度のものである。

 せっかく、ちんこを使っているのに、「ちんこがボタンになっていたらおもろいやろな」程度の思いつきだけしかなく、そこからの発展はなにもない。

 さらに「これなんて2001年?」なクライマックスシーンは、凡庸が凡庸を呼び、あきれるほどくたびれた落としどころになってしまった。

 知ってるひとが出ない音楽教室の発表会みたいだ。松本人志の映画のお稽古に付き合わされた徒労感しか残らなかった。

監督・企画・脚本:松本人志 プロデューサー:岡本昭彦 製作総指揮:白岩久弥 脚本:高須光聖 撮影:遠山康之 美術:愛甲悦子/愛甲悦子 編集:本田吉孝 音楽:清水靖晃 照明:金子康博 録音:安藤邦男 助監督:志賀研介 
キャスト 松本人志 他 
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