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【映画2009】TAJOMARU

 ワーナーマイカルシネマズ板橋9番スクリーンにてSRD鑑賞。

 「GOEMON」とか「RED SHADOW」とか「GOJOE(五条霊戦記)」、「SHINOBI」とか、ローマ字タイトルの時代劇にろくなものはないというのは、もはや常識なのである。

 しかも今回は「RED SHADOW」の監督が撮るローマ字時代劇ということで、かなりびびっていた。導入部の幼少時代の描写のぬるさなど、ちょっとげんなりしかけたのだが、松方弘樹演じる盗賊が登場するあたりから俄然おもしろくなる。

 また、当初感じた幼少時代のげんなりも、巻が進んでみれば、きちんと意図されたものだったことがわかる。

 原作は芥川龍之介の「藪の中」である。黒澤明の「羅生門」のフォーマットとなった作品だ。虚実がドラマの核となる要素が「TAJOMARU」のなかで、絶妙に取り入れられている。

 クレジットに「市川森一」の名を見たときに感じたとおり、さりげない格調、モラルの葛藤や、若さの闊達、そして男色嗜好などが作中に香っている。なるほど、市川森一だ。今回は市川森一の第一稿を山本又一朗プロデューサーが(別名義)でリライトしたとのことだが、良くも悪くもそういうバランスになっている。

 足利義政役の萩原健一や盗賊の松方弘樹が出るシーンでは、スクリーンに濃密な舞台空間が出現する。最近、こういう映画ってなかったね。

 白眉はまさに「藪の中」を追求する所司代の白州シーンであり、黒澤明に対するリスペクトをにじませながら、キャラクターたちのダイナミックなパワーシフトが楽しめる。

   

 どうなることかと思った小栗旬の殺陣だが、いやはや驚くほどの時代劇スターぶりで、ほんとに小気味いいものがあった。

 市川森一脚本に山本又一朗が手を入れたのは、活劇へのブリッジだと思われるが、かならずしもそれが成功しているとは思わない。ただ、時代劇の中で「自由」という言葉を乱用する映画でありながら、「GOEMON」のようなあさましい「自由」ではなく、もがくような葛藤から見つけ出した「自由」であるのが、すがすがしかった。

 随所に1970年代から1980年代あたりの空気があふれており、快作と評していい。クライマックスの殺陣にいままでの伏線をもうちょっと活用してくれれば、傑作となったんだけどな。

監督:中野裕之 原作:芥川龍之介 脚本:市川森一/水島力也 撮影:古谷巧 美術:林田裕至 衣装:千代田圭介 編集:掛須秀一 音楽:大坪直樹 照明:高坂俊秀 
キャスト 小栗旬 柴本幸 田中圭 やべきょうすけ 池内博之 松方弘樹 近藤正臣 萩原健一 本田博太郎 他
※こちらのエントリーもどうぞ。

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