【ミュージアム】皇室の名宝―日本美の華―
遅刻気味だったので、鶯谷駅からダッシュして、東京国立博物館平成館へ。今日は「御即位20年記念特別展「皇室の名宝―日本美の華―」のブロガープレビューである。
一般公開は明日からだが、その前日にプレスのプレビューと同時に開催されたブロガーのプレビューは、かなりの応募があったそうだ。そりゃそうだろう。人気の伊藤若冲をはじめ、国宝をしのぐといわれる皇室の名宝がずらりと展示されるわけで、会期中は大混雑が見込まれる。それを恵まれた環境で見られるのだから、応募が殺到するのも無理はない。
今回は「第1期 永徳、若冲から大観、松園まで」の展示で、第1章「近世絵画の名品」と第2章「近代の宮殿装飾と帝室技芸員」の二部構成となっている。

※画像はすべてブロガーイベントの特別許可で撮影させていただいています。
第1章の呼びものは狩野永徳の「唐獅子図屏風」と伊藤若冲の「動植綵絵」30幅とされているのだが、最初の展示室にあった「萬国絵図屏風」の存在が象徴的だった。

安土桃山時代にイエズス会宣教師の指導の下に作られたという屏風だが、世界地図を取り囲むように世界の民族と都市の景観が精緻に描かれている。明治天皇が愛でた作品とも言われている。
今回の後半展示「近代の宮殿装飾と帝室技芸員」ではパリ万博出品の文物が展示されていたのだが、千年単位の歴史の中で、皇室という文化の庇護者と世界とのつながりを見せてくれる。
さまざまな絵画の中には、近世にありながら、西洋絵画の影響を受けたものや、西洋から渡来の絵具を使ったものがあることなど、スタンドアローンのようでいて、世界の風を常に受けてきた日本の文化の奥深さを感じさせてくれる。
最初の展示室で圧倒的なのは、やはり狩野永徳の「唐獅子図屏風」だ。

とにかく大きいのだ。縦は2.236メートル、横は4.535メートルのものが一双そろいで展示されている。手元の図録でもう一度見ているのだが、やはり大きさからなる感動はない。戦国という記憶が濃厚な安土桃山という時代ならではの力強さと豊かさは、この大きさでなければ、表現できなかったのだろう。

唐獅子図屏風(右隻)/狩野永徳/安土桃山時代(16世紀)/三の丸尚蔵館
教科書などで小さな絵を見た覚えがあり、「知っている」と思った絵だけに声を上げたくなるほどの感動だった。また左隻には、永徳の曾孫の常信の作による唐獅子が、江戸の空気をまとい、ややユーモラスに描かれている。時代の空気はしっかり出るものだ。
そして、つづく展示室で待ち構えているのは伊藤若冲の「動植綵絵」30幅である。先年、修復作業を終えた際、三の丸尚蔵館で展示されたときは、6点ずつ5期に分けて展示されたものが、まとめてドーンと展示されているわけで、これはほんとうにすごいことだ。

実際に見て、驚くのはサイズの大きさだ。すべて縦が140センチ以上あるとのことで、これも図録ではわからないサイズの魅力がある。

ざっとした印象で思ったのは、ハイビジョン縦位置のよさだ。以前、APSカメラが出たとき、好きだったのは、16:9のハイビジョンサイズを横ではなく、縦位置にフレーミングする楽しさだ。ハイビジョン縦位置ってのはつまり掛け軸サイズだったんですな。
若冲をそういう視点で見るおれはほんとに素人なのだが、フレーム自体を刺激するような構図はどれも楽しく、わくわくする。10年をかけたといわれる30幅の構図は一様ではなく、そのバリエーションの豊富さを味わうだけで、一堂に会した展示の豊かさがある。

さらにディテールを見ていくと、花びらひとつ、葉一枚、羽の動きまでもが生き生きと描かれ手いることに喜びを感じ、ルリハタという魚にプルシアンブルーを使っていたという若冲の色彩の豊かさに酔ってくる。
この一室を見るだけで、1時間では足りないくらいだ。
(左)動植綵絵 群鶏図/伊藤若冲/江戸時代(18世紀)/三の丸尚蔵館
(右)動植綵絵 向日葵雄鶏図/伊藤若冲/江戸時代(18世紀)/三の丸尚蔵館

(左)動植綵絵 紅葉小禽図/伊藤若冲/江戸時代(18世紀)/三の丸尚蔵館
(右)動植綵絵 芍薬群蝶図/伊藤若冲/江戸時代(18世紀)/三の丸尚蔵館
動植綵絵 老松白鳳図/伊藤若冲/江戸時代(18世紀)/三の丸尚蔵館
円山応挙の「旭日猛虎図」の巨きさもたまらない。やっぱり日本画の名作を大きく見るというのはいいね。

葛飾北斎の西瓜図なんて、(当時の)七夕飾りの暗喩-見立て図とのことだが、ある種の恐ろしささえ感じる奇妙な絵で、吸い込まれるようだ。絵と目が合うという感じだろうか。
今回、あたえられた時間は1時間20分だが、ぜんぜん足りない。第2章「近代の宮殿装飾と帝室技芸員」はやや足早になってしまったが、こちらの名宝もすばらしかった。
絵もいいのだが、七宝花瓶や立体物が興味深い。最初にも書いたけれど、パリ万博の出品作品や技術を継承するためにすさまじい年月をかけて作られた文物がそろっている。明治という時代にあって、日本の美を再構成するかのようなものが、数多く展示されており、美の守り手である皇室の存在をじかに感じられるのはうれしい限りだった。第二期の「正倉院宝物と書・絵巻の名品」も楽しみである。


蘭陵王置物/海野勝ミン/明治23(1890)年/三の丸尚蔵館
鑑賞後は高瀬美恵さんと湯島に移動して、「鳥つね」で絶品の親子丼をいただく。鶏に愛を注ぎ、美を見出した若冲をしっかり楽しんだ後で、鶏の中身も楽しんでしまいました。
さて、ブロガーには「もし1点だけ持って帰れるならどれにするか? どこに飾りたいか?」というお題が出ていたのだが、自分は若冲の「秋塘群雀図」でしょうか。家の一番いいところに飾るには最高です。旭玉山作の「官女置物」もよかったのですが……。
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コメント
若冲と江戸絵画展 知識もなく 行った。最高だった。
絵を少し描いたり 絵を時々 映画や漫画を見るような感覚で 見に行くのかなぁ。マナーには 注意しています。
江戸絵画を 見てわかるかなぁだった。すごい技術 構図に びっくりだった。この展覧会は 我が人生で 最高ランクになります
投稿者: 新命明&村石太仮面 | 2010年09月18日 15:57