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【映画2009】女の子ものがたり

 角川シネマ新宿、シネマ2にてSRD鑑賞。

 かなりの映画だった。西原理恵子作品の真摯な映画化作品としても、しっかりとした手触りが感じられる。なによりも少女版の「スタンド・バイ・ミー」であり、少女版の「グローイングアップ」であり、少女版の「青春の門」でもある。


 くっきりした貧しさが残る四国の町で、どうしようもない境遇の母のもとに生まれ、どうしようもない男にほれ、どうしようもない結婚生活をいとなむ女友だち二人と、どうしようもない土地から抜け出した主人公の幼い日々をみずみずしく描いている。

 大きな欠陥はある。

 女性漫画家になった主人公(深津絵里)のキャラクターがあまりにも浅いのだ。スランプだか、ライターズブロックになっているらしい。女性小説家として原因不明に「書けない」というのなら、かろうじて納得もする。だが、ネームが仕上がっている状態で、締め切りが過ぎているのに、ペン入れもせず、浅草花やしきで遊んでいる漫画家というのは理解不能だ。

 少女時代に重量級のエピソードがあるだけに、そこまでの経験をした主人公が、なぜ、「仕事」をしないのかという説得力がない。とくに西原理恵子の近作を知っている人なら、不可解な状況である。

 また、担当する男性編集者がひどい。それなりの職業意識があれば、担当作家に対して、絶対に言ってはいけないことを平気でいって、直後にあやまり、またいって、すぐにあやまり……。いくらなんでもおまえ、それはまずいだろう。

 エンディング付近の深津絵里による総括セリフも困ってしまった。いやはや、深津絵里の演技とか存在感には文句はないんだけど、構成がおかしいよね。「スタンド・バイ・ミー」で、リチャード・ドレイファスが30分くらい登場して、自分探しをしているような後味の悪さがある。

 もうひとつ気になったのは、高校生の大後寿々花が小屋の壁面に描く絵がそのまま、現在の西原理恵子の絵であること。高校生であの絵をあのサイズには描けないよ。

    

 まあ、映画オリジナルの深津絵里エピソードが浅薄なために傑作にはなりそこなっているが、原作のエピソードをきちんとはめ込んだ少女時代のエピソードが生々しく、せつなく胸に迫るため、深津絵里エピソードのいびつさを補正してくれている。

 少女時代のエピソードすべてに美少女が出演しまくるというのもすごいけど、それは映画としては「あり」だから、美点である。

 映画作りとして、いろいろと事情はあるだろうけど、その事情の部分が映画の弱点になってしまったね。でも、いいんですよ。ほんとにいい映画なんですよ。

監督脚本:森岡利行 プロデューサー:西口典子/菅野和佳奈 原作:西原理恵子 撮影:清久素延 美術:山下修侍 衣装:安野ともこ 編集:菊井貴繁 音楽:おおはた雄一 主題歌:持田香織 照明:横道将昭 録音:矢野正人 
キャスト 深津絵里 大後寿々花 福士誠治 風吹ジュン 波瑠 高山侑子 森迫永依 板尾創路 奥貫薫 他
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